2021年6月15日15時29分にYAHOOニュース(河北新報)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
野山を歩くのにいい季節となりました。
そこで出合ったら怖いのがクマ。
仙台市の住宅地に出没する例もあり、今年は水の森や北中山でも目撃されています。
「クマよけ鈴は効果あるの?」
「死んだふりをすれば大丈夫?」。
クマの生態に詳しい土屋剛・元石巻専修大教授(動物比較形態学)に注意点や対処法を聞きました。
Q.夏はクマに出合いやすいのですか?
A.餌が少なくなる時期なので、人里に下りて、トウモロコシなどの農作物を狙うことが多くなります。
春はブナの新芽やミズバショウ、ネマガリダケと餌が豊富です。
秋にドングリができるまでの夏場は危ないといえます。
Q.出没が多い年と少ない年があるのはなぜですか?
A.クマが好むブナの実の豊凶に左右されます。
昨年は凶作だったので、人里への出没が増えました。
ことしは新潟県の情報でブナの開花が良いらしく、大豊作になりそうです。
ことしの秋はクマが山にとどまり、人里への出没は減るかもしれません。
豊作の年は妊娠しやすくなるので、来年は子連れのクマが増えるでしょう。
クマは冬に1~3頭を出産し、2歳ぐらいまで共に行動します。
母グマは神経質で、とても危険です。
子グマを見つけても、絶対に近づかないでください。
Q.出合わないようにするには、どうすればいいですか?
A.明け方と夕方に活発に活動するといわれますが、日中もおなかをすかせて歩き回ります。
クマよけ鈴やラジオを持ち歩き、こちらの存在を知らせるのが対策の基本です。
【死んだふりは「餌」を与えるようなもの】
Q.クマよけ鈴は本当に効果がありますか?
A.2016年、秋田県鹿角市で4人がクマに襲われ死亡した事故がありました。
本来、クマは臆病なので、人の気配を感じれば逃げたり隠れたりしますが、人を襲うことを覚えたクマには、(存在を知らせることは)逆効果になります。
現在、宮城県内で、そのようなクマは報告されていません。
Q.出合ってしまったら、死んだふりをするのがいいともよく言われますが?
A.絶対に駄目です。
餌だと思われ、かまれたり、引っかかれたりして大けがをします。
恩師の玉手英夫先生(東北大名誉教授・故人)が著書『クマに会ったらどうするか』で書かれた対処は、『立ち止まったまま話し掛ける』です。
ゆっくり両腕を振るなどして大きく見せて、目を離さず、静かに遠ざかるのがいいでしょう。
Q.襲い掛かってきたら、どうすればいいですか?
A.目つぶしやともえ投げで撃退したというニュースを耳にしますが、普通の人には無理です。
効果が高いのは撃退スプレー。唐辛子の成分でできています。
風下にいると、自分にも影響がありますが、それで助かるならいいでしょう。
[メモ]
クマよけの鈴は、アウトドア用品専門店などで販売しています。
仙台市青葉区の「石井スポーツ仙台店」では、13種類を取り扱っています。
真ちゅう製は音が高く、遠くまで響きます。
山以外の場所では消音できる機能が付いた商品もあります。
価格は400~2700円ほど。
クマ撃退スプレーは1万~1万2000円。
噴射距離は8~10メートルですが、4、5メートルの距離から顔面に命中させることが必要となります。
有効期限は3~5年。
スプレーを過信せず、まずはクマに遭わないことが大事です。
[土屋剛(つちや・たけし)氏]
1947年埼玉県生まれ。
東北大大学院農学研究科博士後期課程修了。
97年から石巻専修大理工学部教授となり、2018年に退官。
宮城県特定鳥獣保護管理計画検討・評価委員会委員、日本鹿研究協会会長。
73歳。
https://news.yahoo.co.jp/articles/52429303a2a7e4fce626ff584b76504f7123dee0
(ブログ者コメント)
〇クマ対策については、これまでにもさまざまな情報を提供してきたが、これでまた一つ、情報が増えた。
〇「出遭った場合、対策としてはクマに話しかける」という件、NHKで数回放送された「知床の海岸でヒグマを叱る漁師」の話しに、相通じるところがあるように感じた。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。