







2023年8月28日22時27分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午後5時45分ごろ、秋田新幹線は赤渕(岩手県雫石町)―田沢湖(秋田県仙北市)間の落石を検知する装置が作動しなくなり、同区間の運転を見合わせた。
JR東日本は安全確認をした上で、午後8時半過ぎに運転を再開。
東京発秋田行きこまち31号が約3時間遅れるなど、4本に遅れが出た。
このほか、こまち2本と、同じ線路を走る普通列車2本が区間運休した。
約1300人に影響が出た。
https://www.sankei.com/article/20230828-2UDKTLD5BNL3JEAJFMDOJG7B6M/
(ブログ者コメント)
〇滅多に起きない?起きても報じられない?トラブルだと感じたので
御参考までに紹介する。
〇落石検知システムについては、JR東の下記報文が分かりやすかった。
『長大延長を 一括監視可能な 落石監視システムの開発』
https://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_21/Tech-21-50-53.pdf
2023年8月16日19時42分にYAHOOニュース(北海道文化放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8月16日、道南いさりび鉄道の北斗市にある踏切で、列車が通過しているにも関わらず、遮断機が下りないトラブルが発生しました。
幸い、ケガ人などはいませんでした。
16日午前6時53分ごろ、道南いさりび鉄道線の北斗市茂辺地にある「茂辺地道路踏切」で、列車が通過する際に遮断機が下りない状態のまま、列車が踏切内を通過しました。
列車は速度60キロで通過。
1両編成で乗客は10人いました。
当時、踏切には人や車はおらず、けが人はいませんでした。
道南いさりび鉄道によりますと、原因はレール上に発生したサビにより、列車が接近している状態を検知できなかった可能性があるということです。
道南いさりび鉄道の担当者は、「踏切のレールはここ数年で取り替えている。約10メートル先が海なので、もしかしたら潮によりサビが発生したのかもしれない」ということです。
レールの改修工事には数日間かかるため、踏切の両端にバリケードを設置し、車や人が侵入できないようにするということです。
なお、列車は通常通り運行する予定で、ダイヤに変更はありません。
道南いさりび鉄道は「今後、こういう事案が発生しないように対応していきます」とコメントしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8a6ad6ce716dbc15d3b2c3e07642c1fa99d8f1ca
(ブログ者コメント)
レール上に錆が出ると列車を検知できなくなる点については、以下の「㈱昭和テックス」ホームページ記事が分かりやすかった。
・・・
鉄道用レールには列車を検知するための電流が流れており、列車の車軸(車輪)でこの電流を遮断することで列車を検知しています(接触型検知)。
また、レールには列車検知用に加えて電車の駆動電流も流れています(図2)。
このため、軌道回路に不具合が発生すると列車は正常に運行することができなくなります。
いわゆる「信号機故障」の一つの原因となり、列車遅延等を引き起こすこととなってしまいます。
・・・
レールは電流を通すと同時に列車重量を支持しています。
このため、列車が通過する時、レールには強烈な振動が発生しています。
その大きさは民需レベルをはるかに超える強烈なものです。
このため、レールボンドや送着ボンドはこの振動を受けて次第に破壊が進みます。
このためボンドの耐久性が大きな課題となっています。
また、列車本数が少ない閑散線区や入換線等においては、時折、レールに錆が発生し、列車が検知できない状態に陥ることがあります。
・・・
http://www.showatecs.co.jp/about-tecs/total-solution_j/
2023年8月2日22時35分に長野放送から下記趣旨の記事が、車輪脱輪状態図など複数枚の解説写真付きでネット配信されていた。
利用者に大きな影響が出た、しなの鉄道の脱線事故です。
しなの鉄道は2日、会見を開き、「木製の枕木の老朽化でレールの幅が広がったことが事故の原因とみられる」と発表しました。
来年度末までに一部をコンクリート製の枕木に変更するなどの対応をするということです。
6月12日午前8時45分ごろ、しなの鉄道の上田駅構内で回送列車が脱線しました。
4両編成の車両のうち3両が脱線しましたが、けが人はいませんでした。
車両の撤去作業や安全確認のため、一部区間は3日間運休が続き、およそ2万3000人に影響が出ました。
原因は…。
事故からおよそ2カ月。
2日、しなの鉄道が会見を開きました。
しなの鉄道・土屋社長:
「木(製)枕木の老朽化による軌間拡大が原因とみられる」
事故現場の木製の枕木は、およそ30年間使われていました。
回送列車は、踏切のカーブを超えた所で脱線したとみられます。
カーブでは一方向に力が加わります。
木製の枕木が老朽化していたためレールを固定するクギが倒れ、幅が広がり脱線したということです。
しなの鉄道によりますと、年1回、枕木の点検をしていましたが、異常は見つからなかったということです。
しなの鉄道・北原運輸担当部長:
「外見上ではわからなかった。
表面上はいいけど、中が腐っていて、くぎがしっかり効いていない。
力が弱くなっているのが分かりづらかった」
事故を受け、木製の枕木は、曲線部分はすべてコンクリート製に。
直線部分は3本に1本をコンクリート製に、2024年度末までに変更するということです。
しなの鉄道によりますと、およそ30万本ある枕木の1割が木製ですが、「本線」は既に全てがコンクリート製だということです。
しなの鉄道・土屋社長:
「本線は安全、社員一同安全運行を心がける。お客さまには安心して利用いただきたい」
https://www.nbs-tv.co.jp/news/articles/?cid=15086
8月2日18時35分にTBS NEWS(信越放送)からは、脱線したのは本線と車庫をつなぐ線路で、枕木の内部が腐食していたこと、また現場がカーブだったことからレールが外側にずれたことが原因など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
現場は、上田駅のホームから100メートルほど離れた、本線と車庫をつなぐ電留線(でんりゅうせん)と呼ばれる線路です。
列車は車庫に引き揚げる途中で、乗客はおらず、乗員にけがはありませんでした。
しなの鉄道によりますと、緩いカーブに設置された木製のマクラギの内部が腐食。
その結果、釘で固定されたレールが列車の荷重で外側にずれ、レールの間隔が広がったことで脱線したということです。
事故の後、車体のつり上げ作業など撤去に時間がかかり、運転を再開したのは3日後。
その間、田中駅と戸倉駅の間で運休し、バスによる代替輸送が行われるなど、2万3千人余りに影響が出ました。
・・・
しなの鉄道は、2024年度末までに曲線部分の木製マクラギは全てを、直線部分でも3本に1本をコンクリート製に取り換えるとしています。
交換の対象はおよそ6000本で、費用は2億円程度かかると見込んでいます。
しなの鉄道は、2022年度まで3期連続の赤字で、再発防止策の実施に行政の支援を求めていく考えを示しました。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbc/640023?display=1
2023年7月6日21時30分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京メトロは6日、日比谷線の上野駅で、ホームと電車の隙間を埋める転落防止ゴムを社内基準で定めた場所に設置せず、子供が落下する事故があったと発表した。
すぐに駅員らに引き上げられて病院に搬送された。
けがはなかった。
東京メトロは「設置場所を緊急点検し、再発防止に努める」としている。
東京メトロによると、6月25日午後5時5分ごろ、子供が乗車しようとした際、両足を踏み外して、ホームと車両の間にあった約15センチの隙間に転落した。
社内基準では、隙間が一定程度広い箇所に、くし状の転落防止ゴムを設置することになっている。
事故のあった場所は、令和2年3月にホームドアを設置した際に取り外したままにしていた。
https://www.sankei.com/article/20230706-OUTCMEBYWVMZDCQ2SI4RYRJEDI/
※以下は転落防止ゴムに関する東京メトロHPの記事。
「駅・車内の安全対策」
「転落防止ゴムの設置」
車両とホームの隙間が大きい箇所のホーム先端に転落防止ゴムを設置し、隙間を少なくすることでお客様の軌道内転落を防止します。
https://www.tokyometro.jp/safety/prevention/station/index.html
2023年7月3日19時28分に九州朝日放送から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐賀県小城市にある遮断機のない踏切で、52歳の男性が列車にはねられ死亡しました。
3日午後3時ごろから、国交省などによる調査が行われています。
現場では事故当時の状況について、列車や道路からの見え方などが調べられました。
警察などによりますと、2日午後6時ごろ、小城市のJR唐津線「二十の坪踏切」で、佐賀駅行きの普通列車が近くに住む52歳の男性をはねました。
男性は、その場で死亡が確認されました。
運転士は警察に対し、「走ってくる人を確認し、汽笛を鳴らして緊急停車しようとしたが間に合わなかった」などと話しています。
男性の家族の話や服装などから、事故当時、男性はイヤホンをつけてランニングをしていたとみられています。
運輸安全委員会の鉄道事故調査官は、「警報機がないっていうことで、踏切の手前ではいったん立ち止まって左右確認するところを注意喚起していければ」と話しています。
警察は、イヤホンの音で列車の接近に気づかず、はねられたとみて詳しい経緯を調べています。
https://kbc.co.jp/news/article.php?id=10464541&ymd=2023-07-03
7月3日19時3分にYAHOOニュース(サガテレビ)からは、列車は250mほど進んだところで停車したなど、同趣旨の記事がネット配信されていた。
2日午後6時前、小城市三日月町にあるJR唐津線の踏切で、上りの列車と人が衝突しました。
この事故で、小城市に住む52歳の男性が死亡しました。
列車はブレーキをかけたものの間に合わず、衝突後、約250メートルほど進んだところで止まりました。
運転士は「人が走って踏切に入ってきたため、警笛を鳴らし止まろうとしたが気付く様子はなかった」と話しているということです。
警察によりますと、シューズなど服装からみても男性は日課のランニング中だったとみられています。
また、男性のイヤホンが列車の前方に引っかかっていて、イヤホンによって周囲の音が聞こえず列車の接近に気付かなかった可能性があります。
さらに、現場はいわゆる“第四種踏切”で、警報器の音や遮断機の進入制限がありませんでした。
警察は自殺の可能性は低く事故とみて捜査していて、踏切の手前では必ず立ち止まって左右の安全を確かめるよう注意を呼びかけています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/28f7406e91e48a1908b7ad4b8b41a753ba86167a
今回は自分自身の死亡事故だったが、車や自転車運転中だったら、加害者になっていた可能性もある。
2023年6月26日17時39分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本は、24日発生したシステム障害について、工事の操作手順書に誤りがあり、現場の担当者もそれに気がつかずに別のブレーカーが落とされ、電源が遮断されたことが原因だと明らかにしました。
JR東日本では24日未明にシステム障害が発生し、駅の構内や券売機などでクレジットカードが使えなくなったほか、運賃の支払いなどを行う「モバイルSuica」でアプリでのチャージができないなど、影響は最大で12時間余り続きました。
JR東日本が詳しく調査した結果、システムサーバーの電源工事で操作手順書に誤りがあり、現場の担当者もそれに気がつかずに別のブレーカーが落とされ、電源が遮断されたことが原因だと明らかにしました。
会社のマニュアルでは、工事の前に手順書に間違いがないかを管理者や現場の担当者などがそれぞれで確認することになっていましたが、ミスを見つけることはできませんでした。
このためJR東日本は、手順書をチェックする人数を増やしたり工事の工程に照らして確認をより入念に行ったりするなど、再発防止を徹底するとしています。
また、システム障害ではネット上で新幹線の指定席などを予約する「えきねっと」も利用できなくなったため、キャンセルなどができなかった場合には全額を返金する対応を取ることにしています。
JR東日本は「多くのお客様にご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます」としています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230626/1000094159.html
6月26日付で該社HPには、操作する盤のナンバーに誤記があったという、下記趣旨の記事が掲載されていた。
・・・
3. 原因
盤NO.6は通称CV6と呼ばれており、当日の操作手順書には下記のとおり誤りがありました。
(正)盤NO6(CV6)内のブレーカーを「切」にする 。
(誤)盤NO6(CV4)内のブレーカーを「切」にする。
・・・
https://www.jreast.co.jp/info/2023/20230626_ho04.pdf
(ブログ者コメント)
〇複数人によるチェックでも見逃された誤記。
全員、作業方法の妥当性をメインにチェックしていたからだろうか?
