2017年1月27日6時30分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ヒトは、経験した様々な出来事を関連づけて記憶する。
富山大などのグループは、脳の中でどのように関連づけるかをマウスの実験で解明し、27日付の米科学誌サイエンスで発表する。
違う記憶どうしを結びつけて新しいアイデアを生みだすなど、脳の高度な働きの解明につながりそうだ。
研究グループが、マウスに甘い水を飲ませた後、腹に薬の注射を繰り返すと、甘い水が嫌いになった。
次に、ブザーを鳴らした後に電気刺激を与えると、ブザーの音だけで体をすくめるようになった。
さらに、甘い水を飲むとただちにブザーを鳴らすと、甘い水を飲むだけで体をすくめるようになった。
実験したマウスの脳を調べると、好き嫌いの判断にかかわる脳の扁桃体(へんとうたい)という部分で、甘い水に反応する神経細胞の集まりと、ブザーに反応する細胞の集まりがあった。
2つの細胞の集まりは、一部、重複していた。
この重複部分の活動を特殊な方法で抑えると、甘い水を飲むだけで体をすくめる割合は減ったが、甘い水は嫌いなままで、ブザーの音に体をすくめる動作も変わらなかった。
研究グループは、重複部分は2つの記憶を関連づける働きをしていると結論づけた。
富山大の井ノ口馨教授(神経科学)は、「ヒトも、マウスと共通する仕組みで記憶をつなげているとみられる。記憶の情報を関連づけて知識や概念をつくり出すなど、ヒトの脳の高度な機能の解明につながるだろう」と話す。
出典
『記憶つながる脳の仕組み、マウスで解明 富山大など』
http://digital.asahi.com/articles/ASK1T5335K1TULBJ00D.html?rm=373
1月29日5時6分にNHK NEWS WEBからも、違った切り口での同趣旨の記事がネット配信されていた。
脳の中には、異なる時間や場所での記憶を互いに結びつける細胞の働きがあり、この働きを抑えると、記憶のつながりをなくすことができるとする研究成果を、富山大学などのグループが発表した。
PTSD=心的外傷後ストレス障害など、記憶に関わる病気の新たな治療法の開発につながる可能性があるとしている。
富山大学の井ノ口馨教授などのグループは、マウスにブザー音を鳴らしながら電気刺激を与え、恐怖の記憶を植え付けたあと、続いてブザー音を鳴らしながら、甘い水を与える実験を繰り返し、マウスが甘い水を飲むだけでブザー音の記憶を介して、電気刺激の恐怖を思い出し、身をすくめる行動を取るようにした。
そして、一連の実験中に、脳の中でどのように記憶が作られたのか観察したところ、電気刺激の恐怖の記憶と甘い水の記憶は、それぞれ脳のへんとう体と呼ばれる場所で異なる神経細胞の集団に蓄えられたが、2つの細胞の集団が一部で重なり合うと、両方の記憶がつながることがわかったという。
また、重なった部分の細胞の働きを特殊な方法で抑え込むと、マウスは甘い水を飲んでも、電気刺激の恐怖を思い出さなくなり、2つの記憶が分離されることもわかったという。
井ノ口教授は、「人が、どのように記憶を関連づけて知識や概念を手に入れるのか、メカニズムに迫る成果だ。PTSD=心的外傷後ストレス障害のような病気の、新たな治療につながる可能性がある」と話している。
出典
『脳内で記憶を結びつける細胞の働きを発見 富山大など』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170127/k10010855111000.html
(ブログ者コメント)
以下は、科学技術振興機構(JST)、富山大学、東京慈恵会医科大学の連名で、平成29年1月27日付で発表された内容。
冒頭、以下の「ポイント」が記されている。
〇記憶同士が関連づけられる際に、それぞれの記憶を司る記憶痕跡細胞集団が重複するが、その役割は不明だった。
〇重複した記憶痕跡細胞集団は記憶の関連づけ(連合)のみに関与し、それぞれの記憶を思い出すためには必要ではないことを明らかにした。
〇個々の記憶に影響を与えることなく、記憶の不要な結びつきのみを切り離すことも可能になり、精神疾患の新たな治療法の創出にもつながると期待される。
出典
『記憶を関連づける神経細胞集団の仕組みを解明』
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20170127/index.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。