2015年2月10日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
(2015年7月12日 修正2 ;追記)
2015年7月7日12時59分に産経新聞westから、意識不明になったメカニズムなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7月10日17時42分にNHK首都圏NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
無色、無臭、無毒のヘリウムガスで今年1月、深刻な事故が起きた。
BS朝日の番組収録中、声を変えるパーティーグッズのスプレー缶を吸引したアイドルの少女=当時(12)=が約5秒後に卒倒、全身けいれんを起こした。
日本小児科学会は、脳の血管内で血の流れが妨げられる「脳空気塞栓(そくせん)症」を発症したことなど、事故の詳細を公表。「使い方を誤ると、また同じ事故が起きる可能性がある」とし、子供に使わせないよう注意を呼びかけている。
少女の身体の中で、一体何が起きたのか。
番組で使用されたのは、100円ショップ「ザ・ダイソー」の商品だった。
ヘリウム80%、酸素20%の混合ガスで、韓国製。成人向けのグッズで、「大人用」と表示されていた。
ダイソーを展開する大創産業は、今回の問題を受け、2月には商品の販売を中止した。
広報室によると、およそ10年間の販売実績の中で、同様の事故報告はなかったという。
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会の安炳文(あんびょんむん)医師によると、最初にダメージを受けたのは、少女の肺。ヘリウムを含むガスを吸ってめいっぱい膨らみ切ったところに、さらにスプレー缶から排出されるガスの圧力がかかり、肺胞が破裂した。
損傷を受けた肺胞周辺から血液中にガスが入りこみ、それが脳まで運ばれて血管が詰まる「脳空気塞栓症」を発症し、意識障害を引き起こしたとみられている。
安炳文医師は、ガスを使う場合、肺いっぱいまで吸い込むのは避けるなど、注意が必要だとしたうえで、「肺の容量を超えるようなガスを吸い込めないようにしたりするなど、製品の安全性を高める検討もしてほしい」と話している。
脳空気塞栓症は、ダイバーによくみられる症例だ。
潜水障害に詳しい山見医院副院長の山見信夫医師によると、ダイバーが息を止めて急浮上すると、水圧がかかっていた肺の中の空気が一気に膨張。肺胞破裂から塞栓症に至る。「重症化するケースの多くは水深5、6mからの急浮上が原因になっている」と話す。
日本中毒情報センターの調査では、平成13年4月からの12年間でヘリウムガス吸引による事故は32件あり、半数の16件で意識消失、気分不良などの症状が出た。
32件のうち26件は、風船用のガスで起きた。
ヘリウムは空気より軽いため、風船を膨らませるのによく利用されるが、風船用ガス缶はヘリウム100%で酸素が含まれていないことが多い。声を変えるために吸い込むと、酸欠状態に陥る危険があるのだ。
ただ、酸素を含んだ変声用でも、これまで5件(残る1件は不明)の事故があったという。
同学会は、成人にしか販売しないといった対策に加え、「1回の吸引時に排出されるガスの量や圧力の調節が必要ではないか」と問題提起。一気にたくさんのガスが吸い込めないよう、苦みや異臭をつけることも提案した。
これを受け、国内の販売会社では、対象年齢を10歳以上から15、16歳以上に引きあげる動きが出ている。
テレビ朝日によると、倒れた少女は3月10日に退院。翌日からは学校にも通っているという。
ヘリウムガス缶の「大人用」の記載など、いくつかの注意事項について番組スタッフの見落としがあったとしており、同局は、社内の検証委員会で調査を進めている。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/150707/wst1507070047-n2.html
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20150710/3186281.html
(2015年9月30日 修正3;追記)
2015年9月29日20時40分に毎日新聞から、テレ朝の検証委員会が全制作現場への安全管理者の配置などを提言したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
テレビ朝日内に設置した検証委員会(委員長=武田徹常務)は29日、検証結果を公表した。
複数の制作会社が相乗りで番組を制作し、安全管理者が不明確で、スタッフによるヘリウムの取り扱いも「慎重さを欠いていた」と結論付けた。
テレビ朝日はこれまで、少女が実際にヘリウム混合ガスを吸ったかどうか不明と発表していた。
検証委は、収録映像と音声を分析するなどした結果、吸ったことは「ほぼ間違いない」と判断した。
ヘリウム混合ガスの吸引による健康被害は、医師らも「経験がない」としており、制作スタッフが被害を予見することは「困難」とした。
一方で、複数の制作会社のスタッフで番組を作っていたため、責任の範囲があいまいで、検証委は「リハーサルなどを丁寧に行うべきだった」と指摘。
再発防止策として、全ての制作現場に安全管理者を置くこと、リハーサルや安全確認の手順のマニュアル化などを提言した。
少女は3月に退院し、すでに芸能活動を再開しているという。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20150930k0000m040087000c.html
http://www.asahi.com/articles/ASH9Y5WG4H9YUCVL01B.html
(2016年5月24日 修正4 ;追記)
2016年5月23日12時42分に読売新聞から、番組制作側の刑事責任は問われなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
業務上過失致傷容疑で捜査していた警視庁麻布署が、番組制作側にガスの危険性は予見できず、刑事責任は問えないと結論付けた捜査書類を、19日に東京地検に送ったことが分かった。
同署幹部によると、ヘリウム混合ガスを使用した番組は過去にもあるが、同様の事故の報告例は見当たらず、番組制作側に注意義務違反はなかったと判断した。
少女は現在13歳で軽度の記憶障害があるが、日常生活に支障はないという。
テレビ朝日は23日、「安全管理の一層の強化に向けた取り組みを行っていく」とのコメントを出した。
出典
『番組収録中の少女ヘリウム事故、刑事責任問えず』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160523-OYT1T50033.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。