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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20201213111分にYAHOOニュース(Nuber Web)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

登山の際、気をつけるべきヒグマに関する記事の前編です。

 

雪山の現場には多量の血痕が残されており、その下方には握りの部分が折れた銃や、カバン、帽子、水筒が散乱し、さらに下方にハンターAさんの遺体があった。  

 

死因は出血多量による失血死とされ、その受傷の状況は、右腕、右足を骨折、左腕や頚部などにも裂創があったが、とりわけ額骨、鼻骨、上下顎骨などを複雑骨折するなど、顔面に原形をとどめないほどのダメージを受けていた。

 

ヒグマによる顔面への執拗な攻撃は、とくに猟者に対する反撃の場合にみられる特徴だという──。

 

◆◆◆◆◆  

 

札幌市郊外にある住宅地の一角に、墨痕鮮やかな木の看板が掲げられた家がある。

「北海道野生動物研究所」。  

 

野生動物、とくにヒグマに関しては、50年以上をかけてその生態からアイヌ民族との関わりまで明らかにした第一人者、門崎允昭博士(82)の“研究拠点”である。  

 

今春、門崎氏が上梓した『ヒグマ大全』(北海道新聞社)は、ヒグマについて氏が50年以上にわたり蓄積したあらゆる知見が惜しみなく書き込まれた白眉の1冊で、ヒグマに興味を持つ筆者にとっては、ぜひ会ってみたい人物だった。

 

「なぜヒグマは人を襲うのでしょうか?」

 

「いらっしゃい」と筆者を迎え入れてくれた門崎氏は、銀髪を短く刈り込み、ピンと伸びた背筋は年齢を感じさせない。

 

通された一室には、ヒグマによる事件を報じた明治期の新聞のスクラップや野生動物の行動観察記録、国内外の科学論文など、貴重な資料が堆く積まれている。

 

口元に柔和な笑みを浮かべながら、門崎氏は言った。

「さて、何でも聞いてください」  

 

聞きたいことは山ほどあったが、突き詰めると、こんな質問になった。

「なぜヒグマは人を襲うのでしょうか?」

 

 

【「排除」「食害」「戯れ、苛立ち」】

 

この質問に対する門崎氏の回答は、実に明快だ。

 

「動物の行動には、必ず目的(原因)と理由があります。
 これは人間も同じ。 
 過去の事件を検証することで、ヒグマの人に対する行動規範
 を理解することが重要です」(門崎氏)  

 

門崎氏によると、1970年から2016年までの間でヒグマによる人身事故は94件起きており、33名が死亡している。

 

それぞれの事件を検証すると、ヒグマが人を襲う原因は、次の3つに大別されるという。

「『排除』、『食害』、『戯れ、苛立ち』です。

 

『排除』は、何らかの理由でヒグマにとって脅威となった人間を排除するために襲う。

 

『食害』は、空腹だったり、動物性の食物を渇望しているヒグマが、人を食べる目的で襲う。

 

『戯れ、苛立ち』は、人を戯れの対象とみたり、気が立っているときに狂気的に襲う。

 

このうち、もっとも多いのは、『排除』のために襲うケースです」

 

 

【自分を撃ったハンターの顔を決して忘れない】

 

94件の人身事故のうち、「食害」のための襲撃は11件、「戯れ、苛立ち」は4件、「排除」は実に37件がこれに該当し、うち10件が死亡事故に至っている。  

 

「排除」のための攻撃は、例えば以下のような場面で起こりうるという。

(1)不意に人間に遭遇したヒグマが先制攻撃をしてくる。特に子を連れた母熊が子を保護するために行う。

(2)人が所持している食物や作物、家畜などを入手するため、もしくはすでに入手したそれらを保持し続けるために邪魔な人間を攻撃する。

(3)ハンターなど猟者に攻撃されたり、脅威にさらされたとき、反撃に出ることがある。  

 

興味深いのは、(3)のハンターに反撃したケースだ。

というのも、ヒグマとハンターをめぐっては、「ヒグマは自分を撃ったハンターの顔を決して忘れない。手負いになったヒグマは、そのハンターを特定して反撃する。とくにその顔面を執拗に攻撃する」という話を聞いたことがあったからだ。  

 

果たしてヒグマは本当にハンターの顔を認識できるのだろうか。

 

 

【一瞬で人の顔を識別・記憶する能力がある】

 

「できます」と門崎氏は断言する。  

 

