2018年11月9日22時6分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後0時40分ごろ、札幌市厚別区のJR千歳線新札幌駅構内で、線路上に出発信号機が倒れているのを札幌発苫小牧行き普通列車の運転士が見つけた。
JR北海道によると、倒れた信号機は上下の線路上に乗る形で、列車は現場の数10m手前で停止した。
信号機を撤去して午後3時半ごろ運行を再開したが、札幌~新千歳空港間の快速エアポートなど90本以上が運休した。
同社の説明では、信号機は金属製で高さ約5m、重さ約220kg。
コンクリート製の土台に固定するボルト8本は、柱についた状態で全て抜けていた。
信号機は1980年に設置され、最後に外観点検をした今年6月11日に異常はなかった。
胆振東部地震発生翌日の9月7日に安全確認した際にも、傾きなどは見られなかったという。
同社鉄道事業本部の土田・電気部長は、「おわび申し上げる。外部から何かがぶつかって倒れたということはない。地震の影響はわからず、これから原因を調査したい」と説明した。
運輸安全委員会は、今回の事故を重大インシデントと判断。
10日に鉄道事故調査官2人を派遣してJR関係者から聞き取りを行い、現地調査も予定している。
同事務局は、「列車が衝突すれば脱線、火災が起きる可能性が高く、重大な事故につながりかねなかった」と説明した。
出典
『JR千歳線 信号機倒壊、90本以上が運休』
https://mainichi.jp/articles/20181110/k00/00m/040/093000c
11月9日18時3分に毎日新聞からも、同趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
この日、札幌市内は最大瞬間風速が20mを超えるなど、風が強かった。
出典
『JR千歳線 新札幌駅構内で信号機倒れる 65本が運休』
https://mainichi.jp/articles/20181109/k00/00e/040/326000c
11月15日2時20分に北海道新聞からは、施工ミスの可能性もあるという下記趣旨の記事が、アンカーボルト打ち込み方法の模式図付きでネット配信されていた。
国交省運輸安全委員会は14日、現地調査の内容を同省鉄道局に情報提供した。
現地調査では、支柱を土台に取り付ける金属部品「アンカー」が土台の中で固定されていなかったことが判明。
JR北海道は同日、会見を開き、「施工ミスの可能性は排除していない」とし、部品の取り付けが不十分だった可能性を明らかにした。
JR北海道によると、信号機は、旧国鉄時代の1980年10月に設置された。
信号機の支柱の台座は、通常、コンクリート製の土台に金属部品で固定されている。
固定する部品は、ボルトのほか、筒状で片側に切れ込みがあるアンカーと、アンカーの切れ込みを広げるためのくさびとなる部品「コーン」がある。
台座の固定方法は、土台に穴を開けてコーンを入れ、次に切れ込みを下に向けたアンカーを挿入。
上からハンマーでたたくと、コーンがアンカーに刺さり、切れ込みが広がって土台の穴の側面に食い込む。
さらに、上からボルトを挿入して締める手順となっている。
同委が10日に行った現地調査の結果、倒れた支柱の台座にボルト8本がアンカーを付けたままの状態で見つかった。
アンカーの切れ込みは広がっておらず、土台の穴にはコーンが残っていた。
JR北海道によると、コーンがアンカーに刺さっていない場合、切れ込みが広がらず、設計通りの強度が得られない恐れがある。
会見で同社の島田社長は、「一歩間違えれば重大事故につながるトラブル。深くおわびする」と陳謝。
土田電気部長は、「施工不良の可能性も含めて調査する」と述べた。
同委は、「施工方法、土台や部品の材質、強度などあらゆる視点で検証し、原因を突き止めたい」としている。
同委からの情報提供を受け、国交省は14日、全国の運輸局に、今回倒れた信号機の状況などを報告。
同様の施工方法で信号機を設置している鉄道事業者には注意喚起を図るとともに、安全確認や点検の実施を行うよう呼びかけた。
出典
『JR信号倒壊施工ミスか 新札幌駅 部品が固定されず』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/248238/
11月14日19時43分に産経新聞からは、アンカーボルトの写真付きで、打ち込み方法に関する上記とは異なる表現の記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
運輸安全委員会は14日、信号機の支柱をコンクリートの土台に固定するアンカーボルト8本が全て、土台側に埋め込まれた「雌ねじ」と呼ばれる部品ごと抜けていたと明らかにした。
