2020年11月15日21時29分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
14日午後8時ごろ、山口県上関(かみのせき)町の本土側と長島を結ぶ上関大橋(全長220メートル)で、橋と県道のつなぎ目に幅8・8メートルにわたってできた約20センチの段差に乗用車1台が衝突する事故があった。
車には30代女性と10代男性が乗っていたが、命に別条はないという。
橋は直後に全面通行止めとなり、県は15日午後6時から緊急車両のみ通行可能としたが、一般車の通行のめどは立っていない。
県警柳井署や町によると、本土側から入ってすぐの場所でコンクリート製の橋に何らかの理由で段差ができたという。
橋には送水管が通っているが、損傷はなかった。
橋を管理する県は片側車線に砕石を敷いて段差をなくし、アスファルトで舗装する応急処置をした。
県や国土交通省の職員が目視で調査したが、ひび割れなどは確認できなかった。
上関大橋は本土側と長島を結ぶ唯一の道路で、長島には町の人口2601人の半数にあたる1357人(いずれも1日現在)が暮らしている。
町は15日、移動のために住民を船でピストン輸送し、島に取り残された釣り客らについては県が15日夕に橋を約2時間通れるようにした。
https://mainichi.jp/articles/20201115/k00/00m/040/268000c
11月15日22時57分に読売新聞からは、2人は軽傷だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
乗っていた男女2人が軽傷を負った。
段差は道路と橋の接続部分に生じていた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201115-OYT1T50207/
11月15日15時5分にYAHOOニュース(中国新聞)からは、橋桁が跳ね上がったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県の調査に同行した山口大大学院の麻生稔彦教授(橋りょう工学)は15日、約1時間半の目視調査で「橋全体にひび割れなど重篤な損傷は見られない」と述べた。
橋桁が何らかの原因で跳ね上がったとの見解を示し、「初めて見るケース。橋桁の端を詳細に見るべきだ」とした。
山口県は、15日午後6時から救急車やパトカーなど緊急車両を原則通行させると発表した。
専門家たちを交え現地調査し、橋の強度は保たれていると確認できたため、緊急車両に加え、対岸の長島へ帰宅できなかった町民や釣りなどで島を訪れ足止めされていた人たちの車に限り、1台ずつ通す。
ただし、16日以降は原則、緊急車両の通行だけに制限するという。
調査で原因が特定できなかったため、慎重を期すことにしたという。
県によると、段差の発生に関連するような事故や自然災害は発生していないという。
上関大橋は県が管理する同町の室津半島側と長島とを結ぶ唯一の道路で、長さ220メートル、幅8メートル。
橋は1969年に完成した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4819dc4347dc36955f800fda081367cb065ffe15
(2021年10月31日 修正1 ;追記)
2021年2月25日7時0分に中国新聞からは、橋桁をつなぎとめる鋼材8本が破断していた、同じような破断は15年前に橋の反対側でも起きていたが、今回破断した場所では確認されていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
山口県上関町の上関大橋で本土の室津側の路面に約20センチの段差が生じた問題で、段差の原因となった鋼材の破断が2006年に対岸の長島側でも発生していたことが24日、分かった。
橋を管理する県は15年前の損傷を公表していない。
長島側の破断は、老朽化に伴う補修・補強工事前の06年2月の超音波探傷試験で見つかった。
橋桁を垂直につなぎ留める全18本の鋼材のうち、7本が破断。
室津側では確認されなかった。
その後、長島側の橋台のコンクリートを取り除いて半数の9本を調べた結果、全てに腐食が広がっていた。
水の浸透が要因とみられる。
県は、長島側だけケーブル4本を外付けし、橋桁を橋台に固定して補強。
当時は交通規制をしていない。
室津側を補強しなかった理由を県道路整備課は、「目視の点検でも異常がなく、様子を見ていた」とする。
室津側の段差は昨年11月14日に発生。
全18本の鋼材のうち、8本の破断が判明した。
腐食などが疑われるとした。
桁全体が均一に浮き上がっていることから、残り10本も破断か抜け出していると推定した。
上関大橋は1969年に完成。
県は17年度の目視点検で、4段階ある健全度で2番目に良好な「予防保全段階」とした。