識者のなかには、「ヒグマは比較的視力が弱く、おもに嗅覚を使って状況を認識する」という向きもあるが、それは間違いだという。

 

「ヒグマには昼夜を問わず活動できる視力があり、闇夜に川岸から飛び込んで水中の魚を捕まえることもできる。
また一瞬で人の顔を識別・記憶する能力もあります」  

 

その一例として、門崎氏が挙げたのが、1974(昭和49)に北海道オホーツク管内斜里町で起きた人身事故である。

冒頭に記した凄惨な現場は、この事件のものだ。  

 

当時、現地調査を行った門崎氏によると、事件の経緯は以下のようなものだったという。

 

 

12日に家族が捜索願を出し、13日午前、遺体が発見された】

 

現場となったのは、斜里町郊外を流れる幾品川沿いの丘陵地。

一帯はジャガイモやてんさいなどの畑地で、例年ヒグマが出没する地帯だった。

畑地に接する樹林は、起伏にとみ、林床には人を寄せ付けないほどのクマイザサが密生していた。

 

「この地域では、この年の9月ごろからヒグマが出没していたたため、猟師による駆除が求められていました」  

 

そんな折、1110日夜から早朝にかけて降雪があった。

 

雪上の足跡を辿れば、追跡は容易になるため、猟師のAさんは11日の朝、「山に入る」と単身バスに乗り、ヒグマ撃ちに出かけたが、その後、行方不明となる。

 

12日に家族が捜索願を出し、13日午前、遺体が発見された。  

 

門崎氏によると、Aさんは幾品川右岸の畑を下流に向かって探索する過程で、ビート集積場付近で足跡とともにヒグマを発見したと思われる。

 

Aさんに気づいたヒグマは川を渡って対岸へ逃走。

Aさんは足跡を追い、ヒグマはササが茂った斜面を逃げ、周囲を見渡せる場所に出た。

「そこでAさんがヒグマに近づき、一発撃ったようでした」

 

 

【後の力を振り絞って上方から不意にAさんを襲った】

 

周辺に少量の血痕が残されていたが、急所は外れたらしく、ヒグマはさらに山側へ逃げる。

Aさんが後を追うが、周辺はササが茂り、見通しは悪い。

 

150メートルほど進んだところで、Aさんは杖にしていた棒を放棄し、さらに追う。

ヒグマは今度は斜面を横断するように逃げたが、出血が激しくなったようで、350メートルほど進んだところに大量の血痕があり、しばらくこの場所にうずくまっていたと考えられる。

 

Aさんは、おそらくこのあたりでヒグマを見失い、残された血痕をみて周囲を探したものの、発見できなかったのでしょう」  

 

後の門崎氏による検証では、ヒグマはそこから50メートルほど下った地点の木立付近に潜んでいた可能性が高いという。

 

Aさんはそれに気づかず、その下を通りすぎ、Aさんをやり過ごしたヒグマは、最後の力を振り絞って上方から不意に襲ったと見られる。  

 

加害ヒグマは、Aさんの遺体の下方、40メートルの場所で仰向けになって死んでいた。

Aさんの撃った弾はクマの内胸壁に沿って貫通、心肺には銃創がなかったため、徐々に出血し、胸腔内出血による呼吸麻痺で死んだと見られる。

 

 

【顔を狙う理由をヒグマ博士が解説】

 

Aさんもとくに顔面の損傷が酷かったが、なぜヒグマは、猟師の顔を狙うのか。

 

「ヒグマは、自分に向けて銃を撃った猟師の顔面を、銃とみなしているからだと考えられます。刃物などで反撃しない限り、ヒグマは猟師が落命するまで、その顔面を集中的に攻撃する。銃という脅威を『排除』するわけです。  

 

また、撃たれた一瞬で、猟師の顔を識別記憶する知力がヒグマにはある。

だから、手負いにしたヒグマを後日、数人の猟師で撃ち取りにいく場合でも、ヒグマは自分を撃った猟師の顔を覚えていて、潜んでいる場所から飛び出して、他の猟師には目もくれず、その猟師を選択的に襲う事例が多いのです」  

 

「動物の行動には必ず目的と理由がある」――


インタビュー中、何度も繰り返されたこの言葉に、動物学者としての門崎氏の哲理と信念が宿っている。

 

(後編に続く)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/ea729db85beea3cfb0e3243da4b9d7cce24a7058 

 

 

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