2018年5月23日19時43分に共同通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
体育館で床板から剥がれた木片が体に突き刺さる事故が相次いだ問題で、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は23日、体育施設を調査した結果、利用者への適切な注意喚起が行われていない施設が3割に上ると明らかにした。
文科省が昨年5月、全国の施設所管者に「注意事項を見やすい場所に掲示するなどして、利用者に分かりやすく伝える」よう通知。
同省が昨年12月時点で学校の体育館1897カ所、地方公共団体が設置した767カ所を抽出調査した結果を、事故調に報告した。
通知に従って注意喚起をしていない施設は、学校の体育館では30.5%、地方公共団体の体育館では37.4%だった。
出典
『体育館利用者への注意3割せず 床板剥離問題』
https://this.kiji.is/371971933799384161?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
昨年5月29日付の文科省通知は下記参照。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1386373.htm
同じ日付で、消費者事故調からは、床板剥離事故に関する報告書が公表されていた。
以下は冒頭の「報告書の要旨」抜萃。
消費者安全調査委員会では、体育館の床板の一部が剝離し、腹部に突き刺さり被災者が重傷を負った事故について、事故等原因調査の申出を受けた。
これをきっかけとして、消費者庁の事故情報データバンクに寄せられた事例及び報道情報を収集したところ、平成18 年から平成27 年までの間に申出を含めて同種又は類似の事故が7件発生していた。
この中には、木片が内臓に達した事例もあった。
消費者安全調査委員会は、「事故等原因調査等の対象の選定指針」(平成24 年10 月3日消費者安全調査委員会決定)に基づき、次の要素を重視し、体育館の床板の剝離による負傷事故を事故等原因調査の対象として選定した。
(1)体育館は全国の学校又は公共施設に設置されており、児童から高齢者まで幅広い消費者の利用に供されていて「公共性」が高いこと。
(2)重傷事故が発生しており、「被害の程度」が重大であること。
<結論>
体育館の床板の剝離による負傷事故は、被災者が滑り込んだ際に発生していた。
被災者が床板の長手方向に滑り込んだこと、被災者の身体に刺さった木片はいずれも木材の繊維に沿って剝離していたことは、現地調査を行った全ての事故に共通していた。
床板の剝離の要因は、塗膜の損傷・摩耗による木製床の性能の劣化、床板自体の傷、割れ、段差、目隙などの不具合(以下、これらを総称して「床板の不具合」という。)が生じていたことにあると考えられたものの、事故前の床板の状態を示す記録が残されていないこと、事故直前の床板の状態が確認されていないことから、事故時点においてどのような床板の不具合が生じていたのかを確認することはできなかった。
しかしながら、事故の再発防止のためには、
(1)床板の不具合を生じさせないこと
(2)床板の不具合が生じた場合には適切に対処し、事故の発生を未然に防ぐこと
が必要である。
このような観点から、以下では、現地調査及びアンケート調査から判明した、床板の不具合を生じさせた要因及び事故の発生を未然に防ぐことができなかった要因について示す。
・・・・・
http://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_010/pdf/report_010_171228_0001.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。