2022年5月11日6時5分にYAHOOニュース(北海道新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
オホーツク管内斜里町の知床半島沖で沈没した小型観光船「KAZU 1(カズワン)」(19トン)が、航路上の大半が通信圏外の携帯電話を陸上などとの通信手段としていた問題で、同様の船が全国で最大約400隻に上ることが10日、国土交通省への取材で分かった。
他の通信設備がない場合、緊急時の連絡体制に大きな欠陥が生じるため、同省は10日、全国の小型旅客船の通信設備の緊急安全点検を始めた。
航路上の一部でも圏外の場合、25日までに衛星電話など常に通信可能な手段への変更を求める。
国交省は11日、小型旅客船の安全対策を話し合う有識者委員会の初会合を開く。
今回の事故では国のチェック体制の甘さも指摘されており、斉藤鉄夫国交相は10日の記者会見で「事故を真摯(しんし)に受け止め、法体系も含めて安全管理体制に不備がなかったか総合的に検討する」と述べた。
緊急点検では、携帯電話を通信手段とする全国の小型旅客船(20トン未満)など約2500隻の航路と、携帯の通信圏の地図を照らし合わせ、最大約400隻の航路が通信圏から外れていると判断。
代替通信手段がない船には25日までに衛星電話などの配備を求める。
必要に応じて事業者に通話可能か実地点検も求める。
船舶安全法は船の通信手段として、無線や衛星電話のほか、常に通信が可能なことを条件に携帯電話の使用も認めている。
ただ国交省によると、船舶設備の法定検査を代行する日本小型船舶検査機構(JCI)は、航路が通信圏内にあるかを地図で調べるだけで、通話の確認はしていなかった。
航路の一部が通信圏外でも、観光船事業者が利用できると申告すれば通信手段として認める例もあった。
カズワンは事故3日前の4月20日、JCIの検査を受けた際、通信手段を衛星電話からKDDI(au)の携帯電話に変更すると申請し、即日認められた。
ただ、auは航路上の大半が通信圏外だった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cdfad7c4fbbd6c0fff71ad0718c4616f8bfdde58
(ブログ者コメント)
〇以下の報道によれば、JCIの内規では「事業者が携帯を利用できると申告すれば、それを認める」と決められていた。
(2022年5月11日 毎日新聞)
カズワンを巡っては、事故3日前の4月20日、日本小型船舶検査機構(JCI)札幌支部が国の代行機関として船舶検査を実施しており、その際、豊田徳長=行方不明=が通信手段を携帯電話に変更したいと申し出た。
通信事業者のエリアマップは、その携帯電話が航路の大半で通信できないことを示していたものの、船長が海上でも通じると話したことなどから、担当者は申し出を認めていた。
JCIは船舶検査の際、携帯電話を通信設備とする船について、航路の一部が通信事業者のエリアマップから外れていても、事業者が通じると申告した場合は変更を認めると内規で定めていた。
国交省は事故を受け、この内規の変更をJCIに指導した。
各事業者には、船の携帯電話の通信エリアをエリアマップで確認した上で、航路が通信エリアに入っていない場合は常時通信可能な通信設備へ変更するよう要請する。
https://mainichi.jp/articles/20220511/ddq/041/040/005000c
〇設計と現場が違うことはしばしば?あることで、場合によっては現場に合わせることも必要になる。
しかし今回のようなケースでは、仮に検査官が現地に行き、携帯が通じることを確認できたとしても、それはタマタマかもしれず、常に通じるとは限らないので、設計どおりにするべきだ。
ブログ者も現役時代、放射線管理区域の変更申請にあたり、計算では高い数値になっている場所が、半減期を考えても実際にはベラボウに低かったため、マージンを大きくとるので現場の数値ベースで決めさせてもらえないか相談したが、門前払いをくらったことがある。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。