2017年10月15日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7670/
(2017年10月26日 修正2 ;追記)
2017年10月20日2時15分に日本経済新聞から、発注仕様を満たしていない製品の取り扱いに関する商習慣などの解説的記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
トヨタ自動車などが19日、相次いで自動車の安全性を確認したと発表した。
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今回、自動車各社が安全と宣言できたのは、もともと契約していた品質が「社内基準を上回る水準で、余裕を持たせている」(トヨタ幹部)からだ。
オーバースペック(過剰品質)となり、高コストになりがちだが、こうしたリスクに対応できる利点がある。
ただ、一般の消費者にとっては、この差はわかりにくい。
さらに、基準が複数あることに加えて、どの程度の乖離があったのかもはっきりしないため、いくら安全と宣言されても、不安がくすぶっているのが実情だろう。
そのなかで、JR東海は19日、神鋼製アルミ部材を使った新幹線の一部部品の強度が、JR東海が求める日本工業規格(JIS)の基準の強度を最大3%下回っていたことを明らかにした。
JR東海は、部品調達の仕様として、JIS基準そのものではないが、同程度の強度を求めている。
JIS基準の強度は、実際に新幹線部品にかかる力をはるかに上回る強度を持っているため、柘植社長は「安全上、問題がないことを確認している」とした。
神鋼への不信が拭えないのは、商慣行を悪用していたことにもある。
製造業ではもともと、顧客と契約した品質・規格に満たない製品が、工場で一定割合、発生してしまう。
しかし、全ての製品を廃棄するわけではない。
部品メーカーといった顧客が納期を優先したい場合など、あらかじめ両社で定めた規格を下回っていても、強度や耐久性に問題がなければ、材料を購入する。
不適合品でも顧客の了承を得たうえで購入してもらう「特別採用(トクサイ)」と呼ばれる制度で、JISにも定められている。
だが、神鋼はこれを悪用し、顧客の了承なしに契約を下回る品質の製品を出荷。
現場の独自の判断で品質の合格証を改ざん、顧客には品質を満たした正規の適合品と偽っていた。
ただ、一方で「顧客側も、製品自体の性能に問題はないとして取引していた」(業界関係者)と指摘する声もある。
神鋼の元社員によると、「トクサイ」の悪用は数10年前から組織ぐるみで繰り返されていたという。
当時の工場長や品質保証の担当者も関与していた可能性があり、神鋼は遡って調査を進めている。
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国際標準化機構(ISO)認証の関連団体、公益財団法人「日本適合性認定協会」(JAB)は、11日付で、規格を認証する民間の審査機関に対して、神鋼の一連の問題の事情を確認するよう要請した。
出典
『神鋼改ざん 拭えぬ不信 不適合品の「特採」悪用』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22466960Z11C17A0EA1000/?n_cid=NMAIL005
(2017年11月14日 修正3 ;追記)
2017年11月10日18時37分にNHK関西から、社内調査結果が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸製鋼は、一連の検査データの改ざん問題について、会社の収益重視や、納期優先の姿勢が不正につながったとする社内調査の結果を公表した。
報告書によると、一連の不正について、「工場で起きているこれほどの事態を経営が問題として取り上げ、対応できていなかったこと自体が大きな問題だ」としたうえで、経営陣が収益重視の評価を推し進め、現場の実態を把握しようとしなかったことが不正につながったとしている。
また、不正を引き起こした要因として、生産や納期を優先する風土のもと、検査が軽視され、顧客からクレームがない限り問題がないと考えるなど、品質への意識が低かったことをあげている。
さらに、不正が行われた範囲が売り上げの数パーセントの規模に達し、申告するのが難しくなったことや、異動が少なく閉鎖的な組織だったことが、長年、不正が続いた背景にあるとしている。
その上で、再発防止策として、試験検査データの記録を手書きではなく自動化することや、複数の社員が元のデータを確認するなどの仕組みを構築すること、それに本社に監査の新部署をつくるなどチェック機能を強化し、組織体制の強化を図ることを明らかにした。
出典
『神鋼“収益・納期優先が不正に”』
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20171110/5604502.html
11月11日付で東洋経済からは、下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。長文につき抜粋のみ転記する。
“生煮えの中間報告”――そんな印象の調査報告書だった。
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報告書では改ざんに関し、以下の5項目が原因であると結論づけた。
(1)収益評価に偏った経営と閉鎖的な組織風土
(2)バランスを欠いた工場運営
(3)不適切行為を招く不十分な品質管理手続き
(4)契約に定められた仕様の順守に対する意識の低下
(5)不十分な組織体制
原因の第一に挙げたのが、神戸製鋼所の特徴である「事業部制」からくる問題だ。
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こうした問題を踏まえ、再発防止策として、「品質はコストや納期に優先する」という価値観を「品質憲章」として定めるほか、「品質ガバナンス再構築検討委員会」を新設する。
これまで事業部間での人事異動はほとんどなく、それが組織の硬直化につながっていたが、今後は、人事ローテーションも積極的に進める。
さらに、試験検査データの記録に関する自動化や、本社における品質監査の専門部も設置する。
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本当に工場の現場だけに改ざんの責任を押し付けられるものなのか。
改ざんは少なくともおよそ10年前から存在したことを同社は認めている。
現役の役員や役員OBの多くが工場で働き、幹部を務めた経験がある。
彼らが改ざんにまったく関与しなかったのには、どうしても疑問がつきまとう。
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出典
『神戸製鋼の「調査報告書」では何も解決しない 責任は現場に押し付け、原因究明も不十分』
http://toyokeizai.net/articles/-/197101
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。