2017年9月8日5時19分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午後6時50分ごろ、長野県千曲市八幡にある歴史的な神主屋敷「松田館(やかた)」から出火、約3時間半後に鎮火したが、県宝に指定されている主屋(おもや)と斎館のほか、新座敷、料理の間、味噌(みそ)蔵の計5棟、延べ550m2が全焼した。
警察などによると、市教育委員会から依頼を受けた男性(67)が出火当時、火を使ってスズメバチの巣の除去作業をしていた。
男性は「ハチの巣を駆除するために火を使っていたら引火した」と話しており、警察は、この火が出火原因とみて調べている。
男性は煙を吸って長野市内の病院に搬送された。
軽症だという。
警察と消防は7日朝、現場で実況見分を行った。
市歴史文化財センターによると、同センター職員が5日、主屋の軒下に直径約50cmのスズメバチの巣を発見。
市教委を通じて、男性に駆除を依頼していた。
男性は出火当時、煙幕と可燃性の殺虫スプレーを用いて駆除作業をしていて、煙幕から飛び散った火が殺虫スプレーに引火し、主屋の屋根に燃え移ったと話したという。
男性は去年も敷地内でハチの巣を除去していた。
市によると、松田館は、隣接する武水別(たけみずわけ)神社の神官である松田家の神主屋敷。
一帯は2006年に県の史跡に指定されている。
周囲にめぐらされた堀の跡や土塁もあり、中世の武士の居館跡だったことをうかがわせ、全国的にも貴重な歴史的遺構とされる。
焼失した主屋と斎館は、県が重要文化財として、それぞれ04年11月、14年2月に県宝に指定した。
主屋は木造かやぶきの平屋で、江戸時代の18世紀に建てられたと推定され、松田家が04年、市に寄贈していた。
斎館は古くから祭事に使われ、1861年に改築された寄せ棟造り・瓦ぶきの平屋の建物。
建物内にあった古いタンスや、松田家の祭事に関する書類、神事で使用する道具類、びょうぶや掛け軸なども焼失した。
全焼した5棟のほかに、隠居屋や裏長屋、西の蔵、松田家の家人が住む住宅などがあったが、延焼は免れた。
松田館には1万数千点の古文書が残り、和歌や連歌、俳句などの史料、武田信玄、上杉景勝など戦国武将の発給文書、近世から近代の社務関連文書などもあったが、敷地内にある収蔵庫に保管されていて無事だったという。
市は、2005年から事業費約5億円をかけて、同館を博物館として整備してきていて、来年度中に一般公開する予定だった。
現場に駆けつけた岡田市長は、「江戸時代からの貴重な財産を失い、残念だ。10年以上整備し、オープンしようとしていたところで、ショックが大きい。今後の対応は県や国とも相談したい」と話した。
松田家の家人は「ただただ残念です」と話した。
出典
『ハチの駆除作業中に引火か 長野の県宝「松田館」火災』
http://www.asahi.com/articles/ASK974RC5K97UOOB00W.html
9月8日12時59分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
千曲市教育委員会によると、男性は市教委歴史文化財センターの依頼で、同日午後6時半頃から、主屋の軒先にあった直径40~50cmのスズメバチの巣の撤去作業をしていた。
男性は煙で巣をいぶし、出てきたハチに殺虫スプレーをかけて駆除しており、捜査関係者は、煙からの火の粉などでガスが引火し、建物に燃え移った可能性が高いとみている。
出典
『スズメバチの巣撤去、スプレー引火で県宝全焼か』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170908-OYT1T50058.html
(ブログ者コメント)
厳しい火気管理が行われているはずの重要建造物なのに、なぜ、火気を使用する方法での駆除を許可したのだろうか?
去年も敷地内で駆除したという実績だけで依頼し、駆除の方法は確認しなかった・・・そんなことはなかっただろうか?
(2017年9月28日 修正1 ;追記)
2017年9月15日付で朝日新聞長野東北信版(聞蔵)から、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
千曲市議会の総務文教常任委員会は14日、集中審議を開いた。
出火原因について安西教育部長は「スズメバチの駆除のための火気が原因と思われる」と説明した。
これまでに松田館などの文化財施設で巣の駆除経験がある個人に市側が依頼し、職員の立会なく行ったという。
出席した委員からは「ハチの巣をとるのも工事の一つ。吟味もせず依頼したのは極めて軽率」「文化財は火気厳禁が一般常識。文化財を管理するルールをしっかり決めること」などと厳しい意見が出た。
(2019年2月16日 修正2 ;追記)
2019年2月14日20時22分にNHK信州から、駆除作業していた男性が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は、当時、市の依頼を受けて蜂の巣の駆除にあたっていた千曲市の68歳の会社員を14日、重過失失火の疑いで書類送検した。
警察は、この会社員が建物の軒下にあった蜂の巣を駆除しようと、蜂退治用の引火性のスプレーを吹きつけたうえで煙を出すために火を使ったところ巣に火が付き、屋根に燃え広がったとしている。
警察の調べに対し、会社員は容疑を認めているという。
警察によると、会社員は当時、市の非常勤職員だったが、蜂の巣の駆除は業務ではなく、市から個人的に依頼を受けて作業を行っていたという。
出典
『“蜂駆除で県宝焼失” 書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20190214/1010007668.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。