2016年11月27日5時4分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
子どもの遊ぶおもちゃが子どもの命を奪う危険がある――。
玩具を口に入れ、気管に詰まらせる誤嚥事故がなくならないことから、国の機関が調査に乗り出した。
業界も自主的な対策を取るが、事故を防ぎ切れていない現状がある。
「注意喚起がなされているなかでも事故がなくならない点を重視した」
消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)の宇賀克也委員長は、調査に踏み切った理由を話す。
判明しているだけでも、小さなボールや人形の付属品を詰まらせ、2008年から15年の間に0~3歳の4人が死亡している。
事故調は、今後、玩具メーカーなどから聞き取りを行い、具体的な再発防止策を経産省などに提言する。
誤嚥は、食べ物や異物が食道ではなく気管に入ってしまうこと。
詰まらせて窒息死する危険性があるうえ、取り除いても脳に障害が残ることがある。
日本小児呼吸器学会の調査によると、3歳以下の誤嚥事故の原因の1位はナッツ類。
ミニトマトや白玉団子でも、詰まらせる恐れがある。
今回の調査はおもちゃ限定で、事故調でも「食べ物を含むべきだ」、「たばこや電池はいいのか」という議論はあったが、宇賀委員長は「最も身近な玩具に対象を絞り、踏み込んだ調査をする」と説明した。
日本玩具協会は自主的に安全基準を定め、合格したおもちゃは安全マーク(STマーク)をつけることができる。
基準では、窒息の危険性を考え、3歳未満対象のおもちゃや部品は、直径31.7mmの円筒内に収まってはならないとしている。
食べ物を模したり、食べ物に似た匂いがしたりするものにも、規格を設ける。
大手メーカーのタカラトミーは、着せ替え人形「リカちゃん」の一部の靴に、苦みの成分を塗っている。
小さな部品を誤って口に入れても、すぐにはき出せるようにする独自の対策だ。
のみ込んでも窒息しないように、部品に通気孔を開けるメーカーも多い。
なぜ、悲劇は起きるのか。
昨年8月に9カ月の男児が死亡した事故では、人形の部品だった1cm大のおしゃぶりで窒息が起きた。
人形は3歳以上が対象で、STマークも取得。
5歳だった男児の姉のものだった。
3歳以上対象のおもちゃは、基準より小さくても、警告表示があればSTマークをつけられる。
事故調の関係者は、「兄や姉のおもちゃを下の子が口にするケースは多い。対象年齢のある玩具のあり方も問われる」と指摘する。
一方、日本玩具協会の担当者は、「すべてを3歳未満の基準に合わせては、おもちゃが成り立たなくなる」と話す。
愛知県のKさん(女性、37歳)は、2010年、1歳4カ月だった長男Hちゃんを誤嚥事故で亡くした。
保育園のおやつのカステラが気管をふさぎ、意識不明となった39日後だった。
生活のほんの一場面のなかで我が子を突然失ったことが、信じられなかった。
冷静になってみると、誤嚥の恐れがあるものが家庭にも保育園にもあふれていたことに気づいた。
経験を踏まえ、事故の検証の重要性を訴え続けた。
保育園などでの事故の防止策を話し合う国の検討会に加わり、事故時の具体的な対応についてのガイドラインが、今春、できた。
おもちゃの誤嚥も取り上げている。
Kさんには、今、5歳と2歳の子どもがいる。
自宅では小さなボールや果物のおもちゃを撤去し、食事のミニトマトも4つ切りにする。
「親の注意力にも限界がある。子どもに危険なものが何かを知って、近づけない環境をつくっていくことが大事です」。
消費者事故調の調査には、「注意喚起にとどまらず、安全に関わる規格の改正にも踏み込んでほしい」と期待を寄せる。
子どもの事故予防に詳しい小児科医の山中龍宏さんは、「調査で具体的なおもちゃの商品名がわかれば、警察や病院と連携して事故実態に迫ってほしい。細かいデータの積み重ねと分析が有効な予防につながる。今後は、乳幼児が最も多く接する『食物』も対象に加えるべきだ」と話す。
〈消費者事故調〉
「誰が悪い」という刑事責任の追及とは別に、「なぜ事故が起きたのか」を科学的に調べる機関として、2012年、消費者庁に設置された。
大学院教授らで委員会を構成する。
現場保全や資料収集、関係者への聞き取りの権限があり、拒めば罰則もある。
調査報告をまとめて再発防止策を関係省庁に提言する。
これまでに調査に乗り出したのは、シンドラー製エレベーター事故など13件。
出典
『おもちゃの誤嚥、窒息死する危険性 安全基準に盲点も』
http://www.asahi.com/articles/ASJCP5QYDJCPUTIL02V.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。