2017年2月21日21時34分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月21日19時50分にNHK和歌山からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午後2時40分ごろ、和歌山市西浜の岸壁で、点検作業中の全地球測位システム(GPS)波浪計(波の高さなどを観測するためのブイ)が爆発した。
警察などによると、作業に当たっていた製造元の日立造船社員のIさん(男性、31歳)が全身にやけどを負って間もなく死亡し、Tさん(男性、28歳)も顔にやけどなどを負った。
警察は、爆発の原因や、作業手順に問題がなかったかなどを調べる。
国交省近畿地方整備局や日立造船によると、波浪計は津波観測のため、2007年12月に同県白浜町沖約17kmの海上に設置。
昨年8月からバッテリーの電圧低下がみられたため、同12月19日に陸に引き揚げ、点検方法などを検討していた。
引き揚げられた部分は高さ約15m、直径約5mで、円筒形をした下部にバッテリーや無線機が格納されていた。
警察によると、この日、初めて内部に入り、Iさんが最下層にあるバッテリー室の扉を開けたところ、爆発した。
Tさんも内部にいたという。
国交省によると、ブイ内部は気密性が高く、通常は、ガス抜き後に入る手順になっている。
GPS波浪計は全国18カ所に設置され、波の高さや潮位、水温などをリアルタイムで観測。
地震発生時には気象庁などに観測データを送り、住民らの避難に役立てる。
白浜沖の波浪計が不調になった後は、徳島県海陽町沖のGPS波浪計や別の海底設置式波浪計などでカバーできているという。
国交省の担当者は、「現段階で原因は想定できない。事故原因の究明に当たり、結果によって他の波浪計の点検が必要か判断する。点検方法の見直しも早急に検討する」と話した。
出典
『GPS波浪計 点検作業中に爆発、2人死傷 和歌山』
http://mainichi.jp/articles/20170222/k00/00m/040/063000c
『波浪観測ブイ爆発 2人死傷』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/2044111271.html?t=1487709853298
(ブログ者コメント)
〇写真を見ると、ブイの上部には、ソーラーパネルらしきものが沢山取り付けられている。
〇原因はまだ不明だが、バッテリー室の爆発ということから考えると水素かもしれず、暫定的にガス爆発カテゴリーに入れておく。
〇補修中のブイが爆発した事故は2007年にも起きている。原因は不詳。
2014年3月12日掲載
[昔の事例の顛末] 2007年10月 沖縄県浦添市の海保資材置き場で航路を示すブイの補修作業中にブイが爆発し大けがを負った事故で和解成立
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3730/
(2017年5月22日 修正1 ;追記)
2017年5月20日10時22分に読売新聞から、作業者に帯電していた静電気が放電し内部の水素に着火したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
和歌山市西浜の岸壁で2月、国交省が設置した全地球測位システム(GPS)搭載の波浪計が爆発し、男性作業員2人が死傷した事故で、「バッテリー室」に充満した水素ガスに静電気で引火した可能性が高いことがわかった。
バッテリー室には換気装置がなく、水素ガスがたまりやすかった。
警察は、作業手順や安全管理に問題がなかったかなど、業務上過失致死傷の疑いで捜査している。
事故は、バッテリーの不調のため、波浪計を海上から岸壁に引き上げ、点検中に発生。
同省や消防も、原因などについて調べている。
関係者によると、周辺に火の気はなく、最下層のバッテリー室の扉を開いた時に爆発しており、亡くなった作業員(31)が静電気を帯びた手で扉に触れたことで放電し、バッテリーから漏れて室内に充満していた水素ガスに引火した可能性が高いという。
また、けがを負った別の作業員も含め、事故当時、静電気除去用の作業服や手袋を着用していなかった可能性があるという。
一方、バッテリー室には、換気用の窓やガス抜きのダクトはなく、気密性は高い構造だという。
出典
『水素ガスに静電気で引火か…波浪計爆発事故』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170519-OYT1T50054.html
(2017年6月9日 修正2 ;追記)
2017年6月7日18時22分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて、国交省近畿地方整備局が設置した有識者の検討委員会の会合が、7日、神戸市で開かれた。
会合では、爆発の原因について、波浪計が設置から9年経っていたことから、劣化などのためバッテリーから発生した水素に何らかの理由で火が付き、爆発した可能性が高いと報告された。
また、同じ型の波浪計が、ほかにも全国で17か所に設置されていることから、ほかの波浪計でも爆発のおそれがないか、速やかに緊急点検を行う方針が確認された。
さらに会合では、今後、水素の発生を遠隔でチェックしたり、水素が発生しても換気したりできるよう、波浪計の改善が必要だという意見も出されたという。
出典
『波浪計爆発事故受け緊急点検へ』
http://www.nhk.or.jp/kansai-news/20170607/4010951.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。