2015年12月17日付で毎日新聞東京版(夕刊)から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
北海道木古内町のJR江差線で2012〜14年に相次いだ3件の貨物列車脱線事故で、国の運輸安全委員会は、17日、石井国交相に対し、貨物列車の安全性を向上させるよう求める意見を出した。
3件とも、車両やレール、積み荷などの要因が複合して脱線したと分析。
貨車の設計や荷物の積み方、レールの管理について、鉄道各社や車両メーカーと連携して対策をとるよう求めた。
安全委は17日、3件のうち、既に報告書をまとめた12年4月の事故を除いた12年9月と14年6月の事故の調査報告書を公表した。
それによると、いずれの事故も急カーブ通過時に左右の揺れが続き、カーブ内側に揺れた際に貨車の外側が軽くなって車輪が浮きやすくなったうえ、カーブ外側に車輪が向かう力が強く作用し、レールを乗り越えて脱線したと結論づけた。
そのうえで、14年6月の事故は、レールのゆがみや左右の高さの差が揺れを助長したと分析。
報告書は、「レールの補修が必要かどうか決める方法が不適切だった。現場の知識が不足していた」と、JR北海道の管理のあり方を問題視した。
JR北海道は、当時、13年に起きた別の脱線事故現場のレールの不具合データの改ざんが発覚し、レールの安全管理が急務となっていた。
12年9月の事故は、レールのゆがみは基準値内だったものの、積み荷が軽かったため、車両の揺れを吸収する装置の効果が小さかったと指摘した。
12年4月の事故については、積み荷の片寄りが要因だったとする報告書を、すでにまとめている。
3件の脱線が同じ路線で相次いだ理由については、「江差線は比較的急カーブが多いなど、他の路線に比べて脱線に至りやすい」とも説明した。
複数の鉄道事故に関し、安全委がまとめて意見を出したのは初めて。
事故を受けてJR貨物は、来年3月までに、積み荷のバランスを調べる装置を北海道、岩手県、秋田県の計4駅に設置することを決めている。
貨物駅周辺のレールに取り付け、貨車が通過した際のレールのわずかなゆがみをもとに片寄りを検知できるという。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20151217/dde/041/040/042000c
以下は、関連報道。
(2015年12月17日13時19分 日本経済新聞)
レール劣化など複合要因 JR北海道の貨物脱線で安全委報告
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16HBP_X11C15A2CR0000/
(2015年12月17日13時29分 朝日新聞)
北海道の貨物車脱線、積み荷偏りなど要因 運輸安全委
http://digital.asahi.com/articles/ASHDJ7TP5HDJUTIL06L.html?rm=410
(2015年12月17日17時56分 読売新聞)
レールのゆがみ・積み荷…列車脱線、複合要因で
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151217-OYT1T50105.html
(2015年12月17日19時2分 NHK北海道NEWS WEB)
貨物列車“安全性向上求める”
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20151217/4307891.html
(ブログ者コメント)
○運輸安全委員会から出された意見は、下記プレスリリース(1ページ)参照。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/houdou151217.pdf
2012年9月に起きた事故の報告書(概要)は、下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1826
2014年6月に起きた事故の報告書(概要)は、下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1858
○今回報告書の対象外となっている2012年4月の事例は、下記参照。
2014年7月22日掲載
[昔の事例の顛末] 2012年4月 JR北海道江差線で貨物列車が脱線したのはコンテナ内の積荷の偏りが要因 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4115/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。