2018年1月25日21時29分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
首都圏を襲った大雪は、都心の交通網に大混乱をもたらした。
気象庁などが「早めの帰宅」を促した結果、主要駅には家路を急ぐ会社員らが殺到。
ホームは人であふれ、長時間にわたって入場制限がかけられた。
逆に、雪がピークを超えた夜遅い時間帯には混雑が緩和され、企業や官庁が一斉に帰宅を促すことのデメリットが浮き彫りになった。
22日午後7時半ごろの渋谷駅。
JRや東京メトロ、東急などの路線が連絡する駅構内は大勢の人々で埋め尽くされた。
東急田園都市線では午後3時56分から入場規制がかかり、閉鎖された改札前には100mを超える行列ができた。
鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは、「鉄道は雪に弱い乗り物。輸送力が弱まった駅に帰宅を急ぐ人がなだれ込めば、パニックになるのは当然」という。
梅原さんは、「通常の速度を時速80kmとすると、レール下4cmの積雪で列車の稼働率は半減する。帰宅させるなら、雪が降り始める前か、雪がやんだ後にすべきだった」と指摘した。
気象庁が「早めの帰宅」を呼びかけたのは、22日午前10時すぎ。
担当者は、「夕方以降、雪は強まる見通しで、帰宅の時間帯に交通機関が乱れ、かなり影響が出ることが考えられる。時間に余裕を持って行動してほしい」と求めた。
呼びかけはテレビや交流サイト(SNS)で拡散。
多くの企業が呼応し、早めの退勤を促した。
その結果、職場を後にした人たちが短時間に集中して駅に到着し、大混乱が発生。
東急田園都市線渋谷駅で5時間以上入場規制がかけられたほか、京急品川駅や西武池袋線池袋駅、JR蒲田駅でも、一時、入場を制限した。
ある私鉄の広報担当者は、「入場規制は、ホームや階段から転落しないよう安全を確保するため、やむを得ない対応だった」と打ち明ける。
混雑は、ほとんどの路線で深夜までには解消。
遅めの時間帯には、空いている電車も多かった。
インターネット上では、国交省が大雪前日に緊急発表した「不要不急の外出を控える」との注意喚起にも批判の声が上がる。
SNSには「どこから不要不急なのか。国として対象となる部分を示して」、「理解に苦しむ日本語」などのつぶやきが相次いだ。「企業も学校も休みにすべきでは」との投稿もあった。
石井啓一国交相は23日の閣議後記者会見で、「不要不急の基準は個人の事情で違ってくる。大事なのは、普段と状況が大きく変わる可能性が高いことを念頭において判断すること」と述べた。
筑波大の糸井川栄一教授(都市リスク管理学)は、「気象庁は『1時間に50mmの降雨量』などとだけ警告するのではなく、それがどの程度の被害につながるかを分かりやすく発信すべきだ」と情報発信の改善を求め、「企業側はしっかりと災害情報を収集し、降雨量や積雪量が増える前に早めに帰宅命令を出す判断をする必要がある」と指摘している。
出典
『大雪、早めの帰宅が混乱拡大 駅に殺到・入場規制』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26141020V20C18A1CC1000/?n_cid=NMAIL007
一方、1月23日付で東洋経済オンラインからは、大雪時の電車の間引き運転は逆効果だという、鉄道関係者の寄稿文?がネット配信されていた、
首都圏では1月22日の昼過ぎから雪が激しくなり、夕方の帰宅ラッシュの鉄道は大混乱した。
首都圏で大雪となるたびに鉄道は大混乱し、利用者の間では「自然災害なのだから仕方ない」と、あきらめの声が大半だ。
豪雪地では、この程度の雪なら列車は普通に運行するが、首都圏では違う。
「数年に1度の大雪のために豪雪地のような設備投資はできない」というのが、首都圏の鉄道事業者の共通認識だろう。
しかし、あきらめることはない。
大きな設備投資をしなくても、東京の鉄道をもっと雪に強くする方策はある。
筆者は、JR東日本に17年間勤めた間にさまざまな実務を経験し、雪に関しては、長野支社で3年間みっちりと経験した。
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長野勤務の3年間に普通の20年分くらいの雪の経験を重ねたが、先輩たちから教わった中で、最もなるほどと思ったことは、「列車を動かし続けると、線路にも架線にも雪は積もらない。止めると積もる」という点だ。
言われれば当り前のことなのだが、雪との格闘を散々しただけに、実感としてよくわかった。
ところが、豪雪地で働くベテランたちの声に反し、雪が降ると列車を間引いて本数を減らし、雪を積もらせてトラブルを起こすケースが多い。
1月11日夜から12日にかけて発生した信越本線の15時間半の立ち往生トラブルがその典型だ。
大雪時に計画的に間引き運転するのは、過去の経験に基づき、多数の列車が運行していると、何かあったときに駅間停車が続出し、収拾がつかなくなるからである。
しかし、現場を見ると、間引き運転がかえって混乱を拡大している。
ここでは、22日の夕方ラッシュの山手線の様子をレポートしよう。
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いったん混んだ列車は停車時間が伸び、次の駅以降で待っている人が増え、ますます遅れる。
そのため、1周の在線を見ると、遅れ、かつ混んだ列車を先頭にした数珠つなぎがいくつかできていた。
先行列車と間隔が空いた列車を中心に、超満員だった。
乗っている人の大半は「災害だから仕方ない」とあきらめの心境だろうが、混雑の原因は計画的な間引き運転である。
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長野の大雪対策のベテランたちから教わったように、間引かないことで雪が積もることを防ぐべきだ。
短い間隔で運行することで、列車がラッセル車の役割を果たすことができる。
極論を言えば、むしろ増発すべきだ。
大雪時は、ブレーキ始動点を早くせざるをえないため,走行時間が伸びる。
ホームで待つ乗客は足元がすべって乗降に手間取り,停車時間が伸びることもある。
山手線の例で言うと、本来なら1周65分のところ68分になるなら、駅間停車を避けるため間引き運転をしているわけだが、20本の在線を逆に21本に増やすことで、通常と同じ輸送力を実現できる。
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出典
『首都圏「大雪時の間引き運転」は逆効果だ 増発すれば列車がラッセル車代わりに
なる』
http://toyokeizai.net/articles/-/205736
(ブログ者コメント)
信越線のトラブルについては、下記参照。
2018年1月17日掲載
『2018年1月11日 新潟県三条市でJR信越線の電車が大雪で動けなくなり15時間缶詰状態、普段雪が降らない場所ゆえ普段通りの積雪対策をしていたが想定外の大雪が降った (1/2)』
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降雪でダイヤが乱れ運休が続出したため乗客が集中し、“運転強行”に判断が傾いた可能性がある。
現場付近では日中の除雪は実施されておらず、1本前の電車は約2時間前に通過。
電車は雪をかき分け進んだが、2分ほどで運転席の窓近くまで雪がたまり、停車した。
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http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7948/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。