2018年8月28日12時56分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前7時5分ごろ、三重県四日市市の四日市港でシンガポール船籍の貨物船「DRACOOCEAN」(約3万3000トン)が接岸しようとして、岸壁に衝突した。
この事故で、貨物船は船首付近の左舷に幅約10m、高さ2mほどの長方形の穴があいたが、フィリピン人の乗組員18人にけがはなかった。
船体への浸水はなく、海に油などは流出していないという。
海保によると、貨物船は石炭約5万5000トンを積んでアメリカから四日市港へ向かっていたという。
当時、風はなく、波も穏やかだったということで、海保が事故の詳しい原因を調べている。
四日市港では8月17日にも、別のコンテナ船が岸壁に接触しクレーンなどが壊れる事故が起きている。
出典
『四日市港で貨物船が岸壁に衝突』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180828/3070000149.html
(ブログ者コメント)
コンテナ船の事故は本ブログでも紹介スミ。
(2018年9月15日 修正1 ;追記)
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水先人が減速を指示したのに、何らかの理由で速度を落とすことができなかった。
出典
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
(ブログ者コメント)
この事故や8月17日に起きたコンテナ船が岸壁などに接触した事故を受け、伊勢湾や三河湾で大型船に乗り込む水先案内人の団体が再発防止策を申し合わせた。(別記事として掲載)
(2020年8月28日 修正2 ;追記)
2020年8月27日19時50分にNHK三重からは、水先案内人に代って船長が操船していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
おととし8月、四日市港で香港籍のコンテナ船「OOCL NAGOYA」約4万トンが、接岸しようとした際に岸壁やコンテナ積み下ろし用のクレーンに衝突する事故を起こしました。
けが人や油の流出などはありませんでしたが、国の運輸安全委員会が事故の状況や原因を調査し、26日、その内容をまとめた調査報告書を公表しました。
それによりますと、当時、コンテナ船では大型船の接岸を誘導する「水先人」が着岸するための操船を行っていましたが、船長は、減速が十分ではなく、着岸に失敗すると感じて操船を代わっていました。
そのうえで、操船を代わった船長がすでに着岸していた別の船に衝突しないようにすることに気を取られた結果、船の姿勢を制御できず岸壁に衝突したとみています。
国の運輸安全委員会は、再発防止策として、港での接岸の際には船長と水先人の間でのやりとりを密に行うよう求めています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20200827/3070003957.html
(ブログ者コメント)
上記報道だけでは、様子がイマイチ分からなかったため、事故報告書を確認。
結果、以下のようなコミュニケーション不足が原因だった。
ちなみに船長の国籍は見つからなかったが、乗組員全員が外国人につき、おそらくは外国人だと思われる。
(12ページ)
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本船は、本件船長ほか23人(中華人民共和国籍18人、フィリピン共和国籍5人)が乗り組み、コンテナ貨物18,536.9トンを積載し、本件水先人1人が乗船の上、平成30年8月17日05時30分ごろ愛知県名古屋港を出港して本件岸壁に向かった。
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(13ページ)
2.1.5 本件水先人の口述等による事故の経過
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本件船長は、左舷ウイングで本件水先人の指示を操舵室に伝えていたところ、急な風向風速の変化に気付き、左舷方の25号岸壁に出船右舷着けで係船していた全長約118mの自動車運搬船(以下「本件係留船」という。)との離隔距離が約90mと目測したが、本件水先人とこのことを協議することはなかった。
本件水先人は、船速をある程度維持していないと左舷方への圧流が大きくなるので、本船の船尾が本件係留船を通過した後に後進推力を強め、主機を半速力後進まで使用すれば、本件岸壁の前面に進出して停船し、一軸右回り船の特性*11によって本船の船首が右に振れて、本船の姿勢を岸壁と平行にできると思っていたものの、このことを船長に説明しなかった。
本件船長は、07時36分ごろ、本船の速力が約2.5knとなり、本件水先人が、主機を極微速力後進とするよう本件船長に伝え、バウスラスタを右一杯で継続して使用するとともに、トランシーバでタグボートに対し、3時方向にデッドスロー(微速力)で引くよう指示していたところ、速力が速いのではないかと本件水先人に繰り返し主張した。
本件船長は、本船の速力が過大だと感じ、本件水先人から極微速力後進から微速力後進にすると伝えられたものの、風による圧流で本船が本件係留船方に寄せられるように見えて着岸操船が失敗すると思い、それでは十分ではないと本件水先人に告げ、自ら半速力後進、全速力後進を指示して急減速し、本件水先人に対してタグボートに右舷方に一杯で引かせるよう繰り返し指示した。
本件水先人は、自身の操船指示を本件船長が受け入れなくなったので、本件船長の操船指揮に従うこととし、トランシーバでタグボートに本船の船尾を右舷方に一 杯で引くよう伝えたところ、本船の前進行きあしが止まって左舷方へ大きく圧流されるのを認めた。
本船は、圧流されて本件係留船に更に接近していくので、本件船長が本件係留船との衝突を避けるために左舵一杯とし、主機を使用して全速力前進まで回転数を上げ、タグボートに右舷船尾を右舷方に一杯で引かせた。
本船は、本件船長が、本件係留船が船尾を通過したとの報告を受け、直ちに舵中央とし、主機を停止して右舵一杯としたものの、07時39分ごろ、本船の左舷船首部が本件岸壁上で停止中の本件ガントリークレーンに衝突し、接触したまま前進を続け、停止していた他の2基のクレーンが共に押されて移動したほか、本船の左舷船首部船側外板が本件岸壁上縁部に衝突した。
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(34ページ)
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本件船長が、即時に介入して自ら操船を行い、全速力後進まで使用して本船の前進行きあしが失われたのは、本件水先人との十分な信頼関係を形成できなかったこと、及び本件係留船付近で本件岸壁に接近する本船の速力を速く感じたことから、本船の動きを完全に止めようと思ったことによるものと考えられる。
本件船長が、本件水先人との十分な信頼関係を形成できなかったのは、本件水先人の説明が十分に行われていないと感じていたことによるものと考えられる。
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https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2020/MA2020-7-1_2018tk0012.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。