2022年10月6日7時54分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
静岡県裾野市民文化センターの大ホールのスプリンクラーが突然作動した問題で、市教委の勝又教育部長は五日の会見で、「考えられるのは誤作動か人為的操作。機器に故障はなく、誤作動の可能性は低い」との見解を示した。
市によると、スプリンクラーは舞台袖にあるレバーを手動で下げて作動させるタイプで、自動では作動しない。
作動後に業者が点検したところ、機器に異常はなかった。
スプリンクラーの操作盤であることは明示されており、勝又教育部長は「間違えて触るものではない」と説明した。
舞台天井のスプリンクラーが突然作動したのは九月二十四日午後一時ごろ。
舞台上に水たまりができるくらいの量が放水され、照明やグランドピアノなどが水をかぶった。
約一時間後に公演を控えていたため、オーケストラの機材もあった。
被害額は調査中。
楽器の搬出作業中に公演関係者二人が転倒し、一人が骨折、一人が打撲を負った。
けがの部位は非公表。
大ホールは使用休止にしており、再開のめどは立っていない。
市は弁護士と相談した上で、裾野署に被害届を出すか決めるという。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/206727?rct=sizuoka
10月6日10時17分に毎日新聞からは、楽団員2人が濡れた舞台で転倒してけがした、コックは舞台の上手と下手に1個づつあり、扉の中に収納されていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
静岡県裾野市石脇の市民文化センターで9月24日午後1時ごろ、大ホールのスプリンクラーが突然作動し、舞台上のグランドピアノなど楽器が大量の水をかぶった。
さらに、楽器を運び出そうと駆けつけた楽団員2人がぬれた舞台で転倒し、打撲や骨折をした。
市は裾野署に相談し原因究明を急ぐが、機器の故障や異常は見つからず、誰かが故意に作動させた疑いもあるという。
シンフォニエッタ静岡出演の「オーケストラを聴こう!」の開演1時間前で、舞台上に楽器が並んでいた。
女性楽団員1人が腕を打撲し救急搬送され、男性楽団員1人が帰宅後に腕の痛みを訴え、診断で骨折が判明した。
開場前で客席に観客はいなかった。
職員がポンプ室の電源を切り、放水を止めたが、放水時間や水量は不明。
楽器や舞台装置の被害金額は市などが調査中だ。
事故後、大ホールは使用を休止しており、再開の見通しは立っていない。
スプリンクラーは手動式で、舞台袖の上手と下手の壁に各1個あるコックを倒すと作動する仕掛け。
事故後、計3回、業者や裾野署員が調査したが、異常は見つからなかった。
表示があるため、誰でも作動させることはできた。
現場に監視カメラはない。
コックは扉の中にあり、ネズミなどが侵入した可能性はないという。
https://mainichi.jp/articles/20221006/k00/00m/040/061000c
10月13日21時0分にYAHOOニュース(SBS)からは、楽団員5人がけがした、オーケストラの関係者が(スプリンクラー作動場所には)誰もいなかったことを確認している、スプリンクラーは以前から様子があまりよくなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
オーケストラの大切な楽器が水浸しに。
いったい、何が起きたのでしょうか。
9月24日に静岡県裾野市のホールで突然、スプリンクラーが作動したことについて、被害を受けた楽団が裾野市の対応について怒りを訴え、疑問を呈しました。
美しいメロディを奏でる「シンフォニエッタ静岡」。
東京や大阪などで定期公演を行うこの楽団が突然の悲劇に襲われました。
9月24日の午後1時頃、裾野市民文化センターでステージ天井のスプリンクラーが突然作動。
1時間後のコンサートに向けて準備を進めていた「シンフォニエッタ静岡」のメンバーが被害にあったのです。
<シンフォニエッタ静岡 指揮者 中原さん>
「ポンプの音がしてスプリンクラーの水が出てきた。みんな楽器を救出するため、ずぶ濡れになっている」
シンフォニエッタ静岡によりますと、この事故で1人が肩を骨折し、4人が滑って軽傷、多くのメンバーが精神的な不調を訴えています。
スプリンクラーの水には小石やほこりが混じっていて、シンバルやティンパニなどの打楽器や弦楽器など、合わせて100点以上が破損しました。
<シンフォニエッタ静岡指揮者 中原さん>
「他にないもので、なるべく修理して使いたいが、音が変わったとかの状況がある」
実は今回の事故には、大きな謎が残されています。
原因が分からないのです。
裾野市によりますと、スプリンクラーの故障は確認されておらず、何者かが故意にスプリンクラーを作動させた疑いにまで言及しています。
<裾野市 勝又教育部長>
「舞台上のスプリンクラーは自動で作動することはありません。必ず手動操作が必要になっています」
Q.スプリンクラーを開ける弁の場所を知っていて、何かしないと作動しない?
「はい」
Q.故障の箇所はないから、誰かがやっている?
