2018年11月30日9時50分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【視野狭窄、運転者に過失 旭川地裁が賠償命令 死亡事故】
交通死亡事故と運転者の視野狭窄(きょうさく)=キーワード=との因果関係が争点の一つとなった民事訴訟の判決が29日、旭川地裁であった。
浜岡裁判官は因果関係を認め、視野狭窄を認識しながら車を運転した男性に重い過失があったとし、男性に計約2500万円の損害賠償を命じた。
【酒酔い運転の場合に匹敵】
事故は、旭川市のY字路交差点で、2015年8月に起きた。
午後2時半ごろ、先頭で信号待ちをしていた男性(当時41)の乗用車が青信号で発進した直後、横断歩道を右から自転車で渡ってきた女性(当時59)をはねた。
女性は頭などを強く打って死亡。
男性は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)罪で罰金の略式命令を受け、運転免許は返納したという。
女性の遺族は、「事故は、乗用車を運転していた男性に重度の視野狭窄があったことが原因」などとして、男性に約2900万円の損害賠償を求めて提訴した。
男性は視野が大きく欠けていることを自覚しており、運転の際に高度な注意義務があったと指摘。
「男性が前方左右を注視し、横断歩道上の歩行者や自転車の有無を確認する義務を怠った」などと主張していた。
これに対し男性側は、「左側の歩行者に気をとられ右方向の確認がおろそかになったのであり、視野狭窄は事故と無関係」と反論していた。
判決は、男性が07年に視野が狭くなる難病の網膜色素変性症と診断され、車の運転は困難であると伝えられていたことを重視。
「自らの視野狭窄が重度で、運転が困難であることを認識していた」とし、「運転は控えるべきだったし、運転するにしても、より慎重に安全確認するべきだった。視野狭窄が過失と無関係とは言えず、過失は酒酔い運転がなされた場合に匹敵するものとして扱うのが相当」と指摘した。
判決後、女性の長女(41)と次女(36)は、「刑事事件では視野狭窄の影響が考慮されなかったが、今回の裁判では重視してくれた。このような事故が起きないよう、(免許更新などの際に)視野狭窄の検査を入れるなど対策をして欲しい」と語った。
【専門医 「眼科の検診を」 40歳以上のドライバー】
視野狭窄は自覚症状が表れにくく、症状があっても、運転免許の取得や更新は可能だ。
運転に与える危険性は以前から指摘されており、専門医は40歳以上のドライバーに、一度は眼科を受診するよう求めている。
奈良地裁では12年、軽トラックを運転中に歩行者をはねて死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた男性(当時43)が、網膜色素変性症で「被害者を視認できなかった可能性がある」として無罪になった。
男性は症状の自覚がなく、診断されたのは起訴後だった。
裁判官は判決を言い渡した後、現行の運転免許制度について、「視力だけでなく、視野検査もするよう対策が必要」と述べた。
今回の旭川地裁の裁判で、車を運転した男性はすでに網膜色素変性症と診断され、障害者手帳(2級)を持っていた。
判決はこうした点を考慮し、「視野狭窄は事故と無関係」という男性側の主張を退けただけでなく、「酒酔い運転がなされた場合に匹敵する」と指摘した。
原告側代理人の大石弁護士は、「視野狭窄者が事故を起こした際も、責任が伴うという判断を示した」と評価した。
東北大病院の国松志保医師(眼科)によると、視野狭窄をきたす疾患には、緑内障、網膜色素変性症などがある。
いずれも、中心の視力は保たれたまま進行するので、多くの場合、運転免許の取得・更新時の基準である「矯正視力が0.7以上で、かつ片目で0.3以上」を満たす。
しかし、「軽度のうちは運転に支障はないが、ゆっくり進行するので、気づかないうちに症状が重くなってしまう場合がある」という。
40歳以上の緑内障有病率は5%といわれ、「全ての運転免許保有者に視野検査をするのは難しいが、緑内障は早期治療で進行を遅らせることができる。40歳以上のドライバーは、一度は眼科の検診を受けてほしい」と話している。
◆キーワード
<視野狭窄>
緑内障や網膜色素変性症、脳梗塞などの脳血管障害により、視野が狭くなる疾患で、日本人の視覚障害の約4割を占めるといわれている。
中心の視力は保たれたまま徐々に進行するため、気付かない場合が多い。
2017年現在、推定患者数は緑内障が約465万人、網膜色素変性症が約2万人とされる。
出典
『視野狭窄 運転者に過失 旭川地裁』
https://digital.asahi.com/articles/CMTW1811300100004.html?rm=150
11月29日21時33分に北海道新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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事故は2015年8月8日昼に発生した。
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原告側は、男性は網膜色素変性症で視野の9割以上を失い、自覚があったことから、高度な注意義務があると主張。
男性に約2900万円の賠償を求めていた。
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出典
『視野障害が死亡交通事故の一因 旭川地裁、2500万円賠償命じる』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/253094
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。