2017年4月11日11時6分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
食中毒を引き起こす「ウェルシュ菌」をご存じですか?
この菌には熱に強いものがあり、作りおきしたカレーや煮物などを食べて発症するケースが多くみられます。
春にも食中毒が起きており、注意が必要です。
【熱に強い性質、煮物も注意】
3月8日夕方から翌朝にかけて、東京・世田谷の私立幼稚園の園児67人と教職員9人の計76人が、次々と下痢や腹痛、嘔吐の症状を訴えた。
複数の患者の便からウェルシュ菌が検出され、保健所は、8日昼の「年長組を送る会」で食べたカレーが原因と断定した。
カレーは、7日午前11時ごろから、教職員と園児が職員室で2つの大きな鍋を使って作り、そのままの状態で一晩、常温で保存。
食べる直前に再加熱したという。
ウェルシュ菌は、人や動物の腸管内や土壌、下水などに存在。
肉や魚、野菜などの食材にも付着し、体内に大量に取り込まれると食中毒を引き起こす場合がある。
日本食品衛生協会の栗田・技術参与によると、ウェルシュ菌による食中毒が起きやすいのは「カレーやシチューなど、とろみのある料理を大鍋で作った時」だという。
筑前煮や煮込みハンバーグなどでも起こる。
ウェルシュ菌の中には「芽胞(がほう)」という、殻のような状態になるものがある。
熱に強い芽胞は、100℃で60分間熱しても死滅しないとされる。
そのため、調理の際に煮沸してもウェルシュ菌が残り、その後増殖して食中毒を引き起こす可能性がある。
常温で保存し、温度が55℃程度まで下がってくると、芽胞から新しい芽が出て菌が増殖し始める。
特に43~45℃で急速に増える。
料理にとろみがついていたり、量が多かったりすると、温度はゆっくり下がるため、菌が増殖する時間も長くなる。
飲食店やイベントで大量に調理した時に食中毒が発生しやすく、2014年には京都市の業者が製造したキーマカレーの弁当を食べ、900人が食中毒症状を訴えた。
ウェルシュ菌による食中毒の症状は、腹痛や下痢など。
ほとんどの場合、発症後1~2日で回復するという。
ただ、病気などで免疫力が低下していると、まれに重症化することもある。
【常温放置せず冷蔵を】
厚生労働省へ報告があった2016年のウェルシュ菌による食中毒は31件。
患者数は計1411人にのぼる。
31件の事故を発生月別でみると、4月と5月に計7件、10月と11月に計9件が起きている。
細菌性の食中毒は一般的に夏に多いが、ウェルシュ菌は春や秋の発生が目立つ。
では、どうすれば防げるのか。
「一番の予防法は、調理後すぐに食べること」と栗田さんは言う。
家庭でも注意が必要だ。
カレーなどは一晩おくとおいしいとも言われるが、保存の仕方によっては、ウェルシュ菌が繁殖してしまう。
ポイントは、一度に作りすぎないこと。
作りおきする場合は、常温で長時間放置せず、容器に小分けにし、冷蔵庫や冷凍庫で10℃以下に冷やして保存する。
料理が早く冷めるよう、小分けする容器は底の浅いものがいい。
ウェルシュ菌は酸素が苦手な嫌気性菌のため、容器に移し替える際に料理を混ぜて空気に触れさせると、より効果的だという。
作りおきしたものを食べる際には、ムラなく加熱できるよう、鍋に移し替えた上でよくかき混ぜながら全体にしっかり火を通す。
ウェルシュ菌には熱に強い芽胞をつくるものもあるが、75℃で1分ほど加熱すれば死滅するものもある。
栗田さんは、「菌の数を少なくすることで食中毒の防止につながる」と話す。
出典
『「一晩寝かせたカレー」食中毒ご注意 ウェルシュ菌増殖』
http://www.asahi.com/articles/ASK463CMDK46UTFL002.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。