作業する機器はこれで間違いないか?といった観点でチェックしていれば気が付いた?
〇複数人がチェックしていても見逃してしまった。
そのことを逆に考えれば、これまで複数人がチェックしていたからこそ事前にミスに気が付いた・・・という事例はあったのだろうか?
2023年6月16日18時9分にNHK神奈川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月31日、横浜市の日吉駅の構内の線路から二度にわたって煙が出て、東急東横線と目黒線、新横浜線のいずれも一部区間で、最大6時間近く運転が見合わされ、17万人余りの乗客に影響が出ました。
東急電鉄は16日会見を開き、煙が出た場所は、東横線と新横浜線のレールのつなぎ目部分で、ことし3月から東急電鉄と相模鉄道の相互直通運転を開始するのに合わせて新たに作った箇所だったことを明らかにしました。
東横線と新横浜線は、レールに流れる電気の電圧が異なっていて、この影響で、列車が通過する際に火花が断続的に発生し、ショートしたとみられるということです。
電圧が異なるレールをつなぐ場所はほかにも8か所あるということで、東急電鉄は、今月中にすべての点検を終えたいとしています。
東急電鉄電気部の藤江統括部長は、「改めておわび申し上げます。再発防止を徹底し、安全運行に努めていきます」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20230616/1050019422.html
6月16日17時4分に産経新聞からは、電車が通過するたびに絶縁が保てずショートした、複数路線が接続する他の駅では既に対策がとられていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東急電鉄は16日、5月に横浜市港北区の東横線日吉駅で線路が発煙したトラブルの調査結果を発表した。
電圧が異なる路線同士が接続する箇所で、電車が通過する際に絶縁が保てずにショートして火花が出たことが原因。
日吉駅の線路で電圧差を弱める改修をした。
東急電鉄によると、3月に開業した新横浜線と東横線はレールの電圧に差がある。
通常はレールの継ぎ目で絶縁されているが、電車が通過する際、瞬間的にショートして火花が散り、この繰り返しで煙が出た。
複数路線が接続する他の駅では既に対策が取られていた。
日吉駅の発煙は5月31日に発生。
東横線などで計約6時間運休した。
https://www.sankei.com/article/20230616-Q2DQW747BVPN5L25D7VPQYX3ZU/
6月16日18時46分に読売新聞からは、想定以上に大きな火花が散る状態になっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月31日に東急東横線日吉駅構内の線路から煙が出て長時間運転を見合わせたトラブルで、東急電鉄は16日、レール継ぎ目の絶縁部が劣化してショートし、焼損したことが原因だったと発表した。
同社によると、劣化は列車が通り過ぎる度に発生する火花によるもので、想定以上に大きな火花が散る状態になっていたという。
同社は火花を小さくするための改修工事を行った。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230616-OYT1T50214/
2023年5月12日21時58分に毎日新聞から下記趣旨の記事が、当該レールカートの写真ならびに無人走行した区間の地図付きでネット配信されていた。
12日午前2時5分ごろ、福岡県久留米市花畑1の西鉄天神大牟田線花畑駅から、作業用のレールカートが福岡市方面に向け、線路上を無人で走り出した。
連絡を受けた作業員が22分後、約8・3キロ先にある小郡市福童の端間(はたま)3号踏切付近で停車させたが、この間に時速約20キロで14カ所の踏切を通過していた。
西日本鉄道(福岡市)によると、けが人や事故は報告されていない。
同社によると、カートは長さ1・78メートル、幅1・55メートル、重さ130キロのアルミ製で2人乗り。
動力はガソリンで、作業員が移動する時に使用する。
この日は花畑駅構内で関係会社の社員4人が信号の点検作業をしており、うち2人がカートを手で押しながら移動させていた。
何らかの原因でスイッチが入り、ライトをつけたまま走り出したという。
カートが通過した14カ所の踏切には遮断機や警報機は付いていたが、作動しなかった。
同社は「ご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げます。再発防止の徹底に努めます」と謝罪した。
https://mainichi.jp/articles/20230512/k00/00m/040/277000c
5月12日21時5分にNHK福岡からは、カートは本来は作業員が乗って動かすものなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
西鉄によりますと、レールカートは本来は必ず作業員が乗って動かしますが、今回は作業員が後ろから押して移動させていたということです。
何らかの原因でカートのエンジンがオンになり無人走行したとみられ、西鉄は原因を調査するとともに再発防止を徹底したいとしています。
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20230512/5010020251.html
5月12日19時30分に朝日新聞からは、脱線させて止めたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
約20分後、端間駅(小郡市)近くで別の点検をしていた作業員がレールカートを押して脱線させて止めた。
https://www.asahi.com/articles/ASR5D6CR3R5DTIPE00M.html
2023年4月24日19時35分にYAHOOニュース(神戸新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「変わった様子はなかった」。
彼の家族や同僚はそう口をそろえた。
事故前日、当日の朝についても。
乗客106人が死亡し、493人が重軽傷を負った尼崎JR脱線事故で、死亡した男性運転士=当時(23)=は乗務中に何を思い、電車を暴走させたのか。
25日で丸18年になるのを前に、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調委)の報告書などから直前の経緯を改めて振り返る。
【写真】脱線してマンションに衝突し、大破した車両=2005年4月25日、尼崎市
■〈8時9分 京橋駅、50秒の遅れ〉
午前8時9分50秒ごろ、男性運転士は京橋駅から当時44歳の男性車掌を乗せ、7両編成の尼崎駅行き普通電車を出発させる。
既に定刻より50秒ほど遅れていた。
その2時間前の午前6時8分、森ノ宮電車区放出(はなてん)派出所で点呼した係長は、男性運転士の様子について「特に異常は感じなかった」と証言する。
京橋駅からの出発遅れは、直前の松井山手駅発京橋駅行きの区間快速で、混雑による遅れが徐々に拡大したためだった。
走り始めた普通電車は、その後も各駅を45~50秒遅れで出発し、加島駅直前の左カーブに差しかかる。
その時、速度超過を感知するATS(自動列車停止装置)が働き、運転室に警報音が鳴り響いた。
ブレーキをかけるも、ATSの自動ブレーキが先に働いて減速し、ほぼ制限速度の65キロで曲線に入った。
運転士は事故5年前の2000年4月、JR西日本に入社している。
家族は「4人兄弟の中で一番明るい。新幹線の運転士になるのが夢と言っていた」と話した。
友人らは、「落ち込んでいるところを人に見せない」、「スノーボードなど、器用に何でも無難にこなす」という印象を持っていた。
その4年後の04年5月に京橋電車区所属の運転士になり、運転技量審査は平均点よりやや上。勤務評価では平均を大きく上回っていた。
ただ、運転士になって直後の6~7月、片町線放出駅で停止位置を約4メートル通り過ぎ、同線下狛駅で約100メートル行き過ぎるなど、3度のオーバーランをした。
これは「日勤教育」と呼ばれる懲罰的な研修の対象となった。
脱線事故は、その後1年足らずで起きる。
■〈8時53分 宝塚駅、非常ブレーキ再三始動〉
京橋駅から尼崎駅に着いた普通電車は8時31分ごろ、回送に切り替えて宝塚駅へ向かう。
そして到着寸前の8時53分ごろ、男性運転士の歯車が狂い始めた。
レールの分岐に近づき、速度超過を知らせるATSの警報音が運転席に鳴る。
ブレーキをかけても減速しきれず、25キロオーバーの65キロで通過すると、大きく車体が揺れた。
続いてATSを解除しなかったことで非常ブレーキがかかり、電車は駅手前で急停車した。
本来は輸送指令に報告しなければならない事案だった。
しかし、彼は連絡せずに解除して走り出すと、今度はATSの誤出発防止機能による非常ブレーキが作動してしまう。
結局、定刻より44秒遅れて8時56分14秒、停止位置に止まった。
回送電車は宝塚駅で折り返して尼崎行きの快速電車になるため、運転士と車掌が1両目と7両目を入れ替わる。
ただ、彼はなぜか座ったまま、しばらく席を離れなかったという。
何を思っていたのだろう。
事故調委の報告書は、それまでに経験した「日勤教育」への重圧にさらされた可能性を示唆している。
周囲の人々は取材にこうも答えていた。
前年に運転ミスをした後、彼は「悔しい。もう絶対にオーバーランはしない。絶対だ」と言って、同僚の前で涙を流したという。
そして指導中は乗務を外され、延々と続くリポート作成、浴びせられる罵声…。
期間は13日間に及んだ。
オーバーランや到着遅れなどのミスをした運転士らに課される日勤教育について、JR西のある幹部(当時)は「集中力不足などのミスを自己分析させ再発防止につなげるため」としつつ、「(会社と対立する)特定の労組対策だった」と打ち明ける。
一部の運転士は技術向上に効果のないペナルティーと受け取っていた。
彼は研修を受けた後、親しい知人らにこんな不満をこぼしていた。
「トイレへ行くにも断らねばならない」
「社訓を丸写しするだけで、意味が分からない」
「給料がカットされ、本当に嫌」。
知人の女性にはこうも漏らしていた。
「今度ミスをしたら、運転士を辞めさせられる」
■〈9時15分ごろ 伊丹駅、72メートルのオーバーラン〉
9時4分ごろ、宝塚駅から同志社前駅行き快速電車を発進させる。
出発は定刻より15秒ほど遅れ、中山寺駅の出発時には25秒、北伊丹駅の通過時には約34秒遅れた。
その後、約122キロで突っ走り、伊丹駅が近づくもATSの「停車です、停車です」との警告を聞き逃したのか、減速せずに走り続ける。
そして駅468メートル手前に約120キロで迫ると、再びATSの「停車! 停車!」という警告と警報音が同時に響き、直後にブレーキをかけた。
停止位置を約72メートルも行き過ぎるオーバーラン。
予備ブレーキまで使って9時15分43秒、ようやく止まった。
男性運転士は車内電話を使って「今からバックする」と車掌に告げる。
速度オーバーの約16キロで後退し、ここでも停止位置より約3メートル後ろに行き過ぎた。
午前9時16分10秒ごろ、伊丹駅を出発する。
遅れは、もう約1分20秒に達していた。
車掌が「次は尼崎」と放送した直後、運転士から車内電話があった。
「まけてくれへんか」
伊丹でオーバーランをした距離を小さく報告してほしいという「過少申告」の依頼だった。
車掌は少し考え、「だいぶと行ってるよ」(原文通り)と答えた直後、乗客が車掌室のガラス窓をたたいた。
「なんでおわびの放送せーへんのや」。
応対のため車掌は、運転士の依頼に返答しないまま電話を切った。
当時のやりとりについて、車掌は事故調委の調べに、「運転士は(急に電話を切られたため、自分が)『怒っている』と思ったかもしれない」と述べている。
それでも、乗客へのおわび放送を終えた車掌は、オーバーランの報告をするために輸送指令を無線で呼び出す。
「えー、行き過ぎですけれども…」。
その交信内容は、1両目の運転室でもスピーカーから聞こえる仕組みだった。
