2017年10月2日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
踏切内で転倒するなどして電車にはねられ死亡する事故を防ごうと、警視庁は鉄道各社に高機能の検知装置を導入するよう要請した。
東京都内では今年7人(1日現在)が死亡し、昨年1年間の2人を既に大幅に上回っているためだ。
西武鉄道が、2月に事故が起きた踏切に新型装置を設置して実証実験を始めるなど動きが広がっており、国交省も鉄道各社の対応に関心を寄せている。
国交省によると、2012~16年度の5年間に踏切内で電車にはねられて死亡したのは、全国で381人(自殺を除く)。
事故は鉄道の運行にも大きな影響を及ぼすため、鉄道各社にとって対策が重要課題になっている。
一般的に、検知装置は踏切に車が取り残されたケースを想定している。
犬や猫など動物に反応して電車を止めないように、地面から75cm以上の高さにレーザー光線や赤外線を出し、障害物を「線」でとらえるタイプが多い。
警視庁によると、今年都内で亡くなった7人のうち、4人は検知装置がある踏切で事故に遭った。
2人は光線より低い場所で倒れたまま起き上がれず、他の2人は立っていたが、光線と光線のすき間にいて検知できなかった。
同庁は2月、西武鉄道の東京都豊島区にある踏切で78歳の女性が転倒してはねられ死亡した事故を受けて、緊急の対策会議を開催。
踏切内を「面」でカバーする高機能の装置を導入するよう、鉄道会社に要請した。
西武鉄道は6月、この踏切に「面」で検知できる装置を地面から高さ約13cmに設置して、実証実験を始めた。
この高さでは動物に反応することもあり、最も適した高さなどを検証し、他の踏切でも導入する方針だ。
他の会社でも、高機能の装置の設置は進みつつある。
ただ、価格が従来型の倍ほどするため、多くをすぐに切り替えるのは難しい。
警視庁の担当者は、「老朽化した設備の更新に合わせて導入を」と呼びかけている
東京都豊島区の西武鉄道の踏切で転倒し、電車にはねられて死亡した近くの無職女性Tさん(78)の夫(81)が毎日新聞の取材に応じ、「同じ事故が起きないように対策を取ってほしい」と語った。
事故が起きたのは、西武池袋線の椎名町駅東側にある「池袋第8号踏切」(幅約4m、長さ約10m)。
警視庁によると、Tさんは2月9日午前10時50分ごろに横断中、手押し車の車輪がレールの溝にはまり、引き抜こうとして転倒。
這って線路外に出ようとしたが間に合わず、はねられた。
夫によると、Tさんは膝が悪く、2~3年前から外出時に手押し車を使っていた。
手押し車のかごから保険証が見つかっており、かかりつけの整形外科に行く途中だったとみられる。
踏切は閑静な住宅地にあり、日中は人通りが少ない。
約60m離れた場所には幅が広く、人の通行量が多い踏切があったが、この日は普段は通らない狭い踏切を選んだ。
夫は、「足が悪く、ゆっくり歩くから、他の人の邪魔になると思って、あの踏切を通ったのではないか」と推測する。
踏切で倒れたTさんに気付いた人はいなかった。
西武鉄道によると、現場の踏切には、遮断機が下りると踏切内の地面から約75cmの高さに7本のレーザー光線を張り巡らせ、障害物を検知すれば電車に知らせる装置があった。
しかし、Tさんは倒れたままで、手押し車も転倒したため光線に触れず、装置は反応しなかった。
夫は、「仕方のないことだが、同じ事故は二度と起きないでほしい」と語った。
出典
『踏切事故防止 踏切の異常、見逃さぬ 倒れた人にも反応、高機能検知装置 西武鉄道試行、他社も前向き』
https://mainichi.jp/articles/20171002/dde/041/040/047000c
(ブログ者コメント)
以下は関連記事。
2017年3月7日掲載
『2017年2月28日報道 踏切内での死亡事故が後を絶たない、特に高齢者が関係する事故が目立つ、対策として従来は精度が高すぎて二の足を踏んでいた高精度センサーを鉄道各社は導入中』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6857/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。