







2016年11月26日8時52分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今月16日に山口県下松市で、19日に長崎市で発生した2つのトンネル工事事故で、いずれの現場にも空気ボンベや一酸化炭素(CO)の濃度を常時観測する機器が備えられていなかったことが、捜査関係者の話で分かった。
いずれの機器も、CO中毒を防ぐため、厚労省のガイドライン(指針)で設置が求められており、逸脱していた疑いがある。
山口、長崎両県警は同様の事実を把握しており、業務上過失致傷容疑などで捜査している。
下松市の事故は16日正午ごろ発生。
ダムから工業地帯に工業用水を運ぶためのトンネルが老朽化したため、改修工事をしていた。
救助隊が駆け付けた際、CO濃度は立て坑(入り口)付近で180~200ppm、トンネル内は最大550ppmあり、9人が搬送された(いずれも軽症)。
長崎市の事故は19日正午ごろ発生し、1人が死亡、3人が軽症となった。
ダムから浄水場に水を運ぶトンネルの老朽化に伴う補修工事で、入り口から70~80mの地点でもCO濃度が700ppmあった。
現場はさらに奥の、入り口から約150~約180mの地点で、濃度がもっと高かった可能性がある。
工事を発注した山口県や長崎市によると、下松市の現場には軽トラック10台、ガソリン式発電機12台があり、長崎市の現場にもガソリン式発電機1台があった。
いずれも、機器の不完全燃焼によるCO中毒の疑いがある。
労働省(現厚労省)の定めたガイドライン(1998年)は
(1)空気ボンベなどを人数分以上備える
(2)CO濃度を継続的(常時)に測定し、上昇すれば警報で知らせる装置を設置する
などを求める。
しかし、山口県警の捜査関係者によると、下松市の現場には、空気ボンベもCO濃度の常時測定器もなかった。
工事関係者は取材に対し、こうした事実を認めたうえで、「アスベストを防ぐマスクはしていたが、ガス用ではなかった」と話した。
工事の元請け会社が事故の約2時間前にCO濃度を測った後は、測定されていなかったとみられる。
一方、長崎県警の捜査関係者によると、長崎市の現場でも、空気ボンベや警報機能のあるCO濃度の常時測定器はなかった。
なぜ、ガイドラインは守られないのか。
関係者によると、空気ボンベは買えば1台20万~30万円前後、レンタルでも5日間で約2万円~約5万6000円。
緊急時のために工事現場に一定の間隔で置いておけばいいのだが、「常時、担いでおかなければいけない」(長崎市の業者)との誤解もあり、配備が進まない。
また、CO濃度を常時計測する警報付き測定器は、小型のものでも1台5万~6万円。
福岡県内の建設業者は、「民間工事なら、発注者の企業が現場をチェックするので、請負業者は備える。しかし、自治体発注の工事はチェックが甘い」と指摘する。
これに対し、山口県は「受注会社が安全に責任を持つことを前提に契約している」、長崎市は「今回は契約上、発電機の持ち込みを禁止していた。契約内容をきちんと守るよう徹底する」とした。
厚労省の省令は「自然換気が不十分なところでは、内燃機関を有する機械を使用してはならない」と定め、違反すると、刑事罰がある。
ただ「換気する時は、この限りではない」としており、今回は、いずれの現場にも換気装置があった。
一方、ガイドライン違反には刑事罰はないが、厚労省化学物質対策課は、「ガイドラインは人命を守るためのもの。事業者には積極的に取り組んでほしい」としている。
■工事現場での一酸化炭素中毒とみられる主な事故
1996年 7月 山梨県都留市の地下工事現場で2人死亡
2003年 8月 東京都文京区のマンション新築工事現場の地下で4人が搬送され、うち1人死亡
2008年 1月 北九州市八幡西区の送水管工事現場(地下)で3人死亡。ガソリン式発電機を使用
2008年 9月 三重県四日市市の市道に埋設された配水管の中で2人死亡
2016年 1月 札幌市豊平区のマンション新築工事現場で2人死亡
2016年11月 山口県下松市のトンネル工事現場で9人軽症(16日)長崎市のトンネル工事現場で4人搬送、うち1人死亡(19日)
【ことば】一酸化炭素(CO)
物質の不完全燃焼によって発生する無色無臭のガス。
空気とほぼ同じ重さで、吸い込むと血液の酸素運搬能力が低下する。
東京消防庁によると、濃度が300~600ppmの空気の中に4、5時間とどまると激しい頭痛や嘔吐に襲われ、700~1000ppmの中に3、4時間いると意識障害に陥る。
出典
『トンネル工事事故 CO中毒防止の指針逸脱か 山口・長崎』
http://mainichi.jp/articles/20161126/k00/00m/040/155000c
(ブログ者コメント)
本ブログの下松、長崎事例紹介記事に、それぞれ今回報道のポイントを追記スミ。


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。