「およそ『8メートル』行き過ぎ、運転士と打ち合わせのうえ後退で、1分半遅れで発車しております」
車掌は、明らかな過少申告をした。
この報告を受け、指令は続けて「8メートル行き過ぎ」と復唱する。
この時、運転士の彼は双方のやりとりを聞きながら、「8メートル」につじつまの合う言い訳を考えていた--
事故調委は、そんな可能性を指摘している。
運転に集中できないほど、追い詰められた心理状態だったのか。
〈9時18分 脱線〉
電車は制限速度の120キロを超え、9時18分22秒、塚口駅を1分12秒遅れて122キロで通過する。
車掌との交信を終えた指令は、続いて「運転士応答できますか」と呼びかける。
しかし、返答はない。
電車は、あのカーブに約116キロで突っ込んでいた。
「ガタガタ」と揺れる車体。
運転士はようやくブレーキをかけ、105キロ程度まで減速したが、午前9時18分54秒、650人以上を乗せた快速電車は、1両目から脱線し、マンションへ向かっていった。
事故調委の見立てを振り返ってみよう。
伊丹駅に到着する際にブレーキ使用の開始が遅れたことについては、宝塚駅での非常ブレーキ作動などを気にして注意が運転からそれた可能性が考えられるとした。
そして伊丹駅を出発後、車掌に虚偽報告を求めた車内電話を消極的な応答で切られたと思い、その後の車掌と輸送指令員との交信に特別な注意を払っていたと考えられる。
さらに、日勤教育を懸念して言い訳を考えたり、運転士を辞めさせられると思い呆然としたりしていた可能性もある-などと指摘した。
そのうえで、彼が車掌と輸送指令員との交信内容をメモしようとして、ブレーキ使用が遅れた可能性も考えられるとした。
使用開始の遅れは約16-22秒と推算される。
脱線現場のカーブにはATSの速度照査が付いていなかったため、非常ブレーキはかからなかった。
◆ ◆
男性運転士を巡っては、兵庫県警が08年9月、業務上過失致死傷容疑で書類送検し、神戸地検は死亡により不起訴とした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e50dd92b538f86c52d1b0cf7c8c737b3a5c4be4e
2023年4月11日19時24分にYAHOOニュース(北日本放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前10時15分ごろ、富山市の常願寺川にかかる富山地方鉄道の鉄橋近くで、上市駅から電鉄富山駅へ向かっていた普通列車が作業員と接触しました。
この事故で、滑川市栗山の清水さん(19)が病院に運ばれましたが、頭を強く打ち、意識不明の重体です。
列車に乗っていた乗客10人と運転士に、けがはありませんでした。
現場では当時、清水さんを含めた複数の作業員が線路の枕木を交換する保線作業を行っていたということです。
事故の影響で、富山地鉄は越中荏原駅と越中三郷駅との間で一時、運転を見合わせ、およそ2時間30分後に運転を再開しました。
現場は見通しのよい単線区間で、警察は事故の原因を調べています。
富山地方鉄道では、通常、線路の保線作業はどのように行っているのでしょうか。
KNBは、11日の事故発生時と同じ、線路の枕木を交換する作業を3月に取材していました。
3月15日、事故が発生した現場近くで行われていたのは、線路を支える枕木の交換作業です。
現場管理者:
「まもなく接近!支障物確認!」
列車が接近すると、現場の管理者が声をかけます。
警笛を鳴らし、スピードを落としながら、列車は作業を行っている現場を通過。
作業員は、列車からは一定程度、離れていました。
現場管理者:
「間合い10分!」
列車の通過を確認し、作業を再開。
この日の取材では、安全確認の手順に問題はみられませんでした。
富山地鉄の関係者によりますと、「きょうの作業は監視員が2人いて、事故発生時にはダイヤの乱れはなかった。原因は分からないが、安全対策に足りない部分があったと考えている」と話していました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/314140e0bd57e09d46d60f388d6b589ad51e6666
4月11日19時11分にYAHOOニュース(チューリップテレビ)からは、線路に砂利を入れる作業をしていた、6人とも作業していて、気づいた運転士が非常停止したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前10時15分ごろ、富山市の富山地方鉄道の越中三郷駅と越中荏原駅の間で、線路内の保線作業をしていた滑川市の会社員、清水さん(19)が走ってきた電車と接触しました。
清水さんは頭を強く打っていて病院に搬送されましたが、意識不明の重体です。
富山地方鉄道によりますと、当時、線路内では清水さん含め6人が線路に砂利を入れる作業をしていました。
通所は列車のダイヤを確認して線路の外に出るはずですが、何らかの理由で6人とも作業を続けていたということです。
運転士が作業員たちに気づいて非常停止しましたが、清水さんの背中と列車の左前方が接触したということです。
清水さんは列車に気づくのが遅れたとみられ、警察が詳しい事故の原因を調べています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b87f40a1a7f092e31a547736e62022e61d114e14
4月12日5時1分にYAHOOニュース(北國新聞)からは、運転士は線路内に残っている清水さんを見つけ警笛を鳴らしブレーキをかけたが間に合わなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男性は、他の作業員5人と線路の高さを調整するため、枕木の下に砂利を敷き詰める作業に従事していた。
運転士は線路内に残っている男性を見つけ、警笛を鳴らしブレーキをかけたが間に合わなかった。
同署は男性の退避が遅れたとみて、事故原因を調べている。
同社によると、作業は男性を含め4人が砂利を敷き詰め、残る2人で列車が来ないか確認していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5703f7331d1d88f5536bfcbeecc12f6cb9217ac
4月12日19時16分にYAHOOニュース(北日本放送)からは、見張り役が退避指示を出すタイミングが遅れた可能性ありなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
富山地方鉄道によりますと、事故当時、清水さんを含めた作業員4人は、敷石を使って線路の高さを調節する作業をしていました。
また、その近くには列車が近づいてくる2、3分前に線路から離れるよう作業員に促す見張り役が2人いたということです。
永井記者:
「電車が近づいてくると、調査官などはこのように腕を水平に上げて、自分が安全な場所にいるということを運転手に示しています。
これは、普段の作業員も行うことになっています」
富山地方鉄道は、事故当時、見張り役の2人から線路から離れるよう促すタイミングが遅れ、清水さんやほかの作業員の退避が遅れたということが事故原因の1つとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b426a53ffc1f11718e404a54e6a3e52525db32cc
(ブログ者コメント)
3月15日の北日本放送取材映像を見ると、列車は退避した保線作業員の横を、時速30km程度だろうか、ゆっくりと通りすぎていた。
あの程度のスピードであれば、線路上に残っていた作業員を視認後、すぐに停まれたような気がするのだが・・・。
2023年6月8日5時1分にYAHOOニュース(北國新聞)からは、2人いた見張り員は2人とも作業を手伝っていた、そのようなことが常態化していた、運転士に注意喚起するための「作業中」看板も掲示していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
【安全対策求め改善指示】
4月11日に富山市水橋常願寺の富山地方鉄道本線で、19歳の男性作業員が線路の補修作業中にはねられた死亡事故で、現場作業員ら6人は、電車が25メートル前に迫るまで接近に気付かず、1人が「電車!」と叫んでから逃げていたことが、7日分かった。
同社によると、適切な退避合図がないなど複数の規定違反があり、1人が逃げる途中で車体と接触した。
北陸信越運輸局は同日、安全管理見直しを求める「改善指示」を行った。
【見張り員が作業、看板なし】
富山地鉄によると、事故当時、作業員4人と、電車の接近を警戒する見張り員2人がレールの修正作業を行っていた。
見張り員1人が大声で「電車」と叫んだ時点で約25メートルまで迫っており、6人は直後に線路横に逃げ始めたが、1人は逃げ切れなかった。
同社担当者は、「電車の衝突までは一瞬で、それぞれが逃げるのに精いっぱいで、はねられた社員を助ける時間はなかったと思う。大変申し訳ない」と述べた。
一方、電車の運転士は現場の約100メートル手前で作業に気付き、時速78キロからブレーキを掛けて減速していたが、接触を避けられなかった。
【退避合図行われず】
富山地鉄の規定では、電車が作業地点に到達する3分前、見張り員が合図を出し、2分前に退避を完了する。
しかし、事故当時は退避しておらず、「実質的に退避案内がなかった」(同社担当者)という。
見張り員2人は電車の監視に専念することが求められるが、2人はレールの修正作業を行っていた。
「少しでも手助けをしたい」などと話しており、北陸信越運輸局は「軽作業を行うことが常態化していた」と指摘した。
同運輸局は7日公表した保安監査結果で、このほかにも複数の規定違反があったと指摘した。
作業地点から前後200メートル離れた位置に、運転士が見やすいよう「作業中」と書いた看板を掲げる必要があるが、設置していなかった。
見通しが悪い地点で配置が必要な「中継見張り員」も置かず、電車乗務員に線路内作業を周知する規定も守られていなかった。
同運輸局によると、事故原因に関しては、国の運輸安全委員会が調査を進めている。事
故から1年後に報告が行われる予定。
【北陸信越運輸局「教育を」 】
北陸信越運輸局は改善指示で、富山地鉄の安全管理体制を見直し、7月7日までに措置を報告するよう求めた。
関係規定が形骸化していないか実態を検証し、事故防止要領を見直すことや、安全意識を徹底し、教育を行うよう要請した。
一方、富山地鉄は7日、運輸局の指摘事項を改善するとして再発防止策を発表した。
見張り員が監視に専念し、今回携行していなかった合図旗を携帯させるとした。
運転士向けの作業中看板設置や「中継見張り員」配置も徹底するとした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/06596b0e5f80c9bf88933b23bb506463007b39c6
(2024年6月9日 修正2 ;追記)
2024年6月7日11時34分にYAHOOニュース(チューリップテレビ)からは、当時の部長など3人が書類送検された、監視役の2人は保守作業と兼務していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
富山労働基準監督署は6日、富山地方鉄道と当時の部長など社員3人を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。
書類送検されたのは、法人としての富山地方鉄道と、当時の60代の技術部長、50代の稲荷町テクニカルセンター所長、そして50代の保線グループ長の社員3人です。
富山労働基準監督署は、保守作業を行わせる際、電車との接触をさけるために必要な監視装置の設置、または電車との接触を避けるため監視する人員の配置を講じていなかった労働安全衛生法違反の疑いがあるとしています。
現場には6人がいましたが、このうち死亡した男性を含む4人が保線作業にあたり、ほか2人が電車との接触を防止する監視にあたっていたものの、この2人は保守作業と兼務していたため、本来の監視に専念できていなかったとみています。
