2023年2月9日18時16分にYAHOOニュース(京都新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東映太秦映画村(京都市右京区)のお化け屋敷で、お化け役の演者のあごを反射的に蹴り、重傷を負わせて賠償金を支払った空手有段者の男性(49)=岐阜県=が、映画村の運営会社「東映京都スタジオ」に安全配慮義務違反があったとして、同社を相手取り、約550万円の支払いを求めて京都地裁に提訴した。
1月24日付。
第1回口頭弁論は3月14日に行われる。
訴状によると、2011年9月10日昼ごろ、男性は社員旅行で訪れた映画村内の「史上最恐」をうたうお化け屋敷に入ったところパニック状態になり、お化けを演じていた男性演者のあごを蹴り、骨折などの重傷を負わせた。
男性は空手5段で、当時は飲酒していた。
男性は警察から事情聴取を受けたが、刑事処分はなく、男性演者に謝罪し治療費などを支払った。
演者側は15年3月、男性に損害賠償請求を起こし、16年3月に男性が解決金約1千万円を支払うことで和解した。
訴状で男性側は、事故当時、男性演者は運営会社に雇用され職務としてお化け役を演じていたため、同社は使用者として安全配慮義務を負っていたと主張。
お化け屋敷では「恐怖に陥った観客がどのような反応をするかは予想できず、とっさに手を出すことは十分あり得る」とした上で、運営会社は客とお化け役の間に十分な距離や仕切りを確保する必要があり、客から攻撃的な行動をされる可能性があることを出演者たちに指導しておくべきなのに、注意喚起も不十分だったと訴えている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7fa87839495bd36d67149fdf6d6f49fbd8d1d97
2月10日9時35分にYAHOOニュースからは、本件に関する元特捜検事の考え方が下記趣旨でネット配信されていた。
東映太秦映画村のお化け屋敷を巡る裁判が話題だ。
飲酒の上、パニックになってお化け役の男性演者のあごを蹴り、骨折などの重傷を負わせた空手5段の男性客が、運営会社に約550万円の支払いを求めているからだ。
【どのような事案?】
・・・
【主張の法的根拠は?】
運営会社が演者に対する安全配慮義務を怠っていたのであれば、演者に損害賠償責任を負うのは当然だが、だからといって、演者を負傷させた客に対してまで、その責任を負うことになるわけではない。
演者に支払った約1千万円の解決金の半分を運営会社が負担すべきだという考えだとしても、問題はその主張の法的根拠だ。
例えば、演者の運営会社に対する損害賠償請求権を何らかの形で代位行使しているということが考えられるが、2011年の事件である上、客も演者も当時から運営会社の不備を知っていたはずだから、時効との兼ね合いの問題が生じる。
むしろ、客と運営会社の双方の不注意に基づいて発生した「共同不法行為」だったとして、両者の過失割合から客の負担分を算定し、これを超える部分の支払いを運営会社に求めているということではないか。
【「求償」ができる】
すなわち、共同不法行為責任を負う者は、それぞれが被害者に対して損害の全額を賠償する法的義務を負う。
しかし、もしそのうちの1人が全て支払った場合、ほかの当事者に対して自らの責任分を超えた部分の支払いを求めることができる。
これを「求償」と呼ぶ。
例えば、損害額が1千万円で、客と運営会社の過失割合が五分五分だったとすると、客は求償権に基づき、演者に支払った1千万円のうち、自らの責任分にあたる500万円を差し引いた残り500万円分について、運営会社に請求できる。
今回のケースでは約550万円の支払いを求めているが、50万円は弁護士費用ということだろう。
3月14日に京都地裁で第1回口頭弁論が行われる予定だ。
そもそも共同不法行為と言える事件なのかという点を含め、裁判所がどのような判断を示すのか、今後の裁判の行方が注目される。
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20230210-00336406
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。