2016年9月7日5時1分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
身のまわりにあるものが原因で、事故が起こることも。
製品のデザインや素材、構造を変えることで、事故を未然に防げないか。
そうした試みが、少しずつ広がっている。
一見すると、ふつうの歯ブラシ。しかし、ブラシがついた部分を強く押すと、柄がぐにゃり。
大阪府八尾市のメーカー「DHL」が発売している「曲がる歯ブラシ」だ。
子どもが転んだり、親やきょうだいにぶつかったりして、歯ブラシが口の中に刺さるといった歯磨き中の事故で、東京消防庁管内では、2011~15年の5年間に、5歳以下の子ども213人(暫定値)が救急搬送された。
約7割は1、2歳。重症のケースもある。
歯ブラシによる事故が相次いでいることから、消費者庁が13年に注意喚起を発表。
DHLが、子どもの安全に配慮した製品を手がけてきたアイ・シー・アイデザイン研究所(大阪府守口市)と共同で、事故を防ぐ歯ブラシを開発した。
「曲がる歯ブラシ」の柄には弾力のあるゴム性の素材を採り入れ、産業技術総合研究所(産総研)に委託し、安全性を確かめた。
1歳児を想定したテストでは、歯ブラシを口にくわえたまま転倒しても、通常の歯ブラシの10分の1程度の圧力しかかからなかった。
現在の価格は1本350円(税抜き)。インターネット通販を中心にセット販売し、昨年6月の発売以降、約6万本を売り上げた。
今年中に、全国のドラッグストアなどにも並ぶ予定だ。
製品の安全規制が事故予防に結びついている例もある。
子どものライター使用による火災が相次いだことを受け、経産省は、10年、子どもが簡単に操作できないよう、ライター(一部の製品を除く)に安全規制を導入。
翌11年9月27日以降は、基準を満たさない製品は販売できなくなった。
たとえば、ボタンを真下に押しこむタイプでは、着火に必要な力が従来の2倍程度に。小さな子どもの力では簡単に押せなくなった。
総務省消防庁消防研究センターの鈴木恵子・主任研究官が、火災統計などをもとに、ライターによる火遊びで起きた住宅火災で亡くなった14歳までの子どもの数の推移を調べたところ、15年までの34年間で全国で計437人が犠牲になっていた。
02~11年の10年間では、年平均で9.9人。
規制前のライターが販売されなくなった12~15年の4年の年平均は2人に。
鈴木さんは、「規制の効果が数字からみてとれる」。
産総研の西田佳史・首席研究員は、「事故防止のために製品を変えるという考え方が、少しずつ浸透し始めている」と話す。
事故予防には、3つの効果的なアプローチがある。
「環境改善(Environment)」、「法規制・基準化(Enforcement)」、「教育(Education)」の3つで、「3E」と呼ばれる。
製品や生活環境を、新しいデザインでより安全に変えるのが、環境改善。
「曲がる歯ブラシ」や、倒れても熱湯が漏れにくい構造に変えた電気ケトル(やかん)が代表例だ。
ものづくりなどのルールを変える法規制・基準化の例は、ライターや00年に義務化された車のチャイルドシートなど。
消費者の意識や行動に変化を促すのが、教育だ。
西田さんは、「保護者の見守りで事故を100%なくすことは難しい。もし不注意やミスがあったとしても、それでも事故が起きない安全な製品・環境づくりが大切」と話す。
07年に始まった「キッズデザイン賞」は、そうした製品づくりを後押しする取り組みだ。
産総研や企業、自治体などでつくるNPO法人「キッズデザイン協議会」が、子どもの安全に配慮した製品などを公募し、優秀作に賞が贈られる。
賞のホームページでは、過去の受賞作品一覧を見られる。「曲がる歯ブラシ」も、昨年、奨励賞を受賞した。
子どもの事故予防に取り組むNPO法人「Safe(セーフ) Kids(キッズ) Japan(ジャパン)」理事長で小児科医医の山中龍宏さんは、「病院や保護者などから情報を集め、どうすれば未然に防ぐことができるのか、社会全体で考える必要がある。様々な職種の人が、それぞれの立場で『変えられるもの』を見つけていけば、確実に事故を減らせる」と訴える。
出典
『デザイン・素材・構造… 製品変えて、子どもの安全追求』
http://digital.asahi.com/articles/ASJ8V7F65J8VUTFL00Q.html?rm=636
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。