『熊本地震 緊急道寸断50カ所…耐震基準設定なく』
(2016年5月16日9時13分 毎日新聞)
熊本県が大規模災害時に救助隊や救援物資の輸送に使うと指定している緊急輸送道路(緊急道)113路線のうち、28路線の計50カ所が熊本地震で通行止めとなったことが、県などへの取材で分かった。
緊急道の耐震化については明確な基準がなく、陥没や落石、沿道の家屋の倒壊などが相次ぎ、支援物資が滞る一因になった。
専門家からは、重要路線のさらなる強化や、寸断された場合の備えを求める声が上がる。
緊急道は、1995年の阪神大震災で、幹線道路の被害が相次いで救急車などの緊急車両の通行が妨げられたことを受け、都道府県が指定している。
熊本県では、九州道や国道・県道の主要区間など、計約2000kmが対象。
県地域防災計画は、緊急道の「耐震性を確保する」としているが、国も県も、新設の橋を除いて、明確な耐震基準は定めていない。
県などによると、一連の地震により、幹線道路で155カ所が全面通行止めとなり、うち約3割の50カ所が緊急道に指定されている区間だった。
橋の損壊や段差11カ所、落石や土砂崩れ9カ所、路面の亀裂や陥没8カ所などの被害が出た。
15日現在も、13カ所で通行止めが続いている。
このうち、橋桁がずれるなど多くの被害が出た九州道は、4月29日まで、一部区間で通行止めが続いた。
南阿蘇村周辺では、土砂崩れで崩落した阿蘇大橋の他にも、県道熊本高森線などでトンネルや橋の損壊が相次ぎ、熊本市方面を結ぶ緊急道が寸断された。
熊本市と益城町では、道路脇の建物の倒壊または倒壊の恐れによる通行止めが、計4カ所あった。
熊本県は2007年度から、緊急道の沿道にある旧耐震基準の建物について耐震診断の費用を補助する制度を始めたが、対象514棟のうち実施されたのは、記録の残る13年度までで6棟にとどまる。
13年11月に改正耐震改修促進法が施行され、建物所有者に耐震診断を義務づけたが、対策が追いついていなかった可能性がある。
緊急道が各地で寸断された結果、地震発生直後に九州道下り線で最大16.4kmの渋滞(4月17日)が発生したほか、一般道でも渋滞が相次いだ。
運送会社などによると、支援物資の輸送が滞り、コンビニ、スーパーなどへの配送にも影響が出たが、県の担当者は、「震度7の地震が2度来るのは想定外で、すべての被害を防ぐのは難しい」と話す。
名古屋大減災連携研究センターの福和センター長は、「緊急道は、災害時に通行止めになっては困る道路で、是が非でも守る必要がある。迂回路の少ない重要路線を中心に、沿道の建築物や橋の耐震補強のあり方などを再検討すると同時に、寸断された場合に備えた備蓄や早期の応急復旧の方法も、事前に検討しておくべきだ」と指摘する。
http://mainichi.jp/articles/20160516/k00/00m/040/101000c
【ことば 緊急輸送道路】
1995年の阪神大震災をきっかけに、国が96年に指定を指示した。
都道府県が,主要都市や役所などの防災拠点を結ぶ幹線道路を中心に指定し、全国の総延長は約10万km。
被害を受けると復旧に時間がかかる橋は、阪神大震災級の地震に耐えられるよう優先的な補強を求められており、15年3月時点の耐震化率は76%。
昨年12月には、電柱が地震などで倒れて通行に支障が出ないよう、沿道で電柱を新設することを禁じる通達も出された。
http://mainichi.jp/articles/20160516/ddm/001/040/182000c
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