2021年3月25日19時13分にNHK岐阜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年3月、美濃加茂市にある美濃太田駅構内で長良川鉄道の1両編成の車両が脱線しました。
国の運輸安全委員会は現場に調査官を派遣するなどして事故原因を調べていて、25日に調査報告書が公表されました。
それによりますと、現場付近の枕木130本のうち50本に腐食やひび割れがあったほか、レールと固定するために枕木に打ち込む「犬くぎ」と呼ばれる専用のくぎが、マニュアルでは1本の枕木に8本打たなければいけないところ、実際には6本だったということです。
このため、列車がカーブを通過する際に横方向の力がかかってレールの幅が広がったことが事故の原因につながった可能性が高いとしています。
また、作業員の技術力不足で、危険なまくらぎの整備が行われていなかったことも指摘されています。
これについて長良川鉄道は、「木製の枕木から耐久性が高いコンクリート製の枕木に交換を進めている。社員の技術力の強化をはかり、再発防止に努めたい」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20210325/3080005855.html
3月26日5時1分に中日新聞からは、枕木の不良を担当社員は把握していたが、次年度に計画されている交換までしのげると思ったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は二十五日、二〇二〇年三月に岐阜県美濃加茂市の長良川鉄道で、カーブを走行中の列車が脱線した事故の調査報告書を公表した。
技術力不足の社員が枕木の不良を経過観察でいいと判断して整備せず、レールの幅が広がって脱線した可能性が高いとした。
報告書によると、現場で腐食やひび割れなどが生じている枕木が連続していることを、現場担当の社員が一九年十月の検査で把握。
二〇年度に交換する計画があるのでしのげると考え、整備しなかった。
同社は管理を任せきりにしていた。
同社は事故後、不良枕木の交換や、検査書類を安全管理者が確認するなどの対策を取った。
https://www.chunichi.co.jp/article/224627?rct=national
3月25日22時11分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、本社は整備状況について工務区に任せっきりだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長良川鉄道の列車が昨年3月、岐阜県美濃加茂市内で脱線した事故で、運輸安全委員会は25日、現場付近で枕木の腐食やひび割れ、レール締結状態の不良が連続していたことが原因とする報告書を公表した。
報告書によると、現場周辺約100メートル間に敷設されていた枕木130本のうち、50本に腐食やひび割れを確認。
不良の枕木が3本以上連続する部分は4カ所あった。
8本連続していた場所もあったとしている。
レールの締結状態については、枕木に固定する犬くぎが浮き上がっていた場所が見つかった。
このため、列車通過時に現場でレール間が拡大して、列車前方の車輪が右側に脱輪したと結論づけた。
枕木などの不良について委員会は「工務区は状況を把握していたと考えられる」とした上で、「本社は整備状況について工務区に任せきりであった。整備の必要性が正しく伝わらなかった可能性がある」と指摘。
「枕木、レール締結の管理において技術力不足が見受けられる現業の社員が経過観察で良いと考え、整備が行われなかったためと考えられる」とし、安全管理体制の再確認を求めた。
同鉄道は、事故後に不良の枕木が3本以上連続する場所で枕木の交換工事を進めており、「報告書の結果を真しん摯しに受け止め、再発防止策を確実に履行し、安全確保に努めたい」とコメントした。
事故は2020年3月18日午後2時45分ごろ、美濃太田駅の手前約300メートル地点の緩やかなカーブで、北濃発美濃太田行き普通列車(1両編成)が脱線。
時速17キロで減速しながら走行しており、男性運転士と乗客10人にけがはなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bd8615cbaf0ffbcb82e5996d7ec98c4a31a5df0f
(ブログ者コメント)
枕木不良を経過観察扱いとした社員の技術力不足とは、どのようなものだったのだろうか?
報告書を見たところ、以下のような記載があった。
p9) 不良まくらぎが8本連続していた。
同社によると、連続性の判断基準については参考資料を基に「連続3本以上」を目安としていたが、規定されてはいなかった。
p28)不良まくらぎの交換は、設備更新による改善(劣化等による鉄道施設の被害の未然ボい牛)のために実施するPCまくらぎ化補助金事業とは異なり、設備の保守(不適合の除去)のために速やかに実施する必要があるものであるとの認識が欠けていたことが関与していた可能性がある。
今、すでに不具合が生じている設備を、もうすぐ交換予定だからと、そのままにしておく・・・。
そういうことは、経営環境が厳しい昨今、どの企業でも起こりそうな気がした。
https://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2021-2-2.pdf
(2021年6月18日 修正1 ;追記)
2021年6月17日20時27分にNHK岐阜からは、先に当該場所を通過した列車の運転士が運転指令に「線路に異常がある」と連絡したのに、指令は修繕担当に連絡しただけで、次の列車の運転士には連絡しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
去年3月、岐阜県美濃加茂市で起きた長良川鉄道の脱線事故で、線路の異常を知らせる連絡を受けたのに、列車を止めるなどの措置を怠って列車を脱線させたとして、当時の運転指令員が業務上過失往来危険の疑いで書類送検されました。
この事故は、去年3月18日、美濃加茂市の美濃太田駅近くで、第三セクターの長良川鉄道の1両編成の車両が脱線したもので、乗客や乗員にけが人はいませんでした。
警察によりますと、この事故で、当時、指令室に勤務し、今は別の部署で働く30代の元運転指令員が、事故の前に脱線現場を走行した列車の運転士から、「線路に異常がある」と連絡を受けたのに、次に走行する列車の運行を中止するなどの措置を怠り、列車を脱線させたとして、業務上過失往来危険の疑いが強まったということです。
警察に調べに対して、元指令員は容疑を認めているということで、6月17日に岐阜地方検察庁御嵩支部に書類送検されました。
長良川鉄道によりますと、元指令員は当時、1人で無線を受けていて、会社に対して、「修繕の担当者には連絡したが、次の列車の運転士への連絡はしなかった」と話しているということです。
この事故をめぐっては、ことし3月、国の運輸安全委員会が、枕木の老朽化や枕木とレールを固定するくぎが不足していたため、列車がカーブを通過する際の横方向の力で、レールの幅が広がった可能性が高いとする調査報告書を公表しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20210617/3080006455.html
(ブログ者コメント)
司令員は、なぜ、修繕担当者への連絡だけでヨシとしたのだろうか?
事故前に通った運転手からの連絡は、どのような表現だったのだろうか?
もしかして、事態を軽く思わせるような表現?
そんな疑問が湧き、調べてみたが、調べた範囲では全て「線路に異常があると連絡した」という報道だけだった。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。