施工不良の可能性もあるとみて、詳しく調べる。
同委によると、アンカーボルトは雄ねじと雌ねじに分かれ、土台に雌ねじを埋め込む際、くさびと共に打ち込んでコンクリートに食い込ませる。
現地調査では、雌ねじに刺さっているはずのくさびが全て土台側に残り、雌ねじは雄ねじと共に抜けて支柱側に付いていた。
同委は、「通常なら、こうした状態にはならない」としている。
出典
『ボルト固定部に施工不良か JR千歳線の信号機倒壊』
https://www.sankei.com/affairs/news/181114/afr1811140029-n1.html
(2019年12月22日 修正1;追記)
2019年12月20日2時21分に北海道新聞からは、信号機設置時にアンカー穴の中にコンクリート粉末が残り、アンカーボルトが穴の底まで入り切らなかったなど、下記趣旨の記事がアンカー設置穴の図解付きでネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
国土交通省運輸安全委員会は19日に公表した調査報告書で、支柱を土台に取り付ける金属部品「アンカー」の施工不良が、原因の可能性が高いと結論づけた。
JR北海道には、手引書に沿った確実な施工など、再発防止策を求めた。
安全委は発生当日、危険な事故につながりかねない「重大インシデント」に認定していた。
報告書によると、発生は昨年11月9日午後。
高さ約5メートル、支柱部分を含め重さ約440キロの信号機が倒れ、線路をふさいでいるのを走行中の列車の運転士が見つけた。
けが人はいなかった。
信号機は1980年に設置。
支柱の根元に当たる台座を固定するにはコンクリートの土台に穴を開け、筒状のアンカーと、アンカーの切れ込みを広げて抜けなくする部品「コーン」を挿入し、ボルトで固定する。
倒れた支柱は折れておらず、支柱の台座はボルト8本にアンカーが付いたままだった。
土台の穴にはコンクリートの粉末があった。
報告書は、穴を開けた際に生じたコンクリートの粉末が穴に残ったことで、コーンが穴の底まで入りきらず、切れ込みが広がらなかったため、強度が不足した恐れがあると結論づけた。
原因について、安全委は当時の施工技術や点検が不足していた可能性があると指摘。
再発防止策として、専門機関が策定した手引の条件に従い、専門資格を持つ作業員による施工を徹底するよう求めた。
さらに、万一倒れた場合に列車に接触する可能性のある信号機の補強の追加や、耐久性を高めるためにコンクリートの防水加工を行うことなどが望ましいとした。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/376295/
12月19日16時19分にdmenuニュース(HBC北海道放送ニュース)からは、穴の清掃が不十分で粉じんが残っていたなど、同趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会の報告書によりますと、1980年に信号機が設置された際、土台の穴の清掃が不十分で粉じんが穴に残り、信号機を土台に固定する部品が十分に機能していませんでした。
その後、部品が徐々に浮き上がり、当日の強風も加わって倒壊に至ったということです。
JR北海道は同様の構造の信号機について、すでに補強を行ったと説明しています。
http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/hbc/region/hbc-df6a863ef8636a52a1f0468666ffd399?fm=topics
12月22日19時13分にNHK北海道からは、設置後38年の間に風や地震、列車の振動で徐々に浮き上がったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によりますと、信号機の支柱を土台に固定していた金属製のボルトが浮き上がり、当日の風速20メートルの強風で倒れたとみられるということです。
信号機は旧国鉄時代の昭和55年に設置され、38年の間に風や地震、列車の振動でボルトが徐々に浮き上がったとみられています。
浮き上がった原因については、コンクリートの土台にドリルで穴を開けた際に出たくずを十分に取り除かないままボルトを差し込んだことで、十分に固定されなかったためだと分析しています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20191222/7000016466.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。