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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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202133731分にYAHOOニュース(現代ビジネス)から、『福島原発事故「10年目の真実」…「東日本壊滅」という最悪シナリオを回避できた「本当の深層」』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

長文につき、一部のみ抜粋して紹介する。

 

福島第一原発事故が発生した2011311日から10年が経とうとしている。

 

・・・・・

 

実は、事故発生直後に極秘裏に行われた「シミュレーション」によると、帰宅困難区域は東日本全体に及ぶ可能性があった。

 

当時の原子力委員会委員長の近藤駿介氏が行ったシミュレーションでは、最悪の場合、東日本全体がチェルノブイリ原発事故に匹敵するような大量な放射性物質に汚染され、原発から250キロメートル半径の住民が避難を強いられるという予測をしていた。  

 

なぜ、福島第一原発事故は、「東日本壊滅」という最悪シナリオを回避できたのか。  

 

事故後、10年にわたって1500人以上の関係者や専門家を取材、事故を検証してきたNHKメルトダウン取材班は、『福島第一原発事故の「真実」』で、東日本壊滅が避けられたのは、いくつかの僥倖が重なった「偶然の産物」だったというショッキングな分析を明らかにした。

 

・・・・・

 

冷却が途絶えた2号機は、何度試みてもベントができなくなり、なんとか原子炉を減圧したが、消防車の燃料切れで水を入れることができず、原子炉が空焚き状態になった。

 

テレビ会議では、吉田所長や武藤副社長が血相をかえて「格納容器がぶっ壊れる」「とにかく水をいれろ」と怒鳴っている。  

 

後に吉田所長は、「このまま水が入らないと核燃料が格納容器を突き破り、あたり一面に放射性物質がまき散らされ、東日本一帯が壊滅すると思った」と打ち明けている。

 

吉田所長が語った「東日本壊滅」は、事故後、専門家によってシミュレーションが行われている。

 

当時の菅総理大臣が近藤駿介原子力委員会委員長に、事故が連鎖的に悪化すると最終的にどうなるかシミュレーションをしてほしいと依頼して作成された「最悪シナリオ」である。  

 

そこに描かれていたのは、戦慄すべき日本の姿だった。  

 

最悪シナリオによると、もし1号機の原子炉か格納容器が水素爆発して、作業員が全員退避すると、原子炉への注水ができなくなり、格納容器が破損。

 

2号機、3号機、さらに4号機の燃料プールの注水も連鎖してできなくなり、各号機の格納容器が破損。

 

さらに燃料プールの核燃料もメルトダウンし、大量の放射性物質が放出される。  

 

その結果、福島第一原発の半径170キロメートル圏内がチェルノブイリ事故の強制移住基準に達し、半径250キロメートル圏内が、住民が移住を希望した場合には認めるべき汚染地域になるとされている。

 

半径250キロメートルとは、北は岩手県盛岡市、南は横浜市に至る。

 

東京を含む東日本3000万人が退避を強いられ、これらの地域が自然放射線レベルに戻るには、数十年かかると予測されていた。

 

この東日本壊滅の光景は、2号機危機の局面で、吉田所長だけでなく、最前線にいたかなりの当事者の頭をよぎっている。

 

しかし、2号機の格納容器は決定的には破壊されなかった。

 

なぜ、破壊されなかったのか。

 

そこに、決死の覚悟で行われたいくつかの対応策が何らかの形で貢献していたのだろうか。

 

・・・・・

 

事故から10年。

この謎を包んでいた厚いベールが剥がれ始めてきた。  

 

廃炉作業が進むうちに原子炉や格納容器に溶け落ちた核燃料デブリの状態が垣間見えてきたからである。

 

ベントができず肝心なときに水が入らなかったため過酷な高温高圧状態だったと思われた2号機の原子炉や格納容器の中には、思いのほか溶け残っている金属が多く、予想に反して高温に達していなかったことがわかってきた。

 

その理由は、皮肉にも肝心なときに水が入らなかったことではないかと研究者は指摘している。

 

メルトダウンは、核燃料に含まれるジルコニウムという金属と水が高温下で化学反応を起こすことで促進される。

 

消防車の燃料切れでしばらく水が入らなかった2号機は、水─ジルコニウム反応が鈍くなり、1号機や3号機に比べて原子炉温度が上昇せず、メルトダウンが抑制された可能性が出てきたのである。  

 

さらに格納容器は破壊ぎりぎりの高圧になったが、上部の繫ぎ目や、配管との接続部分が高熱で溶けて隙間ができ、図らずも放射性物質が漏れ出ていたことも破壊を防いだ一因とみられている。  

 

そして2号機は、電源喪失から3日間にわたってRCICと呼ばれる冷却装置で原子炉を冷やし続けていたため、核燃料のもつ熱量が、1号機や3号機に比べると小さくなり、メルトダウンを抑制させたのではないかと指摘する専門家もいる。

 

こうした僥倖が複雑に折り重なって、格納容器は決定的に壊れなかった。  

 

しかし、もしこの僥倖の何かが欠けていれば、果たしてどうなっていたか。

 

吉田所長ら当事者の頭を「最悪シナリオ」がよぎった後、私たちの目の前に、事故後日本社会が積み上げてきた10年とまったく違った10年が広がっていたのかもしれない。

 

核の暴走に人間が向き合った最前線では、時に決死の覚悟と英知が最悪の事態からの脱出に寄与したこともある。

 

2号機の危機でも3日間奇跡的に原子炉を冷却し続けたRCICは、津波で電源喪失する直前に中央制御室の運転員がとっさの判断で起動させたものだった。  

 

しかし、こうした人間の力をはるかに超えた偶然が重なって、2号機は格納容器が決定的に壊れるという事態を免れた。

 

それが事故から10年経って見えてきた「真実」ではないだろうか。

 

最悪シナリオで示された4号機の燃料プールの水がなくなり、高熱の使用済み核燃料がメルトダウンして、大量の放射性物質が放出されなかったのも偶然のなせるわざだった。  

 

4号機プールの水が干上がらなかったのは、たまたま隣接する原子炉ウェルの仕切り板に隙間ができて、大量の水が流れ込んだおかげだった。

 

4号機が水素爆発し、原子炉建屋最上階が壊れたことで、外からの注水が可能になったことも、まさに怪我の功名だった。  

 

爆発前、3号機の格納容器ベントによって排出された放射性物質が流れ込み、4号機の原子炉建屋には人が立ち入れない状態だった。

 

コンクリート注入用の特殊車両を遠隔操作し、燃料プールに冷却水を注入できたのも4号機の爆発があったからに他ならない。  

 

もし、これらの偶然が重なっていなかったら、4号機プールの水位はどんどん低下し、使用済み核燃料がむき出しになる恐れがあった。

 

そうなると、最悪シナリオで描かれた恐怖が現実のものになりかねなかったのである。

 

・・・・・

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c2bd167dc6d3d50130dfa87218916841143b27e 

 

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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