2021年3月16日20時41分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原子力規制委員会と東京電力は16日、東電柏崎刈羽原発(新潟県)で2020年3月~21年2月、テロ対策用の侵入検知装置の故障が計16カ所であったと発表した。
うち10カ所では、東電が代わりに講じた措置も不十分だったため、侵入を検知できない状態が30日間を超えていた恐れがあった。
装置の復旧に長期間かかっていたことも判明。
東電のずさんな態勢が明らかになった。
規制委は同日、非公開の臨時会議を開き、12年の設立以降初めて、この問題をセキュリティー上「最も深刻なレベル」と判断。
東電に組織としての見直しを求めることを決めた。
東電は、1月27日に侵入検知装置を1カ所誤って損傷させたと規制委に報告。
これを受けて規制委は検査を進めていた。
規制委によると、柏崎刈羽では18年1月以降、侵入検知装置の故障が複数見つかっていたが、すぐに復旧もしなかった。
また20年3月以降、故障した装置を補う代替措置も、警備担当社員が実効性がないことを知りながら改善しなかった。
装置は全て復旧済みで、侵入は確認されていない。
実効性がない代替措置について、更田委員長は「不正なのか、分かっていて意図的にやらなかったのか。あるいは知識が足りなかったのか。技術的な能力の問題か。それとも、なめているのか。この程度でいいんだと。委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」と述べた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/91898
3月17日5時32分に日本経済新聞からは、侵入防止対策などのルールの詳細は明らかになっていないなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原発では内部にある危険な放射性物質を奪われるのを防ぐために、核物質防護規定というルールを定めている。
規定の詳細は明らかになっていないが、外部からの侵入を検知する監視カメラの設置などが義務付けられているという。
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20年4月から始まった原発の新検査制度では、核物質防護や安全に関する問題が生じた際、その重要度を緑、白、黄、赤の4段階で評価している。
規制委は極めて深刻とする「赤」と評価するに当たり、柏崎刈羽原発を「組織的な管理機能が低下している」と断じた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGG165RX0W1A310C2000000/
3月16日21時57分に読売新聞からは、不備のあった設備の詳細はテロ対策上、公表できないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
規制委は不備のあった設備の種類や数などについて「テロ対策上、公表できない」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210316-OYT1T50203/
3月17日付で毎日新聞からは、規制委の委員長は今回の問題は過去の不祥事に比べ、インパクトが全く違うと言ったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「インパクト自体が全く違う。他のものとは全く比較不可能だ。悪い意味で東電スペシャルなのではないか」。
16日夕に記者会見した規制委の更田(ふけた)豊志委員長は、事態の重さをこう強調し、東電を厳しく批判した。
今回の事案は、核セキュリティー上、4段階で3番目だったID不正問題よりも重く、4段階で最も悪質な「最悪レベル」と認定された。
更田氏によると、同僚のIDカードを利用し不正入室した所員は、もともと中央制御室に入る資格があった。
しかし今回は、第三者が不法に侵入できる状態が複数箇所で長期間続くという、非常に深刻な事態だったためだという。
https://mainichi.jp/articles/20210317/ddm/041/040/036000c
3月7日18時16分に毎日新聞からは、今回の不祥事は日曜夜の抜き打ち検査で発覚したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原子力規制庁が不備を発見したのは「抜き打ち検査」だった。
柏崎刈羽原子力規制事務所の渡辺健一所長が17日、毎日新聞の取材に応じ、自ら抜き打ち検査をしたことを明らかにした。
渡辺氏によると、実施したのは2月21日午後9時。日曜日の夜だった。
東電はこの2日前に「核物質防護規定違反の可能性がある複数の事案を規制庁に報告した」と公表したが、詳細は明かしていなかった。
原発の核セキュリティーに関する検査は、本庁の検査官が出張して担当するのが通例だ。
規制事務所員は専門の訓練を受けていないためだ。
だが、事態を重く見た原子力規制委員会の更田豊志委員長から渡辺氏に、「休日、夜間に生の現場の状況を見てほしい」と特別な指示があった。
渡辺氏は別の検査官と共に2人で、日曜夜に突如、柏崎刈羽原発を訪ね、抜き打ち検査を実施。
現場の状況を写真に収め、本庁に報告した。
渡辺氏は「警備が手薄になりがちな休日の夜にあえて行って(現場を)見た。詳細は話せないが、東電が講じた代替措置には実効性がなく、複数箇所で長期間、不正侵入を検知できない状態だったと分かった」と話す。
これを可能にしたのが、2020年4月に本格導入した新検査制度だ。
検査官には時間や場所の制約を受けずに、原発構内を検査できる「フリーアクセス」が認められている。
突然の「抜き打ち検査」は現地の検査官ならではのもので、移動を伴う在京の本庁検査官には、なかなか難しいという。
更田氏は3月16日夕の記者会見で、抜き打ち検査をしたことを明かし、「新検査制度の下で、いつでも検査に行って確認できるようになった効果の一つだ」と述べた。
https://mainichi.jp/articles/20210317/k00/00m/040/200000c
(ブログ者コメント)
いくらなんでも、これはいけません。
なぜ、こんな状態になっていたのだろう?
チェックリストに基づいて定期的に外観目視点検や作動状況確認などを行い、その結果を責任者が見ていた筈なのだが・・・。
新たに実施している安全対策の進捗だけに目がいき、従来の安全対策の維持管理がおろそかになっていた?
まさか、そんなことはないとは思うのだが・・・。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。