2017年8月12日8時30分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
エスカレーターに車いすやベビーカーを直接乗り入れたことが原因となった事故で、平成27年までの5年間に東京都内で計40人が救急搬送されていたことが11日、東京消防庁への取材で分かった。
7月には高松市でエスカレーターから車いすが転落、巻き込まれた女性が死亡する事故が起きており、改めて、こうした使用方法の危険性が浮き彫りになった。
同庁によると、23~27年にエスカレーターの事故で救急搬送された人は6724人。
このうち、車いすが乗り入れたことで10人が、ベビーカーが乗り入れたことで30人が、それぞれ救急搬送された。
車いすが横転する事故や、ベビーカーのバランスが崩れて男児が放り出される事故があったほか、下りのエスカレーターにショッピングカートを乗せ、そのまま転落したケースもあった。
国交省によると、車いすやベビーカーでのエスカレーター利用は、法令上、規制されていないという。
製造メーカーなどでつくる「日本エレベーター協会」は、ベビーカー、カート、車いすなどを乗せるのはやめるように利用者に呼びかけている。
頻発するエスカレーター上での車いすやベビーカーによる事故。
利用者らが「つい乗ってしまう」背景には、十分なバリアフリー意識が社会に浸透しておらず、エレベーターなどの設備が不足している現状もあるとみられている。
専門家は、こうした行為の危険性に警鐘を鳴らすとともに、周囲の人たちの配慮も必要だと指摘する。
高松市で死亡事故が起きたのは7月10日。
家具インテリア店の上りエスカレーターに、車いすの妻(79)と付き添いの夫(81)が乗っていた際、バランスを崩し転落。後方にいた女性(76)が巻き込まれて死亡した。
夫は「エスカレーターがそこにあったのでつい乗ってしまった」などと説明したという。
商業施設や百貨店、駅では、車いすやベビーカーでのエスカレーター利用を原則禁止しているところが多いが、利用者は後を絶たない。
「車いすでエスカレーターに乗ってしまったことがある。絶対やってはいけなかったと反省している」
車いす利用者で、障害者の自立を支援するNPO法人「車椅子の会サイレントフット」(相模原市)の佐藤会長(52)は、こう打ち明ける。
国交省によると、1日平均3000人以上が利用する3542駅のうち、エレベーターやスロープを設置している駅は3045駅(27年度末時点)。
2000m2以上の施設や店舗のバリアフリー化は、同年度末までに56%にとどまる。
佐藤会長は、「エレベーターの位置などを下調べをしても、混雑で使えないことは少なくない。目的地までたどり着くのは大変」と明かす。
日本大学の八藤後(やとうご)猛教授(福祉まちづくり・安全工学)は、バリアフリーに関する法律が整備される以前はエレベーターのない場所が多く、階段かエスカレーターを使うしか選択肢がなかったとした上で、「特に中高年の人たちは、車いすでエスカレーターを使うことにそこまで抵抗感がないのでは」と分析する。
一方で八藤後教授は、「車いすやベビーカーでエスカレーターを利用する危険性を広く知ってほしい」と強調。
「エレベーター利用を促すアナウンスをすることは効果的だ」と話している。
出典
『車いす・ベビーカー・買い物カート 都内でエスカレーター事故多発、5年間で40件 原則禁止でも「つい利用」』
http://www.sankei.com/affairs/news/170812/afr1708120003-n1.html
(ブログ者コメント)
高松市の事故は本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。