2020年11月16日18時53分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都は16日、墨田区内の保育園で給食を食べた1~6歳の園児28人に、一時的に腕や顔に発疹などの症状が出たと発表した。
都によると、墨田区保健所は、きつねうどんのスープから検出された化学物質「ヒスタミン」が原因の食中毒と断定。
給食の調理業者が、ヒスタミンが入っていた市販のだしパックをメーカーによって定められた調理法よりも長く煮て、抽出された可能性があるとみている。
都によると、ヒスタミンは赤身魚などで繁殖する菌によって生成されるといい、使用済みのだしパックから微量が検出された。
だしパックのメーカーは煮る時間を10分間としていたが、給食の調理業者は45分間煮ていた。
都は「記載されている用法を守ってほしい」と呼びかけている。
保育園では、11日昼にきつねうどんなどの給食を提供。
園児75人を含め91人が食べた。
園児28人に発疹などが出たが、1時間ほどで収まり、いずれも軽症だった。
https://www.sankei.com/affairs/news/201116/afr2011160029-n1.html
※以下は、ネタ元と思われる東京都の発表資料。
(2020年11月16日 福祉保健局)
【探知】
11月11日(水曜日)午後2時15分、墨田区内保育園の園長から墨田区保健所に「給食喫食後、園児20名から30名が腕や顔に発疹の症状を呈している。」旨の連絡があった。
【調査結果】
墨田区保健所は、探知後ただちに食中毒の調査を開始した。
・患者は、同園の園児28名で、11月11日(水曜日)午前11時00分から給食を喫食したところ、同日午前11時10分から午後0時20分にかけて、顔や腕に発疹を呈していた。
・患者の共通食は同園で提供された給食のみで、全員がきつねうどんを喫食していた。
・同園で提供された給食についてヒスタミンの検査をしたところ、検食(きつねうどん、きざみ揚げ)から8mg/100g、20mg/100gを検出した。
残品(だしパック)は5mg/100g未満であった。
【決定】
墨田区保健所は、本日、以下の理由により、本件を11月11日(水曜日)に同園で調理、提供された給食のきつねうどんを原因とする食中毒と断定した。
・患者の共通食は保育園の給食のみで、全員がきつねうどんを喫食していた。
・同園で提供された給食についてヒスタミンの検査を実施したところ、検食(きつねうどん、きざみ揚げ)から8mg/100g、20mg/100gを検出した。
・患者の症状及び潜伏期間が同物質によるものと一致していた。
・医師から食中毒の届出があった。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/pressshokuhin201116.html
(2020年12月14日 修正1 ;追記)
2020年12月12日15時0分に朝日新聞からは、煮だし時間は無関係、加工前の魚の管理に問題があった可能性ありという識者の意見などが、下記趣旨でネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
11月半ば、東京都墨田区の保育園の給食で食中毒が起きた。
発疹など症状は軽かったが、原因の可能性がある食材として浮上したのが「だしパック」だったことから、関係者に議論を呼んでいる。
都の食品監視課によると、当日のメニューはきつねうどん、カボチャサラダ、バナナ、麦茶。
午前11時ごろから食事を始め、10分後から1時間20分後にかけて、園児28人の顔や腕に発疹が現れた。
いずれも軽症で1時間ほどで回復。同じ給食を食べた職員らに発症はなかったという。
【ヒスタミンを検出】
症状からヒスタミンによる食中毒を疑い、都が検査をしたところ、きつねうどんから100グラムあたり8ミリグラムのヒスタミンを検出(スープ、麺、具すべてを含めた値)。
この日のメニューでヒスタミンを含み得るものは、だしに使われたカツオ節のほかにないため、都ではだしパックのカツオ節が原因食材の可能性があるとして、流通状況などを調べている。