この事故をめぐっては、富山県警も業務上過失致死の容疑で富山地方鉄道の社員を書類送検しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8add488a7a4b8f68266037b17cf9f9920bfed1db
(2025年3月28日 修正3 ;追記)
2025年3月27日21時6分にYAHOOニュース(富山テレビ)からは、運輸安全委員会が調査報告書を発表した、会社は保線作業時にはヘルメットハンマーを装着させる等の対策をとるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は見張りに専念する作業員がいなかったことが原因とする事故調査報告書を発表しました。
報告書では、事故原因は見張りに専念する、「列車見張員」が配置されておらず、列車接近の合図が行われなかったとしています。
また、保線作業時の安全教育も徹底されていなかったと指摘し、安全管理体制の強化を求めています。
これを受け富山地方鉄道は、事故前まで行っていなかった従業員への研修を年2回行うとともに、保線作業時の専従の見張員を必ず2名確保することや、列車が来る3分前にヘルメットをノックして接近を知らせる「ヘルメットハンマー」を新たに装着させるなど、列車の接近を伝える体制を強化する対策を発表しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d49cedee9cf0c4c21977a32bc2894eb9071890f
(ブログ者コメント)
・報告書は下記参照。
https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2025-2-2.pdf
・P36/55には以下の記述がある。
『本件列車見張員は「補助作業に集中していたため、時刻を一回も確認していなかった」と口述していることから、補助作業を行っているうちに、作業に集中し、その結果、本来の列車見張員の業務を失念し列車の接近 に気付かなかったと推定される。』
・p37/55には下記趣旨の記述がある。
『・・・・本件列車見張員については、同作業指示書において、「締結装置の確認及び枕木(原文ママ)位置の確認」等の別の作業項目でも担当係員とされており、 本件列車見張員が別の作業を行っている間は、本件作業責任者が列車見張員の業務を行わざるを得ない状況になること から、実際には本件作業責任者が列車見張員を兼務する体制となっていたと推定さ れる。
もっとも、本件作業責任者も、他の作業に従事しており、列車見張員としての業務をしていなかったと考えられる。』
2023年4月11日19時10分にYAHOOニュース(読売テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日、京都府舞鶴市の踏切で、電動車いすに乗った男性が列車にはねられ死亡した事故で、国の運輸安全委員会の調査官が11日、現場を訪れ、原因究明の調査を始めました。
この日午後、運輸安全委員会の調査官が、事故が起きた舞鶴市の京都丹後鉄道の踏切を視察しました。
この踏切は、遮断機も警報機もついておらず、10日、横断しようとした林さん(86)が列車にはねられ死亡しました。
警察によりますと、林さんは当時、電動車いすに乗っていたことから、踏切の手前にあった盛り土が死角になり、列車の接近に気が付かなかった可能性があるということです。
運輸安全委員会の足立主管鉄道調査官:
「立ってる人より視線が低くなると思いますので、その意味で少し影響があるのか、踏切がどう見えるか分析していきたいと考えております」
国土交通省によりますと、遮断機も警報機もない踏切は全国に約2500か所あり、死亡事故が相次いでいるということです。
事故の原因について運輸安全委員会は、1年以内を目途に、調査結果をまとめるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8a319907e80f1bcba505598fe7f45769e4b9b97
4月11日21時52分にNHK NEWS WEBからは、地元の人は列車が近づく音が聞こえないことがあるとも話した、遮断機も警報器もない第4種踏切は全国的に以前から問題になっているが費用や地元合意などのハードルが高いため進んでいないなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
現場は、遮断機や警報機のない「第4種踏切」と呼ばれる踏切で、警察は、林さんが踏切を横断しようとした際に列車にはねられた可能性があると見て調べています。
事故を受けて、国の運輸安全委員会は11日、2人の鉄道事故調査官を現地に派遣し、詳しい原因の調査を始めました。
・・・
現場の踏切には、通行する人に左右の確認や一時停止を求める標識が取り付けられていますが、近所の人からは警報機などを取り付けるよう求める声が聞かれました。
現場近くに住む81歳の男性は、「以前、遮断機や警報機をつけてほしいと地元から要望したこともある。自分自身も気をつけているつもりだが、周囲の人で声をかけあいながら渡るしかない。死角になっている部分もあるので、警報機だけでもつけてほしい」と話していました。
また、朝、散歩する際に踏切を渡っているという女性は、「列車が近づく音が聞こえないことがあり、気がついたら、すーっとそこまで来ていて、こわい思いをすることがある」と話していました。
また、別の男性は、「地域の人たちは、みな、危ないと認識しながら渡っている。これまでも、人が渡っているのに気付いて電車が止まることもあった。安心して過ごせるよう、遮断機とまでは言わないが、警報機だけでも設置してほしい」と話していました。
【専門家「優先順位つけて対策していく必要」】
今回、警報機も遮断機もない「第4種踏切」で事故が起きたことについて、鉄道の安全対策に詳しい工学院大学の高木亮教授は、「高度経済成長期以降、危険な踏切をなくそうと鉄道事業者も努力してきたが、都市部が優先されていて、利用者の少ない地域では第4種踏切が残っているところが多い。解消には、費用の問題に加えて、地元の住民の理解を得られないケースもあって、簡単ではない」と指摘しました。
そのうえで「警報機や遮断機の設置にかかる費用を公的な補助で賄う方法もあるが、自治体の財政が厳しい中では簡単ではない。すべての場所で対策をするのは現実的ではないので、交通量や列車の本数、子どもや高齢者が利用する施設が周りにあるかなど、状況に応じて優先順位をつけて対策していく必要がある」と話しています。
【踏切の分類と現状は】
踏切は、警報機や遮断機が付いているかなどで分類されていて、
▽両方が設置されている踏切が「第1種」、
▽警報機はあるものの遮断機はない「第3種」、
▽両方とも付いていない「第4種」などに分かれています。
鉄道事業者は、「第4種」の踏切を廃止したり、警報機や遮断機の設置を進めて第1種踏切に切り替えたりする対策を進めていますが、総務省のまとめによりますと、踏切の廃止で通行が不便になることや、警報機の音への抵抗感から周辺の住民の理解が得られなかったり、遮断機などの設備費用の問題などを理由に、なかなか対策は進んでいないということです。
【「第4種踏切」京都丹後鉄道での実態と対応】
総務省の調査によりますと、「第4種踏切」をめぐっては、毎年、亡くなる人が出ています。
総務省では解消に向け、鉄道事業者や行政などに地域での議論や合意の形成を促すよう、国土交通省に勧告しています。
国土交通省のまとめでは、第4種踏切は令和3年度末の時点で全国に2455か所設置されていて、京都丹後鉄道では106か所ある踏切のうち、18か所が該当します。
京都丹後鉄道の鉄道施設を管理する第三セクター「北近畿タンゴ鉄道」によりますと、今回事故があった踏切では、平成16年にも横断中の軽車両と列車が接触し1人が死亡する事故が起きたということです。
近畿運輸局によりますと、第4種踏切については、廃止や、遮断機などを備えた第1種踏切への切り替えを推進しているということですが、廃止するには利用する住民の同意が得にくく、切り替えるには費用がかかり、さらに道路の管理者と自治体との調整にも時間がかかることなどから、なかなか進んでいないのが現状だということです。
近畿運輸局は、「事故原因の調査結果をもとに、再発防止に向けて適切に対応していきます」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230411/k10014035771000.html
2023年3月22日18時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は22日、2005年の宝塚線(福知山線)脱線事故を教訓に5年ごとに策定している「安全考動計画」を改定し、発表した。
「現場の判断を最優先するマネジメントを確立する」と明記した。
1月に雪の影響で京都線などの列車15本が長時間立ち往生した際、客の降車を求めた車掌らの意見が生かされなかった反省を踏まえた。
計画は2023年度からの5年間が対象。
「列車を止める」などの現場の判断を積極的に評価するほか、非常時に現場が「最善」とした判断は、組織が「責任を負う」とした。
非常時に現場の声を聞き取り、責任者に伝える社員を専属で置く態勢をつくり、訓練で徹底するという。
計画を発表した中村副社長は、立ち往生について「数々の不手際があり、多くのお客様に多大なるご迷惑、ご負担をおかけした」と改めて謝罪。
「組織全体で安全を確保する仕組みと安全最優先の風土を構築する」と述べた。
https://www.asahi.com/articles/ASR3Q5QP7R3QPTIL00P.html
2023年2月23日21時30分に南日本新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
23日午後1時34分ごろ、鹿児島市の鹿児島中央駅で新大阪行きの新幹線さくら558号が出発直後に緊急停車するトラブルがあった。
車掌が異音に気付いたため。
最後尾8号車の片側の車輪に、木製の車輪止めが残ったままになっていた。
JR九州によると、車両自体に異常はなく、約20分後に運転を再開。
熊本から先は運休となり、乗客は後続の列車に乗り換えた。
約240人に影響が出た。
車輪止めは、ホームに長時間停車する際、事故予防のため装着している。
同車両はすぐ発車予定だったため必要なかったが、隣のホームに停車した別の車両の運転士が誤って装着した。
JR九州は「再発防止に向け、指導を徹底したい」とコメントした。
https://373news.com/_news/storyid/171196/
2023年2月16日13時47分にYAHOOニュース(CNN)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大気中に漂う強い塩素臭。
夫婦で2人の子どもを育てる住民のネイサン・ベレスさんは、たちまちのどや目が焼けるような痛みに襲われた。
この悪臭は、米オハイオ州とペンシルベニア州の州境付近で今月3日、危険物を積んだノーフォーク・サザン鉄道の列車が脱線する事故が起きて以来、2週間近く漂い続けている。
列車は炎上して何日も燃え続け、周辺住民は避難。
塩化ビニールを放出するために、制御した爆破も行われた。
高濃度の塩化ビニールは死亡につながりかねず、発がんリスクが増大する。
避難命令は8日に解除されたが、地元イーストパレスタイン(人口5000人)の一部の住民は、水や大気、土壌、地表がまだ安全ではないとの懸念から、自宅に戻らずにいる。
ノーフォーク・サザン鉄道は15日、従業員の安全が脅かされる可能性があるとして、同日夕に予定されていた地域の会合には出席しないと発表した。
同社はこの会合で、地元当局者らと共に、事故現場の除去作業の状況や、水質・大気検査の結果について説明する予定だった。
住民の多くは事故発生以来、不安を募らせており、自費で避難を続ける住民もいる。