「という事も考えられるので、警察に相談している」
これに対し、被害にあった楽団は、実情は全く違うのではと疑問を呈します。
<シンフォニエッタ静岡 指揮者 中原さん>
「オーケストラの関係者が(スプリンクラーの場所に)誰もいなかったと確認している。以前からスプリンクラーの様子があまりよくないと報告していたと聞きました」
第三者による犯行か、それとも誤作動による事故か。
楽団側は説明が足りないとして、裾野市に対し強い憤りを示していて、誠意をもって向き合ってほしいと話しています。
(ブログ者コメント)
〇以下はホールのHPに掲載されていた写真。
立派な設備だ。
〇操作盤の写真がないか調べてみたが、見つからなかった。
レバーを手動で倒すということから考えると、以下のようなコックバルブだったのかもしれない。
出典)マンションNPO
http://www.mansion.mlcgi.com/bouka_1_21.htm
〇指揮者の方の話し、上記記事は多少要約しているので微妙にニュアンスが違う感あり。
そのまま書くと、こんな感じだった。
「オーケストラの関係者がいて、誰もいないことを確認しているんですね。以前からスプリンクラーの様子があまりよくないねということは市に報告していたんですけどね、ということを聞いたんで」
もしそうだとすれば、メンテナンス不良?
リスク管理不備?
よりによって、このタイミングで・・・。
〇手動式スプリンクラーが誤作動したとすれば、そのメカニズムは?
コックバルブの部品の劣化?
そういったことなどを考えていて、ふと、首里城火災を思い出した。
誤作動や故意の操作リスクを考慮しても、全焼になるよりは、被害は格段に少なくて済む。
今回の楽団の方々には申し訳ないが・・・。
(2022年10月18日 修正1 ;追記)
2022年10月17日21時25分にYAHOOニュース(静岡朝日テレビ)からは、楽器や楽譜の水濡れで数億円規模の被害が出た、高額の楽器もあったが修理しても元の音を出すことは難しいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先週、演奏を行うはずだった焼津市のオーケストラ「シンフォニエッタ静岡」が会見を開きました。
指揮者 中原さん(13日):
「滝のような水が降ってくる…。
ちょうど前の日が台風で、そういう状態の雨が降ってきて」
演奏会1時間前、突然天井のスプリンクラーが作動し、舞台に置かれていた楽器や楽譜が水浸しに…。
団員はいくつもの傘を使って、降り注ぐ水から楽器を守ろうとしたものの、オーケストラと演奏家にとって「命」とも言える楽器や楽譜に数億円規模の被害が出てしまったということです。
水に濡れ破けてしまった様子が痛々しい楽譜。
カビてしまったことで破棄したものもあり、被害は百数十万円分にのぼります。
オーケストラが所有するティンパニーなどの楽器の修理には、1000万円ほどかかるとのことですが、団員の中には、個人で高額な楽器を所有する演奏家もいるということです。
指揮者 中原さん:
「2000万円とか3000万円という楽器を持ってる人は多分いるでしょうね。
ローンを組んでたり、親から借りたり、そんな感じでしょうね。
長い時間かけて払ってきて、やっと払い終わったのにと」
プロが使う楽器は、買い替えたり、修理をしたりしても、まったく同じ音色を取り戻すことは難しいそうです。
さらに、出演者を含む60人のうち、半数がずぶ濡れになり、楽器を避難させる際に5人が転倒してケガ。
そのうち1人は骨折をしました。
(オーケストラによると全治4週間の骨折の重傷者が1人、軽傷者4人)
【市への不満「黙っているとこのまま泣き寝入りになるんじゃないかと…」】
トラブルから2週間以上たって会見が開かれた背景には、裾野市などの対応への不満が…。
指揮者 中原さん:
「市の発表が、僕らからすると、伝聞が多いなと…。
結局、当初から裾野市なり、その指定管理者(民間の企業)から具体的に何もこう示されない。
その後の対応も何にもないんで、これ黙っていると、このまま泣き寝入りになるんじゃないかなと思って」
【裾野市 「人の手による可能性も考えられる」と警察に相談】
今回、トラブルが起きた建物は裾野市の所有物ですが、運営・管理は、民間の企業が行っています。
今回の件について、裾野市側は…
裾野市教育部 勝又部長:
「文化センターの大ホールのスプリンクラーに関しては、手動式で、開放弁を開ける、コックをひねる作業が必要になる。
コックも壁に埋め込まれているので、ドアを開けてコックをひねる作業が必要になる」
Q.「誰かが操作しない限りは動かない?」
A.「そう考えている。誤ってということはないと思う。」
業者から「機器に異常や故障などはなかった」と報告があり、人の手による可能性も考えられることから、市は、その日のうちに警察へ相談したといいます。
この件で市も、所有する1300万円のピアノが浸水するなど、設備の修理に多額の費用がかかると見られています。
裾野市教育部 勝又部長:
「まずは原因究明を優先していきたい。
それから楽団の楽器の被害金額も指定管理者から報告があるので把握したい。
施設側の被害額や復旧費用、文化センターの大ホールをどうしていくかについても、早めに市としての方針を示したい」
一方でオーケストラ側は、市に対して疑問を感じています。
指揮者 中原さん:
「スプリンクラーの操作盤の近くに座っていた人もいるんですよ。
でも、その座ってた人が操作盤を触ってないというのも別の人が見てるし、この人がいたのもその後ろの人が見てる。
(当日に)徹底的にばらして調べたんだったらいいけれど、そのスプリンクラーの点検をしている業者さんなりが来て、その調べたけれど原因がない。