超音波探傷試験は15年前からしておらず、その間に鋼材の腐食が進んだ恐れもある。
県は、段差の原因や復旧対策について専門家の検討会議を設置。
非公開の会合で15年前の鋼材の破断を説明したとするが、報道陣など会議の外部には説明してこなかった。
同課は、「今回は室津側で起きたことで、隠していたわけではない。当時は橋も浮き上がらず、一連の補修工事で対応した」と説明している。
2021年2月16日付で日経クロステック/日経コンストラクションからは、橋台上の桁端部には常に上向きの力がかかるので桁の浮き上がりを抑えるため橋座と鋼材でつないでいたなど下記趣旨の記事が、橋の構造図や破断した鋼材の写真付きでネット配信されていた。
上関大橋(山口県上関町)で、15年前にも反対側で破断が起こっていたことが、日経クロステック/日経コンストラクションの取材で分かった。
橋を管理する山口県はその事実を公表せず、もう1つの「時限爆弾」を放置していた。
事故が起こった上関大橋は、室津半島と長島を結ぶ長さ220mのプレストレスト・コンクリート(PC)箱桁橋だ。
1969年に完成した。
中央部がヒンジの「ドゥルックバンド」と呼ぶ構造形式を採用している。
2本の橋脚を中心に、それぞれシーソーのようになっていて、橋台上の桁端部には常に上向きの力がかかる。
桁の浮き上がりを抑えるために橋座と鉛直PC鋼棒でつないでいた。
そのPC鋼棒の破断によって2020年11月14日夜、室津側の桁端部が突然跳ね上がり、路面に約20cmの段差が生じた。
この段差は、通りかかった自動車の衝突事故を引き起こしていた。
一つ間違えば、落橋しかねない致命的な損傷だ。
コンクリート内への水の浸入で腐食したとみられる。
鉛直PC鋼棒は、桁や橋台のコンクリート内部に埋め込まれているので、目視では点検できない。
そのため、橋を管理する県は、PC鋼棒の腐食状態などをチェックせず、17年度の定期点検で健全度を2番目に良好なIIと判定していた。
事故後に橋座の前面にある突起部をはつって調べたところ、18本の鉛直PC鋼棒のうち、8本の破断を確認できた。
桁全体が浮き上がっているので、他の10本も見えない箇所で破断したか、あるいは抜け出ていると考えられる。
・・・
(以降、有料)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01565/021200001/
2021年8月10日19時20分にYAHOOニュース(中国新聞)からは、排水できない構造で雨水が橋台と橋桁の間にたまったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
専門家らでつくる復旧検討会議が同日開かれ、結論づけた。
座長の麻生稔彦山口大大学院教授(橋りょう工学)らが説明。
視認や長さの測定などから、全18本の鋼棒すべてが破断していると推定。
原因として、排水できない構造で、雨水が橋台と橋桁の間にたまり、腐食しやすかったとした。
二つある橋桁のうち、室津側が浮き上がり、長島側にもたれかかっているため、橋のどこに力がかかっているのかを確認できない状態であることも説明。
麻生教授は、「安全が保証されていない状態。まずは橋桁の位置を直すことが大切」と話した。
点検方法については、15年前に判明していた長島側の損傷履歴を反映した方法になっていなかった点を指摘した。
県は今後、3月に打ち込んだ「グラウンドアンカー」と呼ばれる鋼のワイヤ4本をさらに押し込むことで段差を解消する予定。
来月以降に着工し、来年3月までの完了を目指す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b6d77aa9c44e2e3f5fa26c2634bf44f6050ad8f
2021年10月29日12時31分にYAHOOニュース(山口放送)からは、復旧工事が始まったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
上関大橋の本復旧工事が始まった。
上関大橋の本復旧工事は28日から始まっていて、29日は足場を設置する作業が行なわれた。
県では応急復旧工事を行い、これ以上、段差が広がらないよう固定するなどしていたが、本復旧工事では、すでに設置している4本のアンカーを引っ張り橋桁を押さえつけて段差を解消させ、事故前の状況に戻すという。
県では本復旧工事を来年3月末までに完了させる計画。
https://news.yahoo.co.jp/articles/50b3c1eb6476f7c054bb6dd204f70628f167212c
(ブログ者コメント)
橋桁を支える鋼材がある場所に水が浸み込みやすい構造だったという趣旨の報道だが、なぜ、そんな設計になったのだろう?
同じタイプの橋は他にもあると思うが、大丈夫なのだろうか?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。