2015年12月10日5時0分に産経新聞westから、『電線が揺れない秘密は“ゴルフボールの原理”・・・関電、アルミ電線導入の節約志向』というタイトルで、下記趣旨の記事が写真や図解付きでネット配信されていた。
関西電力は、11月から、電気を送る送配電網を銅製からアルミ製に切り替えている。
アルミ電線は調達コストを2~3割カットでき、軽量で交換や保守の作業もしやすいためで、管内の電線を30年程度かけて交換していく。
導電性の問題から銅と比べ太くなってしまうため、風に揺れやすい難点があったが、表面に凸凹をつけて風の抵抗を弱めるゴルフボールの原理を応用することで克服した。
原子力発電所の長期停止で懐事情が厳しい関電は、老朽設備の更新も可能な限りの節約を徹底する。
関電が導入したアルミ電線は、古河電気工業と共同開発した。
電線を覆う樹脂にいくつも縦に溝を入れており、断面でみると歯車状に凸凹ができる。
これで風圧を弱めて揺れにくくしたのが特徴だ。
電力流通事業本部の笹岡マネジャーは、「細かい凹凸を付いているゴルフボールの原理と同じだ」と説明する。
ゴルフボールは、ディンプルと呼ばれる小さなくぼみで覆われていることで空気抵抗を弱め、飛距離を伸ばしている。
この原理を電線に応用し、細かな溝をつけることで、風を受けたときの力を弱めることに成功した。
溝の数や深さなどは特許事項で、詳細は明かせないという。
関電管内の送配電網は14万km。
多くの電線は、昭和30~40年代の高度経済成長期に集中して整備された。
更新時期を迎えているのに合わせ、低価格のアルミ電線を導入することにした。
管内14万kmが2~3割安く調達できると、数百億円規模のコスト削減効果になる。
ただ、アルミ製は、導電性の問題で、銅製に比べて電線を太くする必要がある。
高圧用電線の場合で、銅製が直径16mmに対しアルミ製は19mmと、2割ほど大きくなる。
その分、電線が受ける風圧が強くなり、強風が吹けば電線が切れたり、電柱が倒れたりする危険性が増すことになる。
このため関電は、古河電気工業と風に揺れにくいアルミ電線の共同開発に乗り出した。
ただ、風に揺れにくい電線は十数年前から銅製の電線で研究が進んできた。
溝を入れた電線について風を弱める効果は検証済みで、後はアルミ電線にも用いることが可能か確かめるだけだった。
アルミ電線も、昭和40年代を中心に大阪府南部に開発された泉北ニュータウンで検証導入していたため、アルミ電線を扱った経験がある府南部から導入を進めることになっている。
アルミは、電線にした場合で重さが3~4割軽くなるため、現場の交換や保守などの作業効率化も期待されている。
関電は、「これまでの研究や検証成果を寄せ集めた」と説明する。
裏を返せば、材料調達費だけでなく、開発費も抑えながらアルミ電線の導入を実現したわけだ。
送配電網は、関西電力だけでなく、電力小売り自由化で新規参入した新電力も使用料金(託送料)を払って借りているため、関電がアルミ電線で送配電網のコスト低減することができれば、電気代の長期的な抑制効果がありそうだ。
しかし、これは序の口にすぎない。
関電は、5年連続の最終赤字を回避するため、平成27年度には3033億円の経営効率化目標を掲げて節約に努めるが、今後、送配電部門でも節約が求められる場面が待ち構えている。
来年4月からの電力小売り全面自由化で、家庭が契約会社の切り替えるためには、スマートメーター(次世代電力計)の導入が必要だ。
メーター設置は、大手電力の送配電部門の仕事となっている。
関電は、全国に先駆け、20年度からスマートメーター設置を始めた。
だが、それでも導入数は今年9月末現在で、必要な約1300万台のうち約470万台と、4割に満たない。
全面自由化を迎えれば、メーター交換に集中して進めることが求められる。
さらに、今年6月に成立した改正電気事業法では、平成32年に大手電力の発電部門と送配電部門を分離することが決まった。
分社化に向け、送配電部門も一層のコスト意識が必要になり、節約に知恵と工夫を凝らす試練は続きそうだ。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/151210/wst1512100008-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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