州は15日、イーストパレスタインの自治体が提供する水は汚染されておらず、安全に飲用できると改めて発表した。
大気や水質の検査で当局が安全と判断したことを受け、避難命令は事故から5日後の今月8日に解除された。
一方で、汚染された可能性のある土壌がまだ現場から除去されていないと記された公文書が公開されるなど、不安な兆候は次々に浮上する。
米環境保護庁(EPA)はイーストパレスタインで採取した大気について、塩化ビニール、塩化水素、一酸化炭素などの検査を実施したと説明。
14日にEPAのウェブサイトに掲載された検査結果によれば、いずれも基準値を超える値は検出されなかった。
しかしベレスさんは、自宅の様子をチェックするため13日に一時的にイーストパレスタインに戻ったところ、頭痛に襲われて一晩中痛みが続いたと訴える。
「もし安全に居住できるというのなら、なぜこんな痛みを感じて呼吸が苦しいのか?」とベレスさんは疑問をぶつけた。
オハイオ州保健局長は14日、脱線現場周辺で人が頭痛やのどの痛みを感じたり、猫やニワトリなどの動物が死んだりしていることについて、大気汚染が原因ではないようだと説明。
「これまでの検査の結果、検出されたとしても測定値は極めて低い」と強調した。
悪臭については、現場から遠く離れた場所でも臭いを感じることがあるとEPAは説明。
「汚染物質の臭いがすることがあっても、有害とみなされる値よりははるかに低い」としている。
はかり知れない影響があるとして、水の使用を控える住民もいる。
ベレスさんは「水を出したり、娘を入浴させたりすることも、もしかしたら有害なのかもしれない」と不安な思いをフェイスブックに書き込んだ。
実際に一部の水路は汚染されていた。
それでもオハイオ州環境保護局は、汚染は封じ込めたと確信していると話す。
同局は14日、脱線現場近くの地下水路から塩化ビニールは検出されなかったと述べた。
一方、オハイオ州自然資源局は、脱線事故による化学物質の流出で、12種3500匹の魚が死んだと推定している。
ベレスさんは、未知の長期的な影響についても懸念している。
ベレスさん一家は自宅から30分ほど離れた民泊施設を渡り歩いている。
しかし資金は底を尽きかけており、友人が一家のためにクラウドファンディングサイトで支援を募っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f977d90a297266a4ce78e0f0f79b481da726df2
2月16日4時20分にYAHOOニュース(AFP)からは、州知事は住民に対し水源は問題ないものの念のため水道水ではなくボトル入りの水を飲むよう呼びかけたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米中西部オハイオ州で今月初め、貨物列車が脱線し、積載されていた有害物質が流出した事故で、マイク・デワイン(Mike DeWine)州知事は15日、現場周辺に住む住民に対し、水道水の代わりにボトル入りの水を飲むよう呼び掛けた。
同州イーストパレスティーン(East Palestine)で3日に起きた事故の現場では、大規模な火災が発生。
州知事室によると、鉄道会社は化学物質の爆発を避けるため、発がん性があるとされる塩化ビニルなどの有毒ガスを大気中に放出した。
州当局は、近くの河川で12キロにわたり約3500匹の魚が死んだと発表している。
デワイン知事はCNNテレビに対し、イーストパレスティーンの大気は「安全」だと説明。
14日夜に行った水源の水質検査では異常はなかったものの、住民は念のためボトル入りの水を使うべきだとした。
次回の検査は15日に行われる予定だという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9e48a7070efe793598badbeba8d7c37e0544945
2月8日17時10分にFNN PRIMEからは、141両編成の約50両が脱線し、そのうち20両に有害物質が積まれていたなど、下記趣旨の記事が写真10枚付きでネット配信されていた。
アメリカで、貨物列車50両もの車両が黒焦げになる脱線事故が発生した。
激しく上がるオレンジ色の炎、さらに黒い煙が辺りに立ち込めている。
燃えさかる炎は、住宅街のすぐそばまで迫っているように見える。
3日、オハイオ州で貨物列車が脱線し、炎上する事故があった。
防犯カメラに残されていた事故の瞬間を捉えた映像には、突然10秒ほど周辺が明るくなり…。
画面左の方で煙のようなものが上がり始める様子が映っていた。
多くの列車が脱線、炎上した今回の事故。
どれほどの被害が出たのだろうか?
国家運輸安全委員会・担当者:
「列車は合計141両編成でした。
約50両が脱線し、そのうち20両に“有害物質”が含まれています。」
事故から一夜明けても、現場には黒焦げになった車両が折り重なるように残されていた。
積み荷の中には、発がん性がある“塩化ビニール”が含まれていて、周辺に避難命令が出されている。
(「イット!」2月7日放送より)
https://www.fnn.jp/articles/-/482830
2月17日7時11分にYAHOOニュース(HUFFPOST)からは、アクリル酸ブチルも積まれていた、爆発防止のため制御燃焼を実施した結果、ホスゲンなどが空中に放出された、2014年に規制されたECPブレーキが2018年に撤廃されなければ事故は防げたかもなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【画像】脱線し、炎上した車両。その後、有毒物質を含む黒いガスが立ち上った
・・・
貨物列車150両のうち50両が脱線し、そのうち20両に大量の塩化ビニルやアクリル酸ブチルなどの有害物質が積まれていた。
塩化ビニルはプラスチックの製造に使用される有機化学物質で、肝臓や脳、肺などの複数の癌との関連がわかっている。
事故による火災は数日間続き、2月5日には爆発の恐れがあるとして事故現場の周辺1マイルに緊急避難命令が出された。
当局は爆発を防ぐため、塩化ビニルなどの危険なガスを抜いて燃焼させる「制御燃焼」を実施。
その結果、ホスゲンや塩化水素などを含むガスが空中に放出された。
ホスゲンは第一次世界大戦中には毒ガスとして使用され、吸入すると嘔吐、目の炎症、呼吸困難などの症状を引き起こす。
連邦および州の機関が、事故現場周辺の空気と水質チェックを続けているが、オハイオ川で汚染物質が検出されており、州当局は3500匹の死んだ魚が見つかったと発表した。
この事故の背景にある問題として問題視されているのが、鉄道業界が求めてきた規制緩和だ。
オバマ政権は2014年、一定量の原油や危険物質を運ぶ列車にECPブレーキ(電子制御式空気ブレーキ)を搭載する新たな規制を導入した。
ECPブレーキは、列車全体に電子ブレーキ信号を瞬時に提供することで従来のエアブレーキよりも速くブレーキをかけられる。
この規制に強く反対したのが、ノーフォーク・サザン鉄道も加入する業界団体・アメリカ鉄道協会(AAR)だ。
AARはこの規制について、「ECPブレーキは非常に費用がかさむ一方で、それに見合うだけの利益はない」とパブリックコメントで述べている。
さらに、規制の義務化は正当性に欠けると主張した。
そして業界寄りだったトランプ政権は2018年、AARなどの求めに応じて、オバマ政権時代に導入されたECPブレーキの規則を撤廃した。
オハイオ州の脱線事故の後、この鉄道業界が求めてきた規制緩和が被害を甚大にしたのではないかと指摘されている。
国家運輸安全委員会によると、事故を起こした列車にはECP ブレーキが搭載されていなかった。
連邦鉄道局の元高官スティーブン・ディトマイヤー氏や他の鉄道専門家は、「ECPブレーキが搭載されていれば、これほどの被害は出なかっただろう」と、調査報道メディアのザ・レバーに語っている。
脱線事故の調査は、まだ始まったばかりだが、国家運輸安全委員会のマイケル・グラハム氏は2月5日の会見で、車軸の機械的な問題が脱線を引き起こした可能性があると語った。
また、ピッツバーグ・ポスト・ガゼットが入手した防犯カメラの映像から、車両の1台が脱線約20マイル手前で炎と火花を散らしていたことがわかっている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5eaa856ecd5f353be320a197ba50fcd28d70d6e0
(2023年2月25日 修正1 ;追記)
2023年2月24日7時5分に産経新聞からは、一部車両の軸受け過熱が原因かもという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米運輸安全委員会(NTSB)は23日、米中西部オハイオ州で転覆した脱線鉄道車両から有害物質が漏れている問題の初期調査結果の報告書を発表し、車両部品の過熱が一因となった可能性があるとの見方を示した。
報告書によると、列車は制限速度内で走行していたが、乗務員には一部車両の軸受けが過熱しているとの警告が発せられていた。
https://www.sankei.com/article/20230224-3HOUPBRJMVI2HNPANJUVL44EZQ/
2023年2月10日22時18分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は10日、カーブでの速度超過防止用として、客車などを牽引(けんいん)する機関車に搭載したATS-P(自動列車停止装置)で、カーブを通過する際の速度データの入力に誤りがあり、10年以上設定速度を超えても減速できない状態だったと明らかにした。
設定速度を最大で時速30キロオーバーしていた。
実際に速度超過した事例は確認されていない。
JR西は、30キロオーバーしたとしても事故につながるおそれはなかったとしている。
JR西によると、平成14年、ATS-Pにカーブに対して許容できる通過速度を決めるデータを誤って入力。
当時は、このデータを用いずに速度超過を測定するシステムだったが、23年に機能が追加され、このデータが用いられるようになった。
その後は、誤った設定のまま、速度超過を測定することになっていたという。
今年1月の動作確認でミスが判明した。
JR西は確認不足だったとしている。
誤ったデータが入力されたATS-Pを搭載していた機関車は、EF65(5両)、EF81(1両)、DD51(5両)の計11両。
東海道線や大阪環状線、阪和線などの路線でカーブ245カ所のうち、145カ所で速度超過して走行できる状態になっていた。
平成24年~令和2年の9年間で寝台特急「トワイライトエクスプレス」など、約1800本の客車を牽引していたという。
https://www.sankei.com/article/20230210-T5SEP4HJWROTDKYSO5HYY4ROS4/
2月10日22時24分にYAHOOニュース(神戸新聞)からは、奈良線で機関車の試運転時にミスが判明した、2002年のシステム導入時から設定誤りがあったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は10日、保有する機関車11両の自動列車停止装置(ATS)の設定に誤りがあり、2011年から10年以上にわたり、カーブで設定速度を超えて運転できる状態だったと発表した。
ATSは05年の尼崎JR脱線事故の現場カーブに未設置で、再発防止に向けて増設された。
実際の速度超過や事故の記録は残っていないという。
JR西によると、誤りがあったのは列車の運行頻度の高い区間で使うATS-P。
京阪神の大都市周辺のカーブ245カ所に設置され、うち神戸線や宝塚線を含む145カ所で本来の設定時速を5~30キロ超過して走行できる状態だった。
車両はEF655両とEF811両、DD515両。
15年に廃止された大阪-札幌間の寝台特急「トワイライトエクスプレス」や「サロンカーなにわ」「日本海」の特急にも使われた。
複線化工事が進む奈良線で今年1月、機関車の試運転時にミスが判明した。
ATS-Pは地上設備と車両装置が連動して機能するが、車両側のカーブ進入時の速度を判断する設定に02年の納入時から誤りがあったという。
