2015年10月1日13時8分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東日本大震災で「トモダチ作戦」にあたった米国の原子力空母「ロナルド・レーガン」が、1日、米海軍横須賀基地に配備された。
作戦から4年半。
当時の乗組員たちは、今、健康被害を訴えて米国で訴訟を続けている。
称賛された支援活動の陰で何があったのか。
トモダチ作戦に従事した元海軍大尉のスティーブ・シモンズさん(37)に会うため、記者は米国ユタ州ソルトレークシティーを訪ねた。
ロナルド・レーガンの元乗組員たちは、事故から約1年9カ月後の2012年12月、「東京電力福島第一原発事故で東電が正しい情報を示さず、被曝した」として、カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁に提訴。
当時、艦載機部隊の管理官だったシモンズさんも、訴訟に加わっている。
「空母では、当初、海水蒸留装置の水を飲んだり、その水で調理した食事をとったりしました。現場海域に着いてから3日後の2011年3月15日、艦長が『水を飲まないように』と命じました。だが、すでにシャワーを浴びたり、水を飲んだりしたあと。その後も、甲板の洗浄には汚染された海水を使っていました」
「乗組員は強い放射線にさらされ続けましたが、当時は健康へのリスクに無知でした。私たちは人道支援にあたったのであり、核惨事に対応できたわけではない。東電が正しい情報を出していれば、違った対応がとれたはずです」
シモンズさんは、帰国後、体調が悪化。様々な症状に苦しんでいる。
「11年末、車を運転中に突然気を失いました。高熱が続き、リンパ節がはれ、足の筋力が衰えました。髪の毛が抜け、体重も10数kg激減。トモダチ作戦前は登山をするなど健康体でしたから、症状が現れたときには打ちのめされました」
「筋肉を切り裂くような痛みは腕や胸に広がり、全身のはれや囊胞、発汗、膀胱不全などを発症。通院するソルトレークシティーの退役軍人病院の医師は、『放射能の影響だろう』としています」
米国防総省は、昨年、連邦議会へ報告書を提出した。
乗組員らが受けた放射線量は一般の米国人が自然界から受けるより低いとし、健康被害との因果関係は考えられないと主張している。
「報告書は使い物にならない代物。乗組員全員の検査をせず、健康被害のリスクはなかったとしている。飲料水の汚染は検知器の誤作動だったとしているのも不可解です」
「作戦に従事した元乗組員2人が亡くなり、ほかの仲間も深刻な健康被害を抱えています。一方で(係争中の訴訟は)米国内で理解されていません。私自身は海軍に16年以上勤めたので医療費を受けられますが、20代の若い仲間は、健康問題が生じると何の保障もなく、海軍を追い出されている。見捨てられません」
横須賀に配備されたロナルド・レーガン。
地元からは、「事実上の母港化が続く」、「原発再稼働に匹敵する問題」などとして反対の声が上がるほか、「完全に除染されたという客観的証拠を示すべきだ」との指摘もある。
「(ロナルド・レーガンには)『トモダチ』としての顔と『放射能汚染にさらされた船』という両面があると思う。日米政府間の信頼醸成には資するが、地元側が安全性に疑問を抱くのも当然。原発事故後、日本人の放射能汚染への意識は高まっているでしょう。レーガンの除染について、米側に正しい情報を求める権利がある」
米情報公開法に基づき、訴訟の弁護団が、ロナルド・レーガンの航海日誌や米原子力規制委員会(NRC)の電話会議記録を入手していた。
航海日誌によると、演習参加のためにハワイから韓国・釜山に向かっていたロナルド・レーガンは、大震災を受けて、11年3月13日までに福島沖に到着。米第7艦隊や海上自衛隊と活動を始めた。
そして、NRCの電話会議記録には、13日の米海軍高官の発言が残る。
「東北近海の海自艦に立ち寄ってレーガンに戻ったヘリ搭乗員の靴などから放射性物質を検出した」
「沖合約185kmにいたレーガンは、放射性プルーム(雲)の下に入った。空気中の放射線量が通常の30倍の数値を示し、救援活動を一時停止した」
その後の状況も、航海日誌に記されていた。
「16日午後11時45分、福島第一原発東方沖約230kmの海域を航行中に、放射性プルームに包まれた」
「17日午前5時7分に抜け出すまでの5時間あまり、強い放射線にさらされた」
ロナルド・レーガンは4月上旬まで日本近海で活動を続け、東南アジアや中東を経て、9月にハワイへ。
ワシントン州の海軍施設で除染されたという。
横須賀への配備を前に、外務省北米局は、「我が国の周辺に米海軍の強固なプレゼンスが引き続き維持される。トモダチ作戦に従事した艦船でもあり、入港を歓迎する」と発表した。
一方、米国で訴訟を起こした元乗組員側の原告は250人を超え、10億ドル(約1200億円)の救済基金の設立を要求。
2人が骨膜肉腫や急性リンパ球白血病で亡くなっている。
東電側は、「政治的問題なので裁判になじまない。日本で審理するべきだ」として、却下を申し立てている。
出典
『トモダチ作戦、称賛の陰で 元空母乗組員ら健康被害訴え』
http://digital.asahi.com/articles/ASH9W4TZ7H9WPTIL008.html?rm=994
2016年5月18日12時46分に日本経済新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
小泉純一郎元首相は、17日、米カリフォルニア州南部カールスバッドで記者会見し、東日本大震災の被災地への支援活動「トモダチ作戦」で被曝したと訴える元米兵らへの認知と支援を訴えた。
さらに、「大半の原発が停止しても日本経済は維持できている。原発ゼロ社会は可能」と持論を訴えた。
会見に先立ち、小泉元首相は元米兵らと面会、症状などの説明を聞いた。
小泉元首相が「日本に何かできることはあるか」と尋ねたところ、元米兵らは黙ったままだったという。
米空母「ロナルド・レーガン」の乗組員だったベント・セレンタス氏は、「元首相のような地位の高い人が来て我々の声に耳を傾けてくれるのはうれしい」と語った。
出典
『小泉元首相、元米兵への支援訴え 「被災地支援で被曝」』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H1N_Y6A510C1CR0000/
※キーワード;福島第1原発
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。