2017年12月26日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おもちゃやリモコンなど小型の電気製品に使われるボタン電池を子どもが誤ってのみ込む事故が、2015年までの5年間に国内で939件に上ることがわかった。
このうち15件は、電池を取り出しても食道の粘膜に穴が開き後遺症が残るなど、重症例だった。
東京慈恵会医科大学小児外科(東京都港区)などの研究チームは、「電池をのみ込んだかもと思った時は、迷わず医療機関を受診して」と呼びかけている。
今年1月、東京慈恵医大と電池工業会(同)が日本小児救急医学会などの協力を得て、初めて全国の医療機関を調査。
小児外科医らがいる全国の202医療機関に調査票を郵送し、11~15年の誤飲事故について、
①電池の種類
②電池が見つかった部位
③摘出方法
④回復の見通しや結果
を尋ねた。
116施設(57.4%)から回答があった。
調査結果によると、5年間の誤飲事故は、アルカリ電池などの「ボタン形」が806件、より電圧が高いものもあるリチウム電池の「コイン形」が133件で、計939件。
X線写真により電池が見つかった所は、ボタン形は胃が530件と最も多く、十二指腸以降が264件、食道が12件。
コイン形は、胃が71件、食道が45件、十二指腸以降が17件だった。
重症例15件は、コイン形が14件、ボタン形が1件で、見つかった場所は食道だった。
一般的に、コイン形の方がボタン形より大きく、食道が細い子どもははりつきやすい。
子どもの食道は粘膜が薄く、はりつくと30分~1時間でただれ、2時間程度で穴が開くことがある。
重症例のうち、13件は全身麻酔をかけて内視鏡で取り出したが、残る2件は手術をして取り出した。
手術をした場合、その後、食道が狭くなって食べ物をのみ込みにくくなり、手術を繰り返すなど治療が長期化することもある。
東京慈恵医大の金森大輔医師は、「電池を捜している間に重症化しかねない。急いで病院を受診してほしい」と話す。
研究チームは、調査結果を日本小児外科学会や日本小児救急医学会などで発表し、医療機関を通じて保護者らに危険を周知する方針。
海外では死亡例もあることから、事故の登録制度づくりを国に求めたいという。
出典
『子のボタン電池誤飲、5年で900件 粘膜に穴開く例も』
https://www.asahi.com/articles/ASKDM7KLMKDMUDCB01Z.html
12月18日13時6分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
子供がボタン電池を誤ってのみ込む事故が、平成23~27年の5年間に全国で少なくとも1000件近くに上り、排出されないまま消化管に穴が開くなどの健康被害が確認されていたことが16日、東京慈恵医大と一般社団法人「電池工業会」(東京)による初の実態調査で分かった。
おもちゃや時計、リモコンなど多くの製品に使われており、調査チームは、「電池の交換時など、子どもの手が届く場所に置きっぱなしにしないで」と呼び掛けている。
調査は今年1月、日本小児外科学会などを通じて202カ所の医療機関に質問を送り、116カ所(57.4%)から回答を得た。
ボタン電池には、直径2cm前後の「コイン形」と、1cm前後の「ボタン形」がある。
調査結果によると、23年からの5年間で、誤飲により小児外科や小児救急を受診したのは計939件。
自然に排せつされたケース以外に、食道や胃、十二指腸などにとどまり、食道が傷つくといった健康被害が15件(うちコイン形は14件)あった。
患者の年代は不明。
出典
『ボタン電池誤飲5年で千件 一部で健康被害も 慈恵医大、初の実態調査』
http://www.sankei.com/life/news/171218/lif1712180042-n1.html
※関連情報として、電池工業会HPに2017年10月2日付で、誤飲防止に関する下記趣旨
のお知らせが掲載されていた。
一般社団法人 電池工業会(以下 電池工業会)は、乳幼児が素手で開けられないパッケージの基準を記載したガイドラインを2016年10月に発行致しました。
この度、より分かりやすくするため内容を再検討し、ガイドラインを改定することと致しました。
出典
『コイン形リチウム一次電池の誤飲防止パッケージ ガイドライン(第2版)発行に関するお知らせ』
http://www.baj.or.jp/frombaj/16.html
(ブログ者コメント)
ボタン電池誤飲事故に関する情報は、過去にも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。