設定は当初は使っていなかったが、11年の機能追加以降は活用。
その後も検査をしてきたが、古いデータは対象外で見過ごされたという。
同年11月と14年には地上設備の設定の誤りが判明しており、JR西は「安全に関わる重要な機器で誤りを見つけられなかったことは問題。検査時の確認方法を見直し、再発防止に努める」と陳謝した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cdbf2aa72a5c3b36ddf3d1e984cd929b7658b1ef
(ブログ者コメント)
2月10日付でJR西のHPには、下記趣旨の記事が掲載されていた。
1.概 要
2023 年 1 月 19 日、新設線路の切換工事に伴う ATS-P 装置の動作確認を行っていたところ、機関車の一部車両において ATS-P装置の設定データに誤りがあることが判明しました。
詳細な確認を実施したところ、2011 年の省令改正による機能の追加に伴い、曲線に対する速度の設定値が計画値より高い状態となっていたこと(+5km/h~+30km/h)が判明しました。
これは、2002 年に設定したデータに入力誤りがあったためです。
・・・
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230210_00_press_ats.pdf
※キーワード;変更管理
2023年1月31日15時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
JR西日本の近畿エリアで、線路のポイントに積もった雪をとかす装置の6割が現場で点火する旧式であることが、同社への取材でわかった。
ボタンで遠隔操作できる電気式への交換を豪雪地域から進めてきたが、予算の制約もあり、都市部では旧式が多く残る。
最強寒波で東海道線の列車が立ち往生した原因となったポイント故障を起こした場所も大半は旧式で、JR西は電気式への交換を急ぐ。
雪をとかす装置は、灯油入りタンクを線路下に設置して着火する旧式の点火式と、遠隔操作で作動させて電力で温める電気式がある。
JR西によると、近畿では2600か所に設置され、1500か所が点火式、1100か所が電気式という。
点火式は現場で作業員が火をつけるため、労力がかかる。
始発前など、列車の走っていない時間帯を見計らって作業するという制約もある。
一方、電気式は駅などでボタンを押せば、すぐに作動できる。
東海道線の高槻(大阪府)―山科(京都市)間では24日夜~25日朝、最強寒波で雪がポイントに挟まるなどして故障し、駅間で15本が立ち往生。
約7000人が最長約10時間閉じ込められた。
同区間の装置は点火式が8割で、故障した21か所では20か所が点火式だった。
JR西は、予想降雪量が装置を使う社内基準以下だったとして、24日朝の段階では作動させなかった。
冷え込みを受けて午後2時以降に電気式を作動させたが、点火式は列車が運行中だったため着火できず、雪がポイントに付着して故障が相次いだ。
これを教訓に、JR西は、都市部でも電気式への置き換えを加速化する。
近畿の他の私鉄では、京阪は大半が電気式で、阪急は大半が点火式など、各社によって差がある。
ただし、24日の寒波では、京都周辺を通る各社は装置を早めに作動させ、ポイント故障はなかった。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230131-OYT1T50149/
(ブログ者コメント)
24日夜から25日朝にかけてのトラブルは本ブログでも紹介スミ。
2023年1月25日23時47分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今季最強の寒波による大雪が各地で猛威を振るった。
立ち往生した列車の中では、最長で10時間近く乗客が閉じ込められ、JR西日本が25日、対応の不手際について謝罪した。
高速道路でも多数のトラックなどが動けなくなり、運転手らは疲れ切った表情を見せた。
「長時間、列車の運転を見合わせ、ご迷惑をお掛けしたことをおわびします」
JR西は25日午後、大阪市北区の本社で記者会見を開き、三津野・近畿統括本部長が頭を下げた。
24日夜から25日朝にかけて、東海道線の高槻(大阪府)―山科(京都府)間に、特急や新快速、普通列車など計15本の列車が駅間で立ち往生した。
乗客計約7000人が最長で10時間近く車内に閉じ込められた。
原因は、分岐器(ポイント)が計21か所で凍結したり、雪が挟まったりして故障したためだった。
ポイントには雪をとかす装置があり、社内規定では降雪が予想される場合は事前に点火する。
目安は「6時間の降雪量が10センチ」で、気象予報会社から提供された予報では8センチ程度とされ、点火させなかった。
24日午後6時以降に激しく雪が降り、短時間で15センチ積もった。
点火が間に合わず、次々と故障した。
その結果、各地で立ち往生が発生し、ガスバーナーなどでポイントの雪を除去する作業を行った。
修復したところから列車を最寄り駅へ動かして乗客を降ろしたが、山科駅近くのポイントは修復できなかった。
同駅近くで停車していた2本は約3時間半後にその場で乗客を降ろし始め、同駅へ徒歩などで移動してもらった。
15本の列車で、乗客が列車内に閉じ込められた時間は最短で1時間42分。
最長は湖西線の普通列車の9時間50分だった。
立ち往生していたある列車の車掌から「乗客を降ろした方がよい」と運転指令に進言があったが、「ポイントの修理を優先する」とされ、実現しなかったという。
湖西線の列車には約1400人が乗っており、24日午後7時40分に山科駅の手前で停車。
そのまま動けず、午後11時5分から乗客を降ろし始め、完了したのは翌25日午前5時半だった。
この列車に乗っていた大津市の高校2年男子生徒(17)が外に出たのは、25日午前1時30分頃。
家族の車で帰宅した。
「もう少し早く降ろすことはできなかったのか」と憤っていた。
乗客を長時間降車させなかった理由について、三津野本部長は「夜間でかなり雪が降る中、多数の乗客を安全に誘導できるか、 躊躇 した」と釈明した。
災害級の悪天候が予想される場合、事前に運転の取りやめを決める「計画運休」は、一部区間で実施したが、東海道線などの主要区間では未実施だった。
気象予測の数値が計画運休を行う基準を下回ったためという。
JR西によると、15本の列車で16人が体調不良で救急搬送された。
多くの乗客が帰宅難民となり、山科駅の構内などでは約1300人が一夜を過ごした。
同社は今後、雪をとかす装置を作動させる目安の設定や、乗客を降ろすタイミングが適切だったかどうかなどを検証するという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230125-OYT1T50327/
1月26日14時52分に産経新聞からは、閉じこめられた環境と情報量不足で救急搬送された16人を含め乗客には急激なストレスがかかっていた可能性ありなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大雪の影響でJR東海道線で複数の列車が立ち往生した問題では、長時間車内に閉じ込められた乗客が体調不良を訴え、少なくとも16人が救急搬送された。
いつまで続くか分からない車内での閉じ込めという過酷な環境に、JR西日本からの情報提供の不足も影響し、乗客に急激なストレスがかかっていた可能性がある。
どう対処すればいいのか、専門家に聞いた。
JR西の説明では、24日夜から立ち往生した15本の列車には計約7千人が乗っていた。
乗客によると、一部列車では車内に2つあるトイレの1つが使えなくなるトラブルも起きたという。
「今後の見通しが分からない中、(列車が)長時間動かない。情報も不足し、不安になっただろう」と指摘するのは、危機管理教育研究所の国崎信江代表。
不安や不満が募ると息苦しさを覚える人もおり、「(乗客は)どう対処していいか分からず、ストレスが大きくなっていったのではないか」と推測する。
こうしたトラブルは悪天候時に限らず、いつ、どこで起きるか分からない。
「日頃からカバンの中に最小限の防災用品を入れておいてほしい」と国崎代表。
トイレが使えない状況も予測されることから、利尿作用が弱いゼリー飲料などを常備しておくのも手だとする。
モバイルバッテリーのほか、冬場はカイロも心強い。
所持しているだけで気持ちにゆとりも生まれるという。
複数人が巻き込まれた状況では、「隣の人に声をかけるなどし、つらいのは自分だけではないと共有することも大切」(国崎代表)。
また、現場では多くの人が同様の情報を知りたがる傾向があるとして、国崎代表は「情報を共有すればバッテリーの消費も抑えられる」と話した。
今回立ち往生した車内では20~30分おきに同じ内容のアナウンスが繰り返されるだけだったといい、JR西の情報発信に強い不満を抱く乗客もいた。
国崎代表は、「30分間隔で情報を流す」とアナウンスするだけでも乗客の不安を緩和する効果はあったと指摘。
「乗客の心をつなぐ情報は大切。それだけで救われる人もいる」と述べた。
https://www.sankei.com/article/20230126-T3RBZ6QOUJOWZKBWIN4GAJWBD4/
1月27日3時41分に毎日新聞からは、JR西のルールでは停車が1時間経過したら乗客に降りてもらうか判断することになっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西では停車が1時間経過したら乗客に降りてもらうか判断するとのルールがあった。
しかし、雪で転倒する危険などを考慮し、分岐器を復旧して列車を動かすことを優先したという。
https://mainichi.jp/articles/20230126/k00/00m/040/157000c
1月27日7時0分に読売新聞からは、阪急京阪近鉄の3社は融雪装置を作動させる目安はないが事前に作動させていた、JR西の社長は「最悪の事態を想定して物事を決めるスタンスが重要だが・・・」と述べたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
阪急、京阪、近鉄の鉄道3社が今回の寒波に備えて、京都を通る路線で分岐器(ポイント)の雪をとかす装置を事前に作動させて故障を防いでいたことが、各社への取材で分かった。
・・・
阪急、京阪、近鉄はいずれも装置を作動させる予想降雪量の目安はないが、「今季最強の寒波」を警戒し、京都を通る路線で23日夜~24日未明に装置を作動。3社ともポイントの故障は起きなかった。
JR西の長谷川社長は26日、東京での定例記者会見で立ち往生に触れ、「多大な迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝。
「最悪の事態を想定して物事を決めるスタンスが重要だが、その点で私たちの考えが不十分だった。これだけの輸送障害を起こす雪になると判断できなかったことに問題があった。(他の)私鉄に学ぶべきことは学びたい」と述べた。
今後について「京阪神エリアでの雪への対応の見直しが必要と考えている」とし、具体的な検討を進めていく考えを示した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230127-OYT1T50078/
(ブログ者コメント)
〇数日前から、10年に1度あるかないかの強烈な寒波が24日~25日に襲来すると報じられていた。
(例;2023年01月23日16:26 tenki.jp)
『10年に一度の強烈寒波で考えられる影響は? 日本海側ドカ雪 太平洋側も積雪・低温』
https://tenki.jp/forecaster/t_yoshida/2023/01/23/21529.html
そのような状況下、「予報会社の8cm積雪予報はあくまで予報、トーチ点火基準目安の10cmを2cmしか下回っていないので、10年に1度の寒波下、安全サイドに点火しておいたほうがいいのでは?」といった話しは出なかったのだろうか?
