2019年5月5日7時20分に福井新聞から、営巣中の写真付きで下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2019年2月から福井県の坂井市と福井市を転々としていた国の特別天然記念物コウノトリのペアが、坂井市内の電柱に“定住先”を決め、本格的に営巣した。
集落の住民が刺激しないよう申し合わせ、電力会社は地元の声に応えて集落の電気系統を迂回させるなど、地域挙げての見守りで、ペアも仲むつまじく安心した様子。
住民は「よくぞ、この場所を選んでくれた。無事にひなが産まれてほしい」と、県内55年ぶりの野外繁殖に期待を寄せている。
ペアは昨年5月、越前市大塩町の人口巣塔で有精卵を産んだ兵庫県豊岡市生まれの4歳の雄と6歳の雌。
卵はカラスに持ち去られ、近くの畑で割れた状態で見つかった。
ペアはいったん福井を離れたものの、今年2月下旬に坂井市内で行動をともにする様子が確認された。
その後、テクノポートの鉄塔(同市)や福井市波寄町の電柱など、さまざまな場所に営巣し始めたが、「コウノトリの感電やけが、停電の恐れがある」として、北陸電力は撤去してきた。
地域住民らの「地元に定着してくれたら」との声を受け、北電は「安全な形で巣を作ってほしい」と、電柱の頂上に枠を組むなど安全対策を実施。
しかし、ペアは対策を講じた場所から移動して別の場所で営巣。
「いたちごっこ」を40回以上繰り返し、4月19日ごろになって、ようやく“安住の地”を定めた。
ペアは高さ14mの電柱の頂上に枝などを集め、3日間ほどで十分な大きさの巣を作り上げた。
「巣を残してほしい」という集落の声を受け、北電は同23日、集落一帯を一時停電にして変圧器を別の電柱に新たに設置するなど、電気系統を変更する作業にあたった。
住民によると、この集落周辺の水田は、化学肥料や農薬の使用を減らす環境配慮型の農業を行っている。
田んぼでは餌となるカエルなど生き物の鳴き声が響いており、2羽は近くの畑や田んぼで餌を食べているもよう。
交尾する姿も度々見られ、最近では巣に伏せる様子も見られるという。
巣の近くに住む女性(67)は、「一時的な停電は大変だったけれど、電気工事までしてくれてうれしい。ひな誕生まで温かく見守りたい」。
集落の区長(69)は、「子どもが減る中、勇気をもらっている。毎朝顔を見られて本当にうれしい。無事に子育てに成功してくれたら」と願った。
県自然環境課は、ペアを刺激しないように150m以上離れた場所から観察することや、巣を見上げないよう呼び掛けている。
住民たちは「事故が起こることのないように、静かに見守ってほしい」としている。
出典
『電柱の巣を守るため集落が停電許可 コウノトリ営巣、子育て成功願う』
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/847748
5月8日19時5分にNHK福井からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
2羽は、ことし3月ごろから福井市や坂井市などで電柱や鉄塔にたびたび巣を作ろうとしていたが、電柱を管理する北陸電力は、コウノトリの感電や停電の恐れがあるなどとして、これまで40回あまりにわたって、巣が作られる前に枝を取り除いていた。
こうした中、今回は、電気を供給するルートが変更しやすい場所に電柱があり、「巣を残して欲しい」という地元の強い要望もあったことから、北陸電力が住民の協力のもと、付近一帯を一時的に停電にして電気の供給ルートを変更したことで、巣作りにつながったという。
8日は、メスとみられる1羽がずっと巣の中にいて、午前10時すぎにはエサを運んできたオスとみられるもう1羽がいったん巣に戻り、一時、2羽で身を寄せる様子が確認された。
その後、正午すぎに県内に飛来している別のコウノトリが巣に近づくと、2羽は威嚇するようなしぐさを見せたあと、オスとみられる方が縄張りの外に追い立てていた。
県自然環境課によると、コウノトリのつがいは、今、産卵期を迎えていて、交尾をする様子も確認されているということで、県内で野外繁殖に成功すれば55年ぶりだという。
県自然環境課は、一連の繁殖行動では不要なストレスを与えないことが大切なので、ヒナの巣立ちが確認されるまでは150m以内に近づかないよう配慮してほしいと呼びかけている。
