2016年4月15日23時23分に朝日新聞から、事故時の状況を伝える下記趣旨の記事がネット配信されていた。
15日午後7時半ごろ、岐阜県美濃市須原の須原トンネル(全長約280m)内で、岐阜県などが出資する第三セクター「長良川鉄道」(本社・同県関市)の北濃発美濃太田行き1両編成のディーゼル車が脱線した。
男性運転士(35)が肋骨を骨折し、乗客の男女2人にけがはなかった。
警察と長良川鉄道によると、トンネルは車両の進行方向に向かって右にカーブしており、何らかの原因で後輪が左側に脱線した。
衝撃で、車体の一部がトンネルの壁面に接触したという。
この事故の影響で、美濃市~郡上八幡間は終日運休。16日も、同区間は運休する見通しだという。
国の運輸安全委員会は、16日、調査官2人を現地に派遣し、原因を調査する。
出典
『長良川鉄道、トンネル内で脱線 運転士が軽傷 岐阜』
http://www.asahi.com/articles/ASJ4H728QJ4HOHGB01G.html
2016年4月25日9時17分に岐阜新聞からは、原因に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同鉄道は、24日、現場付近でレールの破断が見つかり、破断が発端となり脱線につながったとする、独自の調査結果を発表した。
全てのトンネルで線路の緊急点検を行い、異常がないことを確認したとして、25日に通常運転を再開する。
同鉄道によると、レールは1本25mで、須原トンネルの入り口から4本目の左側のレールが破断していた。
破断箇所付近のレールと枕木を固定するボルト6本も、手で回る程度に緩んでいた。
トンネル内の漏水でレールが腐食してひびが入り、列車の走行で破断につながった。
破断箇所から車輪が乗り越えて、脱線に至ったと推定されるとまとめた。
事故原因については、運輸安全委員会が調査中で、公表には約1年かかる見込み。
同鉄道は、委員会の調査で原因が判明次第、再発防止策を策定する。
運転再開に当たり、当面、社員が列車が通過するごとに事故現場を監視するなど、事故防止に努める。
同鉄道は、観光列車「ながら」も、27日に予定通り運行開始する。
出典
『「レール破断で脱線」調査結果公表 長良川鉄道、きょう再開』
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20160425/201604250917_27162.shtml
(ブログ者コメント)
4月25日付で長良川鉄道HPに、本件に関する下記趣旨の記事が掲載されていた。
2.認定された事実
(1)線路の状態について
①トンネルの入口から4本目の左側のレールに破断が確認された。
②当該列車は脱線後約90m走行したのち停止した。
③レールの破断箇所の周辺にあるレール締結装置のボルト6本が手で回る程度に緩んでいた。
(2)点検状況等について
①平成27年7月の軌道検測、4月8日の徒歩巡回及び13日の列車巡回において、異常は認められなかった。
②当日、30分ほど前に現場を通過した大矢駅行き違いの対向列車において、異常の報告はなかった。
4.当社の推定原因
(1)車輪が軌間の外方に脱線している状況、及び、直近で実施した軌道検測結果等から、軌間拡大によるものとは考えにくく、レール破断 が発端で脱線につながったものと推定する。
(2)レールが破断した理由として、判明している事実から、以下のような要因が重なり、列車脱線事故に至った原因と推定する。
①トンネル内部の漏水がレールに長期間にわたってかかり続けたことにより、レール(特に底部)が腐食して耐力が低下していた。
②R300mの曲線区間のため、列車の走行による横圧を受けやすく、耐力が低下したレール、特に外側にあるレールにひびが入り、進行 していた。
③レール締結装置の板バネが、レールのひびの進行などとともに上下動を繰り返し、板バネを保持するボルトに緩みを生じさせていた。
④ひびが進行していたレールが、列車の走行により破断につながり、 ボルトの緩みも進行していたレール締結装置の保持力が低下し、 レールの破断箇所から車輪が乗り越えて列車脱線に至ったものと推定される。
(3)レール破断面の状況から、レール上部は錆等の付着が少なく、かなり直近に、かつ、急激に破断が進行したものと推定される。
http://www.nagatetsu.co.jp/images/company/Report20160424.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。