〇一方、阪急など3社の対応から考えると、基準となる予報積雪量の目安があったばかりに、それに判断が縛られてしまった、という可能性も考えられなくはない。
※トラブルのあった翌日1月26日には山科駅で融雪装置を作動させていたにもかかわらず分岐器に詰まった雪が解けずダイヤが乱れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
(2023年1月26日22時54分 毎日新聞)
東海道線は26日、始発から通常通り運行。
しかし、午前6時45分ごろ、山科駅で特急や新快速などが走る下り線の信号が赤色から変わらなくなった。
担当者が調べたところ、車両をホームに引き込むレールの分岐器に雪が詰まり、動かなくなっていた。
特急などは山科駅を通過させ、詰まった雪を取り除くなどして、約2時間後に復旧した。
山科駅と高槻駅(大阪府高槻市)の間では24日、雪の影響で複数の分岐器が動かなくなり、列車15本が立ち往生。
乗客約7000人が最大10時間閉じ込められる問題が起きたばかりだった。
JR西によると、今回トラブルがあった分岐器は、24日に故障した計21個とは別の分岐器。
熱で雪を溶かす装置を作動させていたが、十分に機能しなかったという。
一方、ダイヤの乱れを修正するシステムは午前8時ごろ、一部が何らかの原因で停止した。
東海道線など各路線で計330本が運休。計892本が最大約3時間50分遅れた。
https://mainichi.jp/articles/20230126/k00/00m/040/178000c
※その翌日1月27日にも、また同じ山科駅で特急などから落ちた雪で?分岐器が動かなくなるトラブルがあった。
これも、事故は起きる時には続けて起きるという一例か?
(2023年1月27日17時31分 毎日新聞)
27日午前7時55分ごろ、JR東海道線の山科駅(京都市)で、下り線の信号が赤色から変わらなくなった。
JR西日本によると、車両をホームに引き込むレールの分岐器が動かなくなったためで、雪が原因とみている。
26日も同じ分岐器に雪が詰まり、同様のトラブルが起きたばかりで、連日ダイヤが乱れる事態となっている。
大阪指令所の職員が遠隔で分岐器を動かす作業を続け、約20分後に復旧。
この影響で4本が運休、24本が最大約30分遅れ、約1万6000人に影響が出た。
トラブル時に降雪はなく、JR西は走行中の特急などから分岐器付近に雪が落ちた可能性があるとしている。
https://mainichi.jp/articles/20230127/k00/00m/040/169000c
※溶雪装置の一つであるカンテラについては、乗客がその火を火災と間違えたトラブルも発生している。
(2023年1月30日11時36分 朝日新聞 ;カンテラの写真付き)
『火災と見間違えたカンテラの炎 列車の運行を止めた「二重の勘違い」』
https://www.asahi.com/articles/ASR1Z3QMTR1ZOXIE00K.html
2023年2月17日17時31分にNHK京都からは、融雪装置稼働基準を変更し、駅長にはそれを目安として柔軟に判断させるなどとした報告書が運輸局に提出されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は一連の対応の検証結果や再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめ、近畿運輸局に提出しました。
この中では、気象会社からの予測をもとに大規模な輸送障害は発生しないと判断し、対策本部を設置しなかったことが事態を悪化させたとしたうえで、今後、気象庁から特別な注意が呼びかけられている場合には対策本部を設置するとしています。
そのうえで、雪をとかす装置を稼働させる際の目安となる予想降雪量について、これまで「6時間で10センチ」としていましたが、寒さによってポイントで雪が固まり作業に時間がかかったことを踏まえて、気温が0度以下で、降雪などが見込まれる場合に装置を稼働させることになりました。
この基準をあくまで目安として駅長が現地の状況を踏まえて稼働させるかどうかを柔軟に判断するとしています。
また、ポイントの雪をとかす装置については、京都駅などでは多くが列車の運行前に設置する「手動式」でしたが、今回の事態を踏まえて、京阪神エリアを対象におおむね1年以内に、遠隔で稼働できる「電気式」や「手動式」でも稼働時間がより長いタイプに切り替えていく方針を示しました。
こうした設備投資には、40億円程度の費用を見込んでいるということです。
一方、乗客が長時間、車内に閉じ込められたことを踏まえて、駅の間で列車が止まっているときは復旧作業と乗客の救護準備を並行して行うほか、1時間以内に乗客を降ろすかどうか判断することを徹底するなどとしています。
・・・
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20230217/2010016713.html
2023年1月5日22時42分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸市交通局は5日、市営地下鉄西神中央駅(同市西区)で4日、ホームにいた女児が停車中の電車の運転席に立ち入り、機器を操作するトラブルがあったと発表した。
電車は終点の同駅に到着後、折り返し運転のため運転士と車掌が先頭と最後尾の乗務位置を交代する途中で、運転士が内規に反して運転席の扉の鍵をかけていなかった。
同市交通局によると、4日午後7時55分頃、発車前の西神中央発新神戸行き電車(6両編成)の運転席に女児がいるのを車掌が発見。
女児は約3分間、機器を触っており、車内の照明や行き先の表示が一時消えた。
電車は動かせない状態だった。
運行への支障を確認する作業が行われた影響で計23本が最大18分遅れ、約3000人に影響が出た。
女児は車掌に注意されて運転席から出たが、その後、別のホームの電車の運転席にも立ち入った。
この電車も無施錠で、市交通局は「迷惑をかけ、深くおわびする。施錠を徹底する」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230105-OYT1T50191/
1月5日21時29分に朝日新聞からは、女児は1人で駅に来ていた、停車中の列車は運転操作や扉の開閉はできない仕組みになっているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸市営地下鉄西神・山手線の西神中央駅(神戸市西区)で4日夜、停車していた車両の乗務員室に女児が入り込んで機器を触り、車内の照明が消えるなどのトラブルがあった。
5日、神戸市交通局が発表した。
同局などによると、車両が4日午後7時50分ごろ同駅に着き、運転士と車掌が先頭と最後尾の乗務位置を交代する際、運転士が扉の施錠をし忘れて乗務員室を離れた。
その3分後に1人で駅に来ていた女児が乗務員席に立ち入って機器類を触ったため、照明や行き先表示が消えた。
照明が消えていることに気づいた車掌が乗務員室内で女児を発見。
安全確認のため乗客を別の列車に振り替えて約11分後に運行を再開した。
約3千人に影響がでた。
同局によると、停車中の列車は乗務員以外による運転操作や扉開閉ができない仕組みになっているという。
https://www.asahi.com/articles/ASR157337R15PIHB01C.html
1月5日19時12分に産経新聞からは、運転席に立ち入ったのは幼児だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸市は5日、市営地下鉄西神・山手線西神中央駅(同市西区)で4日、停車中だった列車の運転席に幼児が無断で立ち入って機器を操作し、車内の電気が一時消えるトラブルがあったと発表した。
乗務員が交代で運転席を離れた際、扉の施錠を忘れていたという。
市によると、4日午後7時55分ごろ、同駅始発で新神戸行き列車の運転席に幼児がいるのを車掌が発見。
幼児は機器を操作し、車内の電気が消えた。
運転操作はできない仕組みだった。
安全確認のため別の車両に振り替えるなどし、計23本が最大18分遅れ、約3千人に影響が出た。
https://www.sankei.com/article/20230105-ZFEYOM5LEBIO7LN2WBJZFRPSGU/
(ブログ者コメント)
1人で駅に来ていたという女児(幼児?)。
年齢や駅に来たいきさつについて報じられた記事がないか探してみたが、見つからなかった。
2022年12月19日付でMerkmalから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東海道新幹線の停電事故が12月18日、発生した。
東京~新大阪間では最大4時間の運転見合わせとなり、74本が運休、114本が最大4時間28分遅れるなど、約11万人に影響が出た。
過去同様の件について振り返る。
【約11万人の足に影響】
東海道新幹線の停電事故が12月18日、発生した。
東京~新大阪間では最大4時間の運転見合わせとなり、74本が運休、114本が最大4時間28分遅れるなど、約11万人に影響が出た。
事故発生が日曜午後ということもあり、旅行者などの多いターミナル駅では多くの人たちが右往左往し、大混乱となった。
JR東海によると、停電は13時頃に豊橋~名古屋間の上下線で発生した。
上り線はすぐに運転を再開できたものの、安城市内の下り線でトロリー線をつり下げる吊架線(ちょうかせん)が切れていたことから、復旧のため上下線で運転見合わせとなった。
【36年前は「5時間14分」の遅れ発生も】
架線が切断し停電に至った理由は現在も調査中だが、鉄道で架線切断が原因となり列車が運転見合わせになるのは、まま起きる。
新幹線でも数年に一度は、なにがしかの理由で架線が切断したり、電気を送ることができなくなったりして、乗客の足が乱れる事故が起きている。
事故理由は、不可抗力なものから、完全にミスだったものまで、さまざまだ。
1986(昭和61)年11月12日に東海道新幹線の三島~静岡間で発生した停電では、最大で「5時間14分」の遅れが発生し、約2万1000人の足が乱れた。
国鉄は当時、東京駅に「列車ホテル」を準備するとともに、会議室を開放した。
さらに13日午前2時半と3時半、国電区間で臨時列車を走らせる対応を取っている。
この停電は架線が切断したことによるものだが、原因は保守点検のミスだった。
当時利用されていた架線は直径12.34mmで、耐用年数は3年とされていた。
直前点検の際には直径が6.5mmまで摩耗しており、取り換え基準の8.5mmを下回っていた。
ただ、激しい摩耗は一部だったため、
・耐用年数に達していない
・近々架線の総取り換えが予定されていた
ことを理由に「まだしばらくは耐えられる」と判断したところ、切断に至ってしまった。
【停電の最中にさらなるトラブル発生も】
明らかな保守の判断ミスで運行に支障が出たわけだが、架線に支障が出る理由はほんとうにさまざまだ。
1992(平成4)年11月21日、静岡県静岡市の東海道本線で起きた停電では、約3時間半にわたって東京~新大阪間の全線が不通となり、56本が運休した。
加えて、この事故の最中に、三島~静岡間において大雨で運転見合わせも起こったため、ダイヤが終日乱れる騒ぎとなった。
この停電の原因は新幹線ではなく、「東名高速道路」で行われていた工事だった。
事故が起きたのは静岡市駿河区用宗巴町の東海道本線と東名高速道路の交差する地点だ。
