2017年2月20日14時56分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新幹線の車内に火を付け自殺を図ろうと、男(44)がガソリンやライターを持ち込んでいたことが岐阜県警の捜査で発覚し、2015年に起きた東海道新幹線放火事件後のJRの対策が無力だったことが露呈した。
専門家は、「入り口で犯罪を止める技術開発が必要だ」と指摘。
利用者数の多さから最も有効な荷物検査に踏み切れないJRは、頭を悩ませている。
15年6月の事件では、走行中の東海道新幹線の客室で男が焼身自殺。
乗客の女性1人が巻き込まれて死亡し、新幹線で初の「列車火災事故」と認定され、関係者に衝撃を与えた。
対策に取り組んだJRや私鉄各社は、16年4月、ガソリンなど可燃性液体の車内持ち込みを禁止。
鉄道営業法に基づき、不審な客には荷物検査をし、ガソリンなどが見つかれば途中下車させるとした。
他に、新幹線デッキ部分の防犯カメラ増設や、客室内の常時録画を始め、防煙マスクや耐火手袋の常備も決めた。
警察とも連携して駅での見回りを強化。
「警戒」の腕章を着ける係員を増員し、「見せる警備」も進めた。
しかしJR東海は、空港のような荷物検査は「利用者の滞留を招き、運行に大きく影響する」と、導入しなかった。
担当者は、「利便性を損なわない探知技術があれば積極的に取り入れたいが、現状では、意識啓発中心にならざるを得ない」と話す。
こうした中、男は昨年12月4日、ガソリン8ℓとライターをキャリーバッグに入れ、岐阜羽島駅で切符を購入して新幹線に乗車したとされる。
事前の発見はできず、男は「自殺するつもりだったが、車内の多くの客を見てやめた」と京都駅で下車し、派出所にキャリーバッグを持って出頭。
男の供述で初めて事態が発覚し、男は現住建造物等放火予備容疑で追送検された。
JR東海は、男が仮に焼身自殺を図ったとすると、15年と同じように火災発生時のマニュアルに従い列車を停止させ、乗客を避難させることになるとしている。
鉄道の安全管理に詳しい関西大学の安部誠治教授(公益事業論)は、「防犯カメラの増設や呼び掛け強化は、悪意ある乗客への対策の決定打とはいえない。ナイフや液体をスムーズに探知できる設備など、入り口で犯罪を止める技術開発が必要だ」と話した。
出典
『新幹線 ガソリン持ち込み 危険物検査に決め手なし』
http://mainichi.jp/articles/20170220/k00/00e/040/250000c
(ブログ者コメント)
2015年の自殺事例は下記記事参照。
2016年7月8日掲載
[昔の事例] 2015年6月30日 神奈川県内を走行中の東海道新幹線1両目で男が焼身自殺、乗客1人死亡28人重軽傷、2両目デッキがヤジ馬などで混雑し避難が遅れるなどして被害拡大
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6079/
(2017年3月4日 修正1 ;追記)
2017年3月2日21時2分にNHK東海NEWS WEBから、自殺しようとした動機など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年12月、父親が経営する工場などに放火した罪で起訴され、この事件の直後に放火目的で東海道新幹線にガソリンなどを持ち込んだ放火予備の疑いで追送検された岐阜県池田町の男について、検察は、放火予備の疑いは十分な証拠が認められなかったとして、不起訴処分とした。
池田町の自動車部品加工業の男(44)は、去年12月、父親が経営する工場と自宅にガソリンをまいて火をつけたとして、放火の罪で起訴された。
さらに、この事件の直後、放火目的でガソリンが入った2ℓ入りのペットボトル4本とライターをスーツケースに隠して、岐阜羽島駅から下りの東海道新幹線に持ち込んだとして、2月10日、放火予備の疑いで追送検されていた。
このうち、追送検された放火予備の疑いについて、検察は「放火予備と認定するに足りる証拠は認められなかった」として、2日付けで不起訴処分とした。
出典
『新幹線で放火予備は不起訴に』
http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20170302/4399881.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。