2017年9月29日23時56分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日産自動車で、国内で車両を組み立てる全工場でのずさんな運営が明るみに出た。
本来は、社内で検査員と認められた従業員が完成車を検査する必要があるが、守られていなかった。
新車登録前の6万台の検査がやり直しとなり、ユーザーに渡った100万台規模も対象の可能性がある。
法令軽視の批判は免れず、ブランドイメージや業績への悪影響は避けられない。
自動車メーカーは、工場で車を生産する最終段階で「完成検査」を行う。
本来は国が行う検査を、工場で代行しているような形だ。
完成検査を受けた証明が、安全に路上を走る車としての「お墨付き」となる。
その後、販売店に出荷され、ナンバーを付けてユーザーに引き渡される。
こうした仕組みは、道路運送車両法や関連の実施要領などで定められている。
国が定めた実施要領では、各社が知識や技能を考慮し、自社であらかじめ指名した従業員が検査するよう求めている。
しかし日産では、認定されていない「補助検査員」が、一部の検査を行っていた。
全工場で日産が認めた正規の「完成検査員」は約300人で、補助検査員は約20人。
この補助検査員が、完成検査員が行うべき業務を行っていた。
完成検査員かどうかは、バッジの有無で判別できる。
補助検査員は作業に習熟しているが、レベルには個人差があるという。
日産の社内調査では、補助検査員が検査をすることが問題だという認識もない従業員もいた。
安全性が重視される自動車の生産現場で、法令を守る認識が欠けていたことになる。
この状態がどれだけ続いていたかについて、日産は「調査中」としており、長期にわたって常態化していた可能性がある。
問題があったのは、追浜工場(神奈川県)、栃木工場(栃木県)、日産九州(福岡県)、日産車体(神奈川県)、同社傘下のオートワークス京都(京都府)、日産車体九州(福岡県)で、国内の車両組み立ての全6工場だ。
9月18日、国交省が日産車体湘南工場(神奈川県平塚市)に抜き打ちで立ち入り検査して発覚した。
日産はその時点まで、事態を把握していなかった。
現時点で、ユーザーへの引き渡し前で新車登録されていない6万台は、引き渡し前に検査をやり直す。
委託先の三菱自動車がつくっている軽自動車を除き、国内で生産・販売する「セレナ」「エクストレイル」など、全車種が含まれる。
ただ、すでに引き渡された車は登録され、路上を走っている。
いつから問題があったかがわからず、影響台数は特定できていない。
新車登録から3年後に車検を受けていれば、正規の検査を受けた形になるとみられる。
日産の国内販売は、軽を除くと年間38万台程度。
初回の車検前の車が対象の場合、計100万台規模の再検査が必要となる可能性がある。
再検査の方法は、決まり次第、ユーザーに連絡するという。
日産は、検査自体は、必要な全項目について実施したと説明しており、特に、車検を経た車の安全は確保されているとの認識だ。
すでに全工場で正規の検査員が確認するように改めており、今後の生産停止は考えていないという。
ただ、販売現場では対応に追われ、新車販売に影響が出る可能性がある。
日産は、国内ではトヨタ自動車やホンダなどに離されていたが、昨年に出した「ノート」のハイブリッド車(HV)がヒットした。
10月2日には、エコカー戦略の中核を担う電気自動車の新型「リーフ」を発売する。
だが、リーフも一部は再検査が必要で、当分、引き渡しができない。
リーフはブランドを背負う車だけに、日産のイメージにも悪影響が及ぶ。
日産の西川社長は、日本自動車工業会の会長を務める。
間近に迫った東京モーターショーを主導する立場だが、自社が信頼を損なう事態を招いてしまったことになる。
出典
『全工場でずさん検査、日産打撃 法令軽視の批判は必至』
http://www.asahi.com/articles/ASK9Y6CXTK9YULFA02T.html
10月2日18時4分にNHK首都圏からは、日産は250億円超かけてリコールするという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
西川社長が先ほど午後6時から、横浜市の本社で記者会見した。
この中で西川社長は、2014年10月から先月までに製造し、すでに販売したおよそ121万台について、検査に不備があったとして点検をやり直すため、今週中に国交省にリコールを届け出ることを明らかにした。
さらに、これとは別に、販売されずに在庫となっているおよそ3万4000台についても、検査に不備があったとしている。
また西川社長は、リコールに必要な費用について、250億円を超える可能性があるという見通しを示した。
出典
『日産 検査不備「120万台超」』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20171002/0001391.html
10月4日22時20分に産経新聞からは、完成検査のやり方に関する、やや詳しい記事が下記趣旨でネット配信されていた。
偽装があったのは、新車の出荷前にブレーキ性能や排ガス量などが基準を満たしているかを確認する「完成検査」。
本来は、約5つの工程ごとに、資格を持った検査員が確認後、記録書類の完成検査票に押印して次の工程に進める。
日産工場では、資格を持たない補助検査員だけで工程を担当させるなどした上、有資格者が実施したように押印していた。
出典
『日産自動車、無資格検査で検査書類を偽装 国交省、違反の組織性調べる』
http://www.sankei.com/affairs/news/171004/afr1710040032-n1.html
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。