原因がないから事故じゃないって断言するところがわからない。
まず、そこの原因究明をもっとするべきだと思うのに、その日のうちに問題なしっていうところは疑問を感じましたね」
突然、スプリンクラーが動いたのは、誤作動による事故なのか、それとも、第三者の犯行による事件なのか。
そして、数億円にも及ぶオーケストラの被害への損害賠償は、一体、誰が責任を負うことになるのでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e092f29cbc0c8b70accca9055e5ebec1d6014c6a
(2022年10月25日 修正2 ;追記)
10月19日15時53分にNHK静岡からは、4系統のうち2系統で開栓された痕があった、機器に異常はなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
このスプリンクラーは開放型と呼ばれるもので、火災報知器とは連動しておらず、大ホール内の舞台脇の2か所にあるレバーを手動で操作して作動させる仕組みです。
市が設備を調べたところ、4系統ある配管のうち2系統で開栓された痕があったということです。
開栓用のレバーには鉄製の扉があり、ぶつかるなどしただけでは作動しないということです。
これまでにだれかがレバーを操作したという情報はなく、裾野市は何者かが作動させた可能性も否定できないとして、警察とも相談し詳しい原因を調べています。
施設を所管する裾野市の勝又教育部長は、「点検業者からスプリンクラーの機器に異常や故障はなかったと聞いている。このため人為的な要因も考えられるので警察と相談している」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20221019/3030017978.html
10月21日11時2分にYAHOOニュース(JB press)からは、基本すべての責任は市にあるなどとする音楽関係者の意見が下記趣旨でネット配信されていた。
この事態は重く見る必要があり、詳細に解説します。
世間は「楽器」を道楽の道具と甘く考えがちですが、プロ奏者にとっては、ライバルに伍して生涯の生活を支える生計の資です。
「題名のない音楽会」監督時代の私が、電通その他、認識の低い連中に説明する際には、「外車1台、家1軒」と見積もりを示したものです。
・・・
今回の事態、市が所有する「音響照明機器」というと、議会や市民にも1億5000万程度の費用補填、何となく説明がついてしまう可能性があるでしょう。
しかし、「オーケストラ」として雛壇に上がっている全体が、最低で見積もっても10億円規模という、プロには常識、社会には非常識の現実は、NHKの報道など見ても全く理解されていないようです。
古手の楽隊として、これを守らぬわけにはいきません。
まず「音楽の守り方」の1の1からご指南いたしましょう。
【 基本すべては「市の責任」】
・・・
主催者の「裾野市民文化センター」と「公益社団法人全国国公立文化施設協会」が依頼することがなければ、その日、その会場に、その楽団がいるわけがありません。
こうした委嘱公演で被災した場合、楽団は全額の賠償を「主催者」に求めるのが筋、当たり前のことです。
報道にすら、「市民文化センターの運営は業者委託」といった情報が流れ、「色のついた水が流れちょるなー」と思わざるを得ませんでした。
事故か事件か、不祥事の原因うんぬんのいかんによらず、まず楽団は主催者に補償を求めるべきだし、主催者はあらゆる「かもしれない」事態への覚悟をもって、行事保険をかけておくのが責任というものです。
・・・
いま報道されかけている状況が、いかに無法であり得ないことか、実際の見積もりでお示ししましょう。
例えば、エキストラのバイオリン女子が持参するであろう自前の楽器、普通で1000万円程度の値段のものを持っている。
音高、音大受験の段階で、その程度の楽器を持っていない生徒はまず合格しません。
・・・
さらに楽員に怪我などあれば、全く別の起算になる。
今回の事態では、合計5人に骨折などの怪我があったと報じられています。
仮に手首や指などに事故を抱えてしまったら、音楽家にとっては一生のことになってしまう。
裾野市は、こうした事態の全体を細大、責任をもって考えているのか?
「よく分からない」で済ませていい話では、全くありません。
文化に責任を持つ者は、良さげな話だけを振り回すのでなく、常に最悪の事故を前提に「かもしれない」対応に備えておく必要があります。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/f163d618e6113583c5371974596404f44f43cad7
10月24日15時16分にYAHOOニュース(ABEMA TIMES)からは、水が降り始めた時点でレバー周辺には人はいなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
噴き出す水は、建物地下の水槽から引かれることが多い。
何年も動かないため腐ってしまう「死水(しにみず)」と呼ばれ、臭いが発生することもあるという。
・・・
シンフォニエッタ静岡の植田楽団長は、スプリンクラーのレバーはステージ両脇に2つあり、近くには楽団関係者とホール関係者がいたが、水が降り始めた時点でレバー周辺に人が居なかったのを見ていると話す。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/6018aeb58e95514a6f1b821c207ebb26a11ccf89
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。