2016年8月5日7時4分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『ベビーカー事故で脱「早さ優先」 東京メトロが駅停車5~10秒延長』
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016080590070441.html
東京メトロ半蔵門線九段下駅(千代田区)で、4月、ベビーカーをドアに挟んだまま電車が発車した事故を受け、同社は、4日、車掌の安全確認作業に余裕を持たせるため、来春以降、一部駅での停車時間を5~10秒程度延長すると発表した。
対象はホームドアのない5路線の駅の約半数に及び、始点から終点までの所要時間は1分程度延びるとみられる。
輸送能力優先ではなく、安全性を重視した大規模なダイヤ改正は、同社としては初めてとなる。
東京メトロの山村鉄道本部長らが、4日、国交省で会見し、発表した。
対象は、半蔵門、銀座、日比谷、東西、千代田の各路線で、半蔵門線は来年4月に、他の路線も数年以内にダイヤを改正する。
駅により停車時間は異なるが、現在25秒未満の駅は25秒以上停車させる方針で、計97駅の約半数で延長されることになる。
今回の事故では、女性車掌(23)が、ベビーカーの左前輪の挟み込みに気づかず発車。
車内とホームで非常ボタンが押されたが、走行を続け、電車に引きずられたベビーカーは、時速約50kmでホーム上の柵に衝突した。
ベビーカーに子どもは乗っておらず、けが人はなかった。
九段下駅の現在の停車時間は20秒。
この間に、車掌は停止位置の確認やドア開閉など、10項目にわたる作業を終えねばならず、「熟練していない乗務員には余裕がないのが現状」(同社)という。
同社は、再発防止策として、ほかに、車掌が車両とホームの間の安全確認をしやすくするための緑色の板を、九段下駅を含む3駅のホームの端に設置しており、効果があれば、今後、拡大していくという。
ダイヤ改正は、都市の発展に歩調を合わせ、「より早く、より多く」と、輸送能力向上を長く目指してきた。
1990年代に、その傾向は一段落し、運輸白書に、安全を強調する傾向が見られるようになった。
2005年に起きたJR福知山線脱線事故で、その流れは加速した。
14年3月、国交省が「電車に乗るときはベビーカーをたたまなくてもよい」と指針を示し、乳幼児を連れての電車の利用がしやすくなる中、その安全性に新たな課題を投げ掛けたのが、九段下駅での事故だった。
横浜市営地下鉄でも、昨年、駅の停車時間を延ばすダイヤ改正を実施している。
社会が成熟し、バリアフリー化が進む中、効率よりも多様な利用者の安全性に配慮した視点が、公共交通機関には求められている。
◆再発防止の主な追加対策
<1>ホームドアがなく、停車時間が25秒未満だった駅での停車時間を5~10秒延ばし25秒以上にする。
<2>ホームの狭い場所に乗客がとどまらないように、構内放送やポスターで誘導する。
<3>車両の後方部にいる車掌は、トンネルの暗闇が背景となり車両付近に異常があっても見えにくいため、明るい緑色の板をホーム最前方に設置して安全確認しやすくする。
<4>非常停止合図確認灯を見えにくくしている案内看板を移設する。
<5>停車時や異常時の車掌の確認事項を分かりやすくマニュアル化。異常時の対応は時系列で表記する。
【ダイヤ改正対象路線】
半蔵門線、銀座線、日比谷線、東西線、千代田線
(ブログ者コメント)
九段下駅での事故は、下記参照。
2016年4月4日 東京メトロでベビーカーを挟んだまま発車、車内とホームで非常ボタンが押されたが新人女性車掌は車内ボタン対応に追われ気が動転して非常停止できず
(第1報 1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5805/
(第1報 2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5806/
(第2報;修正2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5884/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。