2017年9月30日15時17分に毎日新聞から、条例制定自治体のマップ付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
自転車の利用者に対し、事故に備えた保険への加入を義務づける条例が10月1日、名古屋市と鹿児島県で施行され、制度の運用が始まる。
自転車側に高額の賠償を命じる判決が相次ぐ中、「加害者」の資力不足で「被害者」が救済されない事態を避けるのが狙い。
義務化は、全国の自治体に広がり始めている。
警察庁の統計によると、全国で昨年起きた自転車事故は9万836件で、うち死亡事故は509件。
06年の17万4471件、825件からは、かなり減ったものの、いまだ深刻な状況だ。
特に、対歩行者の事故は昨年2281件で、10年前から18%減と、減り方が比較的鈍い。
10年ほど前から、自転車事故の加害者に高額な賠償を命じる判決が各地で相次いでいる。
自転車は手軽な乗り物だが、歩行者を死傷させれば、裁判所が車と同様の賠償責任を認める傾向にある。
ただ、車やオートバイと違い、自転車は法律で保険加入が義務づけられていない。
加害者が保険未加入の場合、被害者の救済が十分進まず、加害者も重い負担に苦しむことになる。
こうした状況を受け、兵庫県は15年10月、全国で初めて条例で自転車利用者に保険加入を義務づけた。
都道府県レベルでは、大阪府と滋賀県も続いた。
京都府や京都市は、来年4月から施行する。
保険加入を努力義務とする条例は、東京都や埼玉県、熊本県などが定めた。
名古屋市では昨年、3111件の自転車事故が起き、5人が死亡、3077人が負傷した。
死傷者は12年より27%減ったが、交通事故全体の死傷者の19%を占める。
一方、市が15年に1000人余に実施した市政アンケートで、普段自転車に乗る人(約5割)のうち、保険に加入していると答えたのは34%だった。
市は、自転車の安全や適正利用に関する条例を定めて今年4月に施行し、保険加入に関する規定は10月施行とした。
自転車を利用する市民や、市民以外でも市内で自転車に乗る人に保険の加入を義務づけ、未成年者が乗る場合は保護者に加入義務を課した。
加入状況の把握が難しいため、違反者への罰則はない。
自転車向け保険は近年、損保会社が販売しており、保険料は年数千円。
自動車保険や火災保険などの特約で賄われる場合もある。
自転車店で点検・整備した際に貼られる「TSマーク」にも保険が付いている。
KDDIが8月30日~9月1日に全国の1000人を対象としたウェブアンケートでは、保険加入の義務づけ条例に81%が「賛成」と答えた。
名古屋市は、広報の特集などのほか、9月にはテレビCMで条例をPRした。
市の担当者は、「条例施行後、市民へのアンケートで定期的に加入状況を把握していきたい」としている。
【歩行者との事故で自転車側に高額賠償を命じた主な判決(年齢は事故当時)】
■東京地裁(2007年4月) 5438万円
信号無視した37歳男性の自転車が、横断歩道を歩行中の55歳女性と衝突。女性死亡
■大阪地裁(07年7月) 3000万円
歩道上で無灯火の15歳少年の自転車が、歩行中の62歳男性と正面衝突。男性死亡
■さいたま地裁(11年11月) 1706万円
女性が自転車で歩道を通行中、路地から歩いて出てきた35歳女性と衝突。35歳女性は左足骨折など
■東京地裁(13年3月) 2174万円
歩行者も通れるサイクリングロードで、出勤中の会社員の自転車が、散歩中の77歳男性と正面衝突。男性は3日後に死亡
■神戸地裁(13年7月) 9520万円
坂道を下ってきた小学5年少年の自転車が、歩行中の62歳女性と衝突。女性が意識不明
■東京地裁(14年1月) 4746万円
信号無視した40代の会社員男性の競技用自転車が、横断歩道を歩行中の75歳女性に衝突。女性は5日後に死亡
出典
『自転車保険 銀輪禍救済へ義務化スタート 名古屋、鹿児島』
https://mainichi.jp/articles/20170930/k00/00e/040/342000c
10月2日6時24分にNHK鹿児島からは、鹿児島県のケースに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
自転車の安全利用を目的とした「かごしま自転車条例」は、今月から規定が加わり、中学生以下の子どもが自転車に乗るときにヘルメットを着用させるよう保護者に義務づけるほか、自転車に乗る人やレンタル業者などに対して、損倍賠償保険への加入を新たに義務づける。
この条例は、自転車に乗る人だけでなく、レンタル業者や保護者、教育現場など、幅広い層に自転車の安全利用を求める内容で、ことし3月に施行されている。
今月からは、都道府県の条例では全国で初めてとなる、中学生以下の子どもへのヘルメットの着用を保護者に義務づけるほか、幼児が同乗する際のヘルメットの着用義務も新たに加わる。
また、自転車による交通事故で生じた損害賠償のための保険や共済への加入も義務づけられ、自転車に乗る人のほか、レンタル業者などが対象で、販売業者も、購入した人が保険などに入っているか確認する義務がある。
警察によると、去年までの5年間、自転車による交通事故で死亡した34人のうち、ヘルメットをかぶっていた人は2人だけだったという。
この条例に罰則はないが、県や警察は、事故や転倒したときに頭部を守れるよう、安全基準を満たしたヘルメットを着用するとともに、過去には自転車での事故で加害者におよそ1億円の損害賠償を求められたケースもあることから、保険などに入るよう呼びかけている。
出典
『自転車条例ヘルメット義務を強化』
http://www.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20171002/5050000440.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。