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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2024618日付でNHK首都圏(かながわ情報羅針盤)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

「化学物質過敏症」。
耳にしたことはありますでしょうか。

柔軟剤の香りなどに含まれるわずかな化学物質に触れただけで、頭痛や倦怠感といった症状が出る病気です。

小田原市立病院に勤めていた女性は、病院の環境などが原因で発症したとして、公務災害を申請しました。

化学物質過敏症の内容や、女性の訴えを取材しました。

 

■柔軟剤の香りでも頭痛が

化学物質過敏症に苦しむ30代の女性です。

3年前まで小田原市立病院で臨床検査技師として働いていました。

化学物質に触れると顔や背中にできものができるほか、けん怠感や頭痛、腹痛といった症状が出ます。

柔軟剤など、わずかな量の化学物質でも反応するため、電車に乗ることは困難で、外出すると数日寝込むこともあるといいます。

小麦や香料を使った食べ物は食べられなくなりました。

発症してからほとんどの家具を捨て、化学物質がなるべく使われていないものを選んで買い直しました。

大きな制約の中で生活しています。

 

■病院で有害な化学物質扱う

女性が体調に異変を感じたのはいまから4年前、病理検査室で働くようになってからでした。

患者の臓器から標本を作り、顕微鏡で観察するため、ホルムアルデヒドやキシレンといった有毒な化学物質を扱っていました。

刺激臭はきつく目にしみるほどで、頭痛やけん怠感を頻繁に感じるようになり、帰宅すると全く動けないほどになったということです。

女性:
「かなり強い匂いがしている状況が多くて、目にしみる作業も多かったです。この環境は大丈夫なのかなとすごく不安に思っていました。」

朝起き上がれないほど体調が悪化した女性は、翌年病院を退職。

当初は精神的なストレスが原因かと考え、少し休めば治ると思っていましたが、症状は悪化し続けました。

数か月間はトイレや食事以外はベッドから起き上がれない状態だったといいます。

不安に思った女性はインターネットで化学物質過敏症のことを知り、クリニックを受診して化学物質過敏症と診断されました。

退職から1年以上がたっていました。

 

■有害物質濃度が基準超えていた

病院の環境が原因だったのではないか。

女性は、法律で義務づけられた、病院内の有害物質の調査結果を情報公開請求しました。

すると、複数回にわたって基準値を超える濃度のホルムアルデヒドが検出されていたほか、一部の部屋では調査自体が行われていないことが分かったのです。

女性は病院の対策が不十分だったことなどが発症につながったとして、民間の労災にあたる公務災害を申請しました。

2度と同じことを起こさないよう訴えています。

女性:
「臨床検査技師の仕事はずっと続けたいと思っていたので残念です。
雇用主は労働者の体調管理のために、化学物質の取り扱いなどをしっかりしてほしいし、補償もしてほしい。
困ったときの相談窓口もきちんと作ってほしいです。
今の世の中だと化学物質を身の回りから遠ざけることは難しく、苦しい生活はずっと続いていています。
身近にある化学物質で体調が悪くなる人がいることを少しでも理解してほしいです。」

 

■小田原市立病院のコメント

指摘された事項には、そのつど適切な対策を講じてきた。

1年に数件しかホルムアルデヒドなどを扱わない部屋については、業務委託先の指示に従い、測定を行っていなかった。

公務災害の調査には協力を惜しまないし、化学物質の濃度を低減させる努力を続けていく。

 

■社会の理解進めて

化学物質過敏症は、どのような仕組みで発症するかは分かっておらず、治療法も確立されていません。

専門の医師も少なく、診断まで時間がかかるケースも多いとされています。

日本では2009年に保険診療の対象に加えられました。

化学物質のリスク管理に詳しい都留文科大学の小島恵准教授は、化学物質過敏症についてはここ30年ほどで少しずつ理解が進み、司法の判断も変わってきているといいます。

1990年代は病気の存在自体が裁判で争われることもありましたが、保険診療の対象になってからはほとんどなくなり、2010年以降は職場で化学物質に接したことと、発症との関係性を認める判決が出されるようになりました。

小島准教授は今回のケースについて、「法令を守っていても、労働者が化学物質過敏症を発症することはあるが、小田原市立病院は果たすべき義務を果たしていないおそれがあり、非難されてもしかたない」と指摘しました。

また化学物質がなければ今の生活はできないとした上で、「科学の進歩とともに新しい被害や疾病が生まれてくるのは歴史を見ても明らかだ。自分も被害者になりうるという姿勢で社会全体が当事者意識を持つ必要がある」と述べました。

 

■取材を終えて

労働災害などを取材していると、「未然に防げた事案ではないか」と感じることが少なくありません。

勇気を出して答えてくれた女性の訴えが少しでも多くの人に届き、今後こうした被害が生まれないことを願います。

それとともに、化学物質過敏症という病気自体への理解も広がってほしいと思います。

「無理解」はおそれや偏見につながることもあるからです。

次々と新しいものが生じている被害・事案について、今後も取材を続けていきます。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/yokohama/articles/101/006/59/ 

 

 

 

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魚田慎二
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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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