この日、東名高速道路の外側で足場を組んで工事を行っていたところ、足場が幅約40mにわたって垂れ下がり、約6.5m下の新幹線の架線に接触、停電した。
新幹線にとっても災難だが、こんなに大規模に足場を崩壊させてしまった東名高速道路はさらに真っ青だったろう。
ただ、事故後の数時間で足場を撤去して、運行を再開させているため、その技術力は評価に値するだろう。
停電理由には人為的なもの以外もある。
1994年6月10日、東海道新幹線の静岡~新富士間で事故が発生した。
理由は、カラスが架線と架線を支える支柱の間に挟まったためだった。
この事故では高圧電流がカラスと支柱を伝って地面に流れ、静岡駅構内にあるポイント制御用のケーブルと信号回路が焼き切れた。
このため、自動列車制御装置が使用不能になり、1時間11分にわたって、全線で運転見合わせとなった。
このように、さまざまな理由で停電が発生し、新幹線のダイヤが乱れる事故が起きている。
ちなみに、携帯電話の普及以前は、現在以上の混乱が見られた。
【立ち往生が当たり前の時代】
前述の1986(昭和61)年のケースで、「深夜に臨時列車を運行する」という措置を取っているのも、現在のように乗客がスマートフォンを持っていないため情報を得られず、駅員も「遅れているが接続は間に合う」と案内。
その後、深夜になって到着した乗客が駅に滞留したためと考えられる。
1994(平成6)年のケースでは、多くの新幹線の遅れが2時間以内だったため、特急券の払い戻しは行われなかったが、東北・上越・山形新幹線などに乗り継ぐ客が最終列車に間に合わず、東京駅で立ち往生する結果となった。
これを報じた記事には、「京都駅で駅員が間に合うと言ったから乗ったのに、だめだった」という乗客の証言も書かれており、JRも現在ほど緊急時の乗客への対応が洗練されていなかったことがわかる。
【緊急対応の発展は2010年代から】
緊急時の対応がより発展したのは、2010年代に入ってからだ。
2010(平成22)年1月29日には、東海道新幹線で部品交換の際にボルトをつけ忘れたのが原因でパンダグラフが外れ、架線が切れる事故が起きている(神奈川県横浜市)。
このとき当初、乗客に対して「沿線火災で架線が切れた」との案内が行われたため、パンダグラフの落下が原因とわかると、「わざとウソの情報を流したのか」などの苦情が、JR東海と国土交通省に殺到した。
これを受けてJR東海は、トラブル発生時、各部署(指令)に臨時の情報責任者を設置。
情報を集約した後に、旅客指令を通じて列車や駅に情報を伝えることを明確化している。
現在は在来線でも運転見合わせの際、事故内容や復旧見通しなどを細かくアナウンスすることが多いが、それはこうした情報の集約と役割分担が明確になったからだ。
ただ、どんなに対策しても、今回のようにトラブルや混乱は必ず起こる。
利用者にもそんな心構えが必要だ。
https://merkmal-biz.jp/post/28234
12月20日23時38分に読売新聞からは、トロリ線を吊るすハンガという棒状金具が折れていたなど下記趣旨の記事が、破断か所の図解付きでネット配信されていた。
JR東海は20日、架線をつるす金具が折れ、別の架線と接触し、ショートして停電したことが原因だったと発表した。
新幹線の車両には、上部に張られたトロリ線から電力を供給している。
トロリ線は、その上に張られた「吊架線」からハンガという棒状の金具でつり下げられている。
JR東海によると、トラブルの原因となった愛知県安城市内の下り線は、トロリ線が並行して2本張られている区間で、うち1本をつるすハンガが何らかの原因で折れた。
折れたハンガは並行する2本のトロリ線のうち、本来は触れるはずのない線と接触。ショートを起こし、停電したという。
JR東海によると、この部分の架線が設置されたのは2016年11月で、今年6月の目視点検では異常はなかったという。
今月12日にも線路上を係員が歩いて巡視していた。
同社はハンガが切断された理由を調べるとともに、同じ構造をしている56か所を緊急点検する。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221220-OYT1T50222/
(2023年2月25日 修正1 ;追記)
2023年2月22日18時50分に毎日新聞からは、列車が通過するたびに金具が大きく揺れ、金属疲労で破断したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
JR東海は22日、昨年12月に約4時間にわたり東海道新幹線が運転を見合わせた停電トラブルは、車両に電力を供給するトロリ線をつり下げる棒状の金具が金属疲労で折れ、ショートが起きたことが原因だったと明らかにした。
既に同じ構造の61カ所の金具を新品に交換しており、従来の直径6ミリから同7ミリのものに順次置き換える。
同社によると、発生箇所では列車が通過するたびに金具が大きく揺れる「共振」という現象が起き、金属疲労が進んだという。
折れた金具が動いて別のトロリ線に接触、ショートが起きて停電した。
(共同)
https://mainichi.jp/articles/20230222/k00/00m/040/239000c
2月24日19時0分にYAHOOニュース(Response)からは、2014年から順次導入されてきた「高速ヘビーシンプル架線」でハンガが長くなった結果、共振が発生したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は2月22日、東海道新幹線・豊橋~三河安城間の下り線(愛知県安城市古井町内)で2022年12月18日に発生した架線断線事故の原因と事故防止対策を明らかにした。
東海道新幹線の架線は、車両に電力を供給する「トロリ線」、トロリ線を吊る「吊(ちょう)架線」、トロリ線を吊るための「ハンガ」と呼ばれる金具から構成されている。
従来は「補助吊(ちょう)架線」がある3架線の「ヘビーコンパウンド架線」が使われていたが、部品点数やコスト削減を図るため、補助ちょう架線を省略して2本の架線とする「高速ヘビーシンプル架線」が2014年から曲線半径2500m以上の明かり区間(トンネルとトンネルの間の区間)へ順次導入されてきた。
JR東海では今回の事故原因を、この高速ヘビーシンプル架線において「トロリ線を吊るための金具であるハンガの下部が折損し、エアセクション(架線を電気的に区分する箇所)内でトロリ線とちょう架線が短絡し、ちょう架線が断線したため」として、遠因となったハンガの折損原因を調査してきた。
その結果、高速ヘビーシンプル架線では、ちょう架線・トロリ線間のハンガが長くなり、その吊上げ力が小さくなった場合に振動の振幅が大きくなる「共振」と呼ばれる現象が発生。
それが列車通過のたびに10数秒程度続いた結果、金属疲労が促進され折損に繋がったとしている。
これを受け、暫定対策としてハンガのすべてが新品に交換されており、ほかにハンガ径を太くしたものへの順次置換え、10日に1回の巡視点検による列車通過時の振動状況確認が行なわれる。
また恒久的な対策としては、ハンガの長さを短縮して共振を抑えるよう改修される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a8b689de02a84becf1c4d94a0c126c550607d79
2月22日18時20分に朝日新聞からは、共振は過去に例がない現象だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は22日、架線の金具が金属疲労で折れたことでショートし、架線が断線したと発表した。
新幹線が通過する際に発生する想定外の揺れによって金具が疲労破断したといい、「過去に経験がない事象だった」と説明している。
JR東海によると、停電は昨年12月18日午後1時ごろに起きた。
下り線で、列車に電力を供給する「トロリ線」をつり下げるための「吊架(ちょうか)線」が、愛知県安城市内で切れているのが確認された。
トロリ線と吊架線をつなぐ「ハンガ」と呼ばれる金具の下部が折れ、別のトロリ線に接触。
通常とは異なる回路で電流が流れて吊架線が断線し、停電に至ったとみられる。
断線があった場所でハンガを新品に置き換えて調査したところ、列車が通過する際に通常より振動の振れ幅が大きくなる「共振」と呼ばれる現象が続くことがわかったという。
JR東海はこの揺れについて「ハンガの長さやつり上げ力など特定の条件が重なった。ハンガの共振は過去に経験がない」と説明している。
断線があった場所と架線構造が同じ区間で、太いハンガに順次置き換えるなどの対策を進めていくという。
https://www.asahi.com/articles/ASR2Q61NJR2QUTIL046.html
2022年12月8日20時20分にYAHOOニュース(ねとらぼ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道が一部路線で「減速運転」を実施するというニュースが話題になる中で、Twitterでは対象となった路線の実態を記録した映像が話題になっています。
北海道では、シカなどの野生動物と列車の衝突事故が多発しており、車両が破損してしまう被害が発生しているほか、運休や遅れが発生するなど問題になっていました。
そんな事情があって、JR北海道・花咲線と釧網線で、視認性が落ちる夕方から夜間にかけて、通常よりも速度を落として走行する「減速運転」の実施が決まったそうです。
報道によれば、実施期間は2022年12月5日から2023年3月末までとなっており、減速運転によってダイヤに遅れが発生するものの、急ブレーキや衝突によって車両が故障して、動かせなくなる事態を避けるのが狙いとみられます。
話題になっている映像は、Twitterユーザー・サロハネさんが「花咲線の実態」と添えて投稿したものです。
2022年2月27日に減速運転の対象となっている花咲線・別当賀駅から落石駅に向けて走行中の車内から撮影した映像で、走行中の車両の前に現れたシカの群れに四苦八苦している様子が記録されています。
数頭のシカが線路付近を歩いているだけならまだしも、走行中の車両の前を横切るなど、あわや事故という場面も。
さらに進行方向の先には数え切れないほどのシカの大群……!
明るい時間帯でも危険な状況で、視認性が落ちる暗い時間帯では、いつ事故が起きても不思議ではありません。
Twitterでは「こんなにいるんだ!?」「嘘みたいな光景でビックリした」など、想像以上にシカが多くて驚いたという反応が寄せられ、JR北海道の対応について「これはシカたないですね」「そりゃ減速必須だわ」と納得する声がみられました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b70b4ed50eebed3807b2ee6bac37f8b0069447f6
(ブログ者コメント)
本ブログではこれまで、シカは線路の鉄を舐めにやってきてハネられるなど、さまざまな情報を紹介してきた。
それらの情報から、シカは線路付近に立ち止まっていて、あるいは歩いていてハネられるという感触を持っていたのだが、今回の映像を見て、急に飛び出してきてハネられるケースも多そうだという感触を持った。
それにしても、線路のすぐそばに出没するシカ。
これを逆手にとって、観光資源として活かせないものだろうか?


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。