出典
『坂井 コウノトリ野外繁殖に期待』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20190508/3050002055.html
5月9日19時52分にNHK福井からは、産卵したらしいという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県は9日、このつがいが産卵し、親鳥が卵を抱く行動が本格的に始まったとみられると発表した。
野外でのコウノトリの産卵は県内では5例目で、55年ぶりとなる野外繁殖の成功にいっそう期待が高まっている。
出典
『坂井 コウノトリ電柱の上で産卵』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20190509/3050002061.html
(2019年11月6日 修正1 ;追記)
2019年11月6日付で中日新聞から、産まれた4羽のヒナが巣立ちしたので巣が撤去されたという下記趣旨の記事が、撤去作業の写真付きでネット配信されていた。
県内で五十八年ぶりに野外繁殖した国の特別天然記念物コウノトリのひなが育った坂井市内の巣が五日、撤去された。
親の二羽とひな四羽がいずれも帰還する姿が見られなくなったため。
営巣開始から見守り続けてきた住民らは、寂しさを感じながらも来シーズンの営巣に期待していた。
巣があったのは春江町上小森の電柱の上。
県によると、巣でコウノトリが確認されたのは、十月十一日にひな一羽が目撃されたのが最後。
繁殖期が終わり、巣に戻ることはもうないと県と市が判断した。
営巣場所は、地元住民の日常生活を守り、部外者がコウノトリを刺激しないようにと、県と市が公表を控えていた。
撤去作業は県や市の担当者、北陸電力の作業員ら計十五人が当たった。
約十四メートルの電柱の上にある巣に、高所作業車二台を使って作業員が近づき、ブルーシートで受けて巣が落下しないようにした後、巣を解体しながら袋に詰めて下ろした。
十月に台風などの悪天候が続いて巣の材料が飛ばされたため、夏頃に比べて巣は小さくなっていたものの総重量は三十一キロあった。
解体した巣は病原体が付着している恐れがあることから、市が焼却処分にした。
作業を見守っていた地元住民たちは「ずっと子育てを見ていたからね。寂しいよ」「来年も来てくれるといいね」などと話しながらコウノトリと過ごした半年間を振り返った。
コウノトリのふんで汚れた道路などを毎朝清掃するなど、率先して見守り活動を続けた上小森区の前田区長(男性、69歳)は「ひなすべてが無事に巣立ってくれて本当に良かった」と感慨深げ。
鳥の習性から来年も集落内に営巣する可能性があり「住民との話し合いにもよるが前向きに受け入れたい」と話した。
現場を訪れた川元市教育長は「ひなが無事に巣立てたのは上小森の人たちの献身的な活動のおかげ」と述べ、上小森区に市が感謝状を贈ることを決めたと明かした。
https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20191106/CK2019110602000010.html
11月5日12時36分にNHK福井からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
コウノトリのつがいが、坂井市春江町の電柱の上に作った巣では、ことし5月下旬以降に4羽のヒナが誕生し、夏には順調に巣立ちを終えて、県内では昭和36年以来、58年ぶりに野外での繁殖が実現しました。
最近では、ヒナが巣に戻ることもなくなったため、坂井市は5日、電力会社などと一緒に巣の撤去作業を行いました。
巣は、高さ40センチ、幅1.8メートルほどの大きさで、電力会社の作業員が、高所作業用の車を使って慎重に巣を取り除き、電柱から下ろしました。
現場では近所の人たちが作業の様子を静かに見守っていました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20191105/3050003340.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の3コマ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。