2016年3月23日12時12に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月24日付で朝日新聞からも、同趣旨の記事が掲載されていた。
熊本大は、23日、遺伝子組み換えウイルスを含んだ可能性のある廃液を、適正に処理せずに捨てたと発表した。
ウイルスは病原性や増殖性が欠如し、周辺環境への影響はないとしている。
熊大によると、熊本市の大学院生命科学研究部の研究室で2月26日、実験中にウイルスを遠心分離した後の上澄み液約50mℓを誤って流しに廃棄した。
法律上、廃棄前にウイルスを不活性化する薬剤を添加処理するよう定められているが、実施しなかった。
研究部長の西村教授は、「研究者がウイルスが含まれていない溶液だと勘違いして廃棄した」と説明。
約1時間後にミスに気づき、薬剤を流すなどの不活性処理をしたという。
廃液は地下の貯水槽に流れ込み、水道水などで20万倍以上に希釈され、薬剤も投入したことから、熊大は「公共下水にウイルスが流れ込むことはなかった」としている。
今回の事故を調べる過程では、同研究室が2008年から、法定の安全性を持つ実験室で行うべき遠心分離の操作と不活性の処理を、通常の生物学実験室でしていたとみられることも判明。
西村教授は、「実験責任者の認識が甘かった。実態の報告に照らし、処分を検討したい」と話した。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20160323/k00/00e/040/241000c
http://www.asahi.com/articles/ASJ3S56W0J3SUBQU00P.html
3月26日11時29分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同部が、2008年から、法令が定めた安全レベルを下回る実験室で実験を繰り返していたことが、23日、わかった。
遺伝子組み換え生物の保管などを規制する「カルタヘナ法」では、遺伝子組み換え生物などの危険度に応じて、実験設備を整えるよう定めている。
発表では、遺伝子組み換え生物などが外部に出ないよう、気圧を下げるなどする「安全キャビネット」の設置が義務づけられている実験の一部を、キャビネットが設置されていない実験室で行っていたという。
2月に未処理のウイルスを廃棄するミスが起き、その調査過程で判明した。
廃棄ミスについては、「ウイルスに病原性はない」とした上で、「公共下水への流出もなかった」と結論付けた。
熊本市中央区の同大で記者会見した西村部長は、「実験責任者や研究員に認識の甘さがあった。二度とこのようなことがないように再発防止策を徹底する」と話した。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160326-OYT1T50039.html
(ブログ者コメント)
3月23日付で熊本大学HPに、本件に関するお知らせが掲載されていた。
文中、事故の原因などが、以下のように記されている。
○実験上の作業手順に不適切な点があった
・次亜塩素酸 ナトリウム処理を行っていない溶液を安全キャビネット内で保管していた。
○実験責任者による実験従事者への情報伝達が不十分であった
・溶液を廃棄した実験従事者に対して、ウイルスベクターを含む可能性のある溶液であるという情報が伝わっていなかった。
○次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加してウイルスベクターを不活性化する作業を、カルタヘナ法及び関連法令で定 められたP2レベル実験室ではない、P1レベル実験室で行っていた。
http://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/seimei/seimei_file/20160323.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。