2021年3月11日21時55分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
平成26年7月に静岡市で開かれた花火大会の露店で冷やしキュウリを食べて食中毒になったとして、31人が露店の男性や、大会に補助金を交付した静岡市などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は11日、露店の男性に対し、26人に計約1167万円を支払うよう命じた。
市などへの請求は棄却した。
小池あゆみ裁判長は判決理由で、男性はキュウリを漬けるバケツを洗う際に洗剤を使わず、水で流してアルコールスプレーを吹き付けるだけだったなど、衛生管理が不十分で、キュウリに腸管出血性大腸菌O(オー)157が付着したと指摘した。
市については、この露店が加入する組合を対象にした出店説明会で衛生上の注意喚起をしており、食中毒発生は予見できなかったと判断した。
判決によると、26年7月26日の安倍川花火大会後、510人が嘔吐(おうと)や下痢といった症状を訴え、市と保健所は、露店の冷やしキュウリが原因と断定した。
https://www.sankei.com/affairs/news/210311/afr2103110071-n1.html
3月12日12時44分に静岡新聞からは、露天商男性は金がないので賠償は難しいと述べていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
判決理由で小池あゆみ裁判長は「食中毒を発生させないよう細心の注意を払ってキュウリを加工すべきだったのに怠った」と露天商の賠償責任を認めた。
一方、市については集団食中毒を具体的に予見できる事情はなく、露天商を行政指導する義務は無かったと判断した。
「大会の実質的主催者だ」との原告側の主張も退けた。
組合と大会本部の安全配慮義務違反も否定した。
静岡市の田辺信宏市長は「市の主張が認められた妥当な判決」などとコメントした。
露天商の男性は20年8月の本人尋問で謝罪した上で、賠償について「気持ちはあっても金が無く、現状では難しい」と述べていた。
https://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/869774.html
※事故発生当時の報道は下記参照。
(2014年8月18日12時49分 日本経済新聞)
静岡市の花火大会の露店で売られた浅漬けの冷やしキュウリによって腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒が発生し、発症者は過去10年間の食中毒で最多の481人となった。
浅漬けによる食中毒では、2年前に8人が死亡。
厚生労働省が原材料を塩素消毒するよう衛生規範を全面改正していたが、露天商には徹底されていなかった。
7月26日夜、静岡市葵区で開かれた安倍川花火大会。
午後8時でも気温は30度を下回らず、氷で冷やされたキュウリに涼を求め、見物客らが長い列をつくった。
キュウリは同市駿河区の男性(38)が販売。
男性と家族ら5人が午後1時半ごろから約500メートル離れた場所に止めたワゴン車内で皮をむき、浅漬け液に漬けていた。
客の好みで塩、みそ、マヨネーズを付け、1本200円で千本を売り切った。
食べた人たちが腹痛や血便などの症状を訴えるようになったのは31日ごろから。
8月に入り患者が急増した。
食べた人の約半数が発症し、市保健所は汚染がかなり深刻だったとみている。
県食品衛生法施行条例では、お好み焼きなどの調理が必要なものは保健所の許可が必要だが、綿菓子や焼き芋など加工が単純なものは不要。
冷やしキュウリも許可が要らない食品に該当する。
浅漬けは加熱殺菌されず、塩分濃度も低いことから、他の漬物よりも菌が繁殖しやすいとされる。
2012年には、札幌市の食品会社の浅漬けを食べた160人以上が食中毒を発症し、4~102歳の女性8人が死亡。
厚労省は漬物の衛生規範を全面的に見直し、塩素系溶液での殺菌や、原材料を流水で十分に洗浄し10度以下で保存することなどを盛り込んだ。
駿河区の男性は調理にアルコール消毒した手袋や皮むき器を使用したものの、キュウリの洗浄にはペットボトルの水を使い、塩素消毒していなかったとみられる。
静岡市保健所の検査で調理器具から菌は検出されず、調理に当たった6人の検便で1人から菌が検出されたが、当該人物は「キュウリを食べた」と証言。
感染経路の解明は難しい状況だ。
県や市は今後、冷やしキュウリは浅漬けであると判断し、再発防止に向け、露店業者にも漬物の改正規範を守るよう指導していく方針だ。
食の安全に詳しい消費者問題研究所の垣田達哉代表は、「そもそも露店で売られているものは衛生面で心配なものが多い。子どもには非加熱のものを食べさせないなど注意が必要」と話している。
〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG1800Q_Y4A810C1CR0000/
(ブログ者コメント)
〇汚染原因は特定できなかった模様。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000078249.pdf
〇2012年の札幌市事例については、本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。