保育園の給食を調理した事業者によると、使用しただしパックは継続的に使ってきたメーカーのもので、これまでに問題はなかったという。
ヒスタミンとは何か。
藤井建夫・東京家政大学大学院客員教授(食品微生物学)によると、マグロやカツオなどの赤身魚に多く含まれるアミノ酸の一種が、漁獲後に、魚に付着している細菌の作用で変化して生成される。
漁獲後の魚の温度管理が不適切だったりすると、細菌が繁殖してできる。
他の多くの食中毒は加熱によって防げるが、ヒスタミンはいったん生成されると調理の加熱程度では分解されない。
厚生労働省の統計では、ヒスタミン食中毒は2011年~19年に94件発生。
ただ、症状は比較的軽く、死者は出ていない。
症状は似ているが、体質によって免疫の仕組みでヒスタミンができて起きる食物アレルギーとは別物だ。
今年5月には大津市の保育施設で「サバのカレー焼き」、2月には大阪府東大阪市の子ども関連施設で「ウルメイワシ」などでも起きている。
藤井客員教授によると、成人が発症するほどの量が含まれている場合は、食べたときにピリピリとした刺激を感じることが多いという。
食品安全委員会の資料では、成人では、最も少ない例で22ミリグラムの摂取で食中毒が報告されている。
ただ、少なくとも過去2年の食中毒は、いずれも魚肉を食べた例だ。
乾物のカツオ節で食中毒が起こりうるのか。
製造業者や流通業者などでつくる日本鰹節(かつおぶし)協会によると、カツオ節の原料となるカツオは通常、遠洋での漁獲後すぐに船上で冷凍され、その後の水揚げも加工場までの運搬も、すべて冷凍された状態で行われるという。
藤井客員教授は、「原料の魚が加工されるまでの過程のどこかで温度管理がうまくいかなかったことが考えられなくはないが、カツオ節で食中毒というのは聞いたことがない」と話す。
【煮出し時間は無関係】
また今回は、だしパックを15分煮出した後、鍋にそのまま30分漬け置いており、一部に調理時間の長さの関連を疑う報道もあった。
しかし、藤井客員教授は、ヒスタミンは熱に強く、長く煮るほど毒性が高まるという性質のものではないと指摘。
「調理法の問題ではない」とする。
だし殻をこす必要がないだしパックは近年人気を集めており、調査会社の富士経済は、販売量が24年に11年比で200%近い伸びになると予測する。
だしをしっかり取ってうまみを利かせると、薄味でもおいしい料理が作れることから、給食現場でも活用が進む。
調理を担当した事業者は、「いずれにしてもヒスタミン食中毒を発生させたことは事実で、園児や保護者には大変申し訳なく思っている。原因究明のため、都の調査に最大限協力する」と話す。
現在はだしパックは使わず、昆布でだしを取っているという。
一色賢司・北海道大学名誉教授(食品衛生学)によると、例えば衛生管理の悪い海外の漁船で取った魚が混ざったり、流通のどこかで冷凍施設が壊れていたりすれば、可能性はゼロではないが、国内に流通するだしパック一般の衛生管理は行き届いている、という。
原因がだしパックというのが事実なら、極めて特異な事例と指摘。
「漁船から加工までの管理状況を詳しく調べる必要があるが、今回の事例で消費者がカツオ節やだしパックの使用を控える必要はないだろう」という。
2020年 地域 原因食材(一部推定) 発症者
1月 東京都 ブリの照り焼き(飲食店) 11人
1月 埼玉県 ブリの照り焼き風(中学校) 8人
2月 大阪府 ウルメイワシ(子ども関連施設) 46人
3月 熊本県 サバのオーブン焼き(福祉施設) 30人
5月 滋賀県 サバのカレー焼き(保育施設) 15人
6月 愛知県 マグロハンバーグ(飲食店) 2人
8月 鳥取県 あぶりガツオ(飲食店) 3人
8月 鹿児島県 カジキマグロの刺し身(弁当) 4人
https://digital.asahi.com/articles/ASNDC3QR2NCSUTFL00P.html?pn=5
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。