2017年10月20日7時49分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
奈良県生駒市上下水道部は19日、本来は浄水場を経由するはずの井戸水が、約2年にわたって、直接、同市辻町のマンションに配水されていたと発表した。
18日の水道工事で発覚した。
同部によると、平成27年9月にマンションで給水装置の工事を行った際、給水管を、誤って井戸水を浄水場に送る「導水管」に接続。
これ以降、計26世帯(現在は21戸に21人が入居)に配水されたという。
井戸水からは基準値を超える一般細菌や鉄、マンガンなどが検出されたが、住民の健康被害は確認されていない。
同部は今後、住民に経緯を説明し、健康診断の受診を呼びかける方針。
出典
『水道管を誤接続したまま2年…マンション26世帯に井戸水 奈良・生駒』
http://www.sankei.com/west/news/171020/wst1710200012-n1.html
(ブログ者コメント)
最近、上水道への誤接続事例がしばしば報じられており、本ブログでも何件か紹介している。
(2017年12月4日 修正1 ;追記)
2017年11月30日12時00分に産経新聞westから、下記趣旨の詳細な情報がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
マンションで2年余りにわたり水道水として使われていた水は、実は浄水されていない井戸水だった。
そんなとんでもない事態が、大阪にほど近いベッドタウン、奈良県生駒市の単身用の賃貸ワンルームマンションで起きていた。
原因は業者の配管工事のミスで、市によると、水から大腸菌やピロリ菌こそ検出されなかったものの、国の基準値を上回る一般細菌などが検出された。
入居の26世帯は井戸水と気づかず、飲んでいた住民もいたが、今のところ健康被害は確認されていない。
市は事態を公表し、復旧工事も行ったが、水道料金の返還や補償は考えていないといい、住民らは事実上“泣き寝入り”の状態だ。
【えっ、水が出ない】
当該マンションは、近鉄東生駒駅から徒歩数分の場所にある。
平成5年に完成した3階建ての建物で、主に大学生や単身赴任者が住んでいる。
配管ミスが発覚したきっかけは、住民からの通報だった。
今年10月18日、入居している男子大学生(20)が夕食後、皿を洗おうと台所の蛇口をひねったところ、水が出なかった。
管理会社からは、断水があるとは知らされていない。
つい先ほど、夕食をつくった際は何の異常もなかった。
おかしいと思いながらも、時間をおいては蛇口を何度もひねり、風呂場など他の蛇口も同様に試してみたが、水は出なかった。
そこで管理会社に連絡し、管理会社から連絡を受けた生駒市上下水道部の担当者がマンションへ。
だが、すっかり日が落ちた時間帯だっただけに、暗い水道管内を目視しただけでは原因が分からなかった。
担当者はひとまず、マンション内のメーターに浄水管を直接つなぐ応急処置で、水が出るようにした。
【単純な「施工ミス」】
翌19日午前、市が改めて水道管内を調査したところ、18日にマンション周辺で行った水道管の移設工事で、井戸水を浄水場に送るポンプを誤って停止させていたことが判明した。
前夜、マンションへの配水がストップしたのもこの工事が原因と分かり、その結果、マンションに浄水場を通していない(浄化されていない)井戸水を配水していた配管の施工ミスが明らかになった。
浄水場からの水は、通常、配水管から給水管を通って各家庭に供給される。
ところが、市が調べたところ、同マンションでは、本来なら配水管に接続しているはずの給水管が、誤って井戸水を浄水場に送る導水管に直結していたことが分かった。
市によると、同マンションでは、従来、浄水場から送られてきた水をいったん受水槽にためた上で、ポンプで各家庭に送り届ける「受水槽方式」を採用していた。
ところが平成27年9月、浄水場から送り出す水の圧力で建物に直接給水する「直結直圧方式」に変更。
その工事の際、市が委託した施工業者が管の接続を誤り、以後2年余りにわたり計26世帯に井戸水が配水されたという。
市上下水道部の作業マニュアルでは、導水管には300mm口径、配水管には200mm口径の管をそれぞれ使うと定めている。
だが、上下並列に配置されている配水管と導水管は、一見しただけでは見分けが付かず、細心の注意と確認を怠ったためにミスは起きたという。
【健康被害は「なし」】
市は、ただちに配管工事に着手するとともに、採水調査も実施した。
一般細菌の水質基準値は、水道法で「1mℓ当たり100個以下」と定められているが、マンションに供給されていた井戸水からは、これを上回る120個を検出。
「鉄及びその化合物」「マンガン及びその化合物」も、ともに基準値を上回った。
大腸菌やピロリ菌、その他の病原菌が検出されなかったのが、せめてもの救いだった。
市は、マンション住民に口頭と書面で経緯を説明し、健康診断の受診を呼びかけた。
これまで住民の健康被害は確認されていないという。
思わぬ災難が明らかになったが、住民の反応はどうか。
親に電話で事態を知らせたという女子大生(19)は、「ちょっとびっくりした。(水に)何か入っていたんじゃないかと思うと怖い」。
40代の会社員男性は、「正規の水道料金を払っていたのに…」と市への不満を口にしながらも、「健康面で被害は出ていないし、市に訴えたところでお金が返ってくるわけでもない」と諦めムードだ。
別の住人は、「水を飲んでも変な味はしなかった。面倒だから健康診断には行かない」と話す。
全体的に戸惑いはあるものの、大きな混乱はないようだった。
【さらなるトラブルも】
ところで、復旧工事で問題は解決されたかと思ったが、その後も住民を悩ます事態が続いた。
自営業男性(46)は、「工事が終わってから、たまに茶色い水が出る」と証言。
市に通報した先の男子大学生も、「ヤカンに水を入れるときに茶色い水が出ることがある。工事の前はなかったのに…。ちゃんとした水を提供してほしい」と憤る。
「茶色い水」の正体について、市上下水道部は「工事によって水が流れるようになり、配水管に付着していた鉄やマンガンが水に溶けて色が変わった」とし、「水道を使っていくうちに出なくなると思う。人体への悪影響はない」と説明。
水道料金の返還や賠償金の支払いは検討していないという。
単純な施工ミスが引き起こした一連の事態。
健康被害などはなかったとはいえ、市からは何の補償もなく、割り切れない思いでいる住民もいる。
出典
『水道から浄水されてない井戸水が…マンションの配管ミス2年間気づかず、26世帯住民の不幸』
http://www.sankei.com/west/news/171130/wst1711300001-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。