2015年2月24日21時46分に朝日新聞から、テレビ番組収録中にヘリウムガスを吸った少女が一時意識不明になった事故に関する下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
BS朝日の番組収録中にヘリウム混合ガスを吸った少女が倒れた事故。
意識は戻ったが、ガスと事故の因果関係ははっきりしない。
手軽に「変声(へんごえ)」になれるパーティーグッズとして売られているが、安全なのか。
「無害で安心な人工空気」
市販のヘリウム混合ガスにはそう記されているが、事故公表後、発売元や小売店には影響が出ている。
発売元は国内に少なくとも4社。事故後、あるメーカーの担当者は小売店への説明に追われているという。
大手玩具チェーン店などを中心に年間数万本を販売しており、「20年以上携わっているが、一度も事故は起きていない」と強調する。
「変声用のガスは酸素20%を含む混合ガス。ヘリウム100%の風船用ガスと一緒くたに『危ない』と思われるのは困る」。
店頭では対応が分かれる。
玩具店を展開する「日本トイザらス」は、「どの商品で事故があったか特定できない以上、販売を一時的に取りやめた」という。
「ロフト」も、売り場から下げた。「取引先と安全性を確認し、今後販売を続けるかどうかも含めて社内で検討する」(広報)と話す。
一方、全国2800店を展開する「ダイソー」は、事故後も販売を継続。
広報担当者は、「顧客に不安を与えてはいけない。継続してメーカーと安全性を確認して販売している」という。
「ドン・キホーテ」は、メーカーから安全性を確認したといい、近日中に各店舗に使用時の注意喚起のポップを掲げるよう促す。
「東急ハンズ」も、店頭からは引き揚げず、子どもの購入時に声をかけたりするという。
テレビ朝日によると、少女は脳の血管に空気が入り、血流が妨げられる「脳空気塞栓症」と診断された。
どういう症状なのか。
「ダイビングでよく起こる病気の一つ」。
潜水医学に詳しい山見小児科医院(宮崎県)の山見信夫副院長は指摘する。別名「動脈ガス塞栓症」とも言う。
スキューバダイビングは外気が1気圧のところから潜り、水深10mで2気圧となる。
潜水中にパニックを起こすなどしてボンベの空気を吸い込んだまま急浮上した際、水中で圧縮されていた肺の空気が膨張し、肺が破れたり血管に空気が入ったりして起きる。
脳梗塞のように命に関わることもある。
山見さんは、番組収録中に潜水事故と似た状況になったのでないかとみる。
「ヘリウム混合ガスを大きく吸い込んで息をこらえ、何らかの原因で『息む』ことで肺の中の圧力が高まり、肺胞のすき間からガスが入りこんだ可能性がある」。または、ガスを勢いよく吸い込んだ時、何らかの原因で肺に傷がつき、さらに息んだことで空気が入ったかもしれないという。
「ヘリウム混合ガス自体に問題はないが、無理して吸い込んだり、呼吸をこらえて息むことは避けたほうがいい」と助言する。
声を変えるヘリウム混合ガスは、酸素とヘリウムの割合が20%と80%だ。
日本中毒情報センター(茨城県つくば市)によると、2001~12年度に、ヘリウムガスを使った玩具による事故の相談は32件あり、うち31件は12歳以下の子どもに集中。
風船に入ったガスの吸引が26件で、3歳女児が倒れた例があった。
声が変わる混合ガスの玩具は5件。7歳女児が一時意識を失う例があった。
ガスなどの中毒に詳しい伊関憲・福島県立医大教授(救急医学)は、「ヘリウムガスそのものに毒性はない」。ただヘリウム100%の風船用ガスの取り扱いには注意が必要という。
「酸素がゼロなので吸ってしまうと低酸素症を起こして意識を失う。声が変わると思って、風船用のヘリウム100%のガスを吸うのは危険だ」と指摘する。
伊関教授は、「販売されているヘリウム混合ガスは安全だとしても、事故の危険性がゼロではない。ヘリウムガスに限らず酸素ガスでも、扱い方を間違えれば何らかの危険性がある。安易に大丈夫だと思わず、危険性を認識した上で注意を払って扱うことが大切だ」。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASH2S5G1DH2SUTIL03G.html
(ブログ者コメント)
事故の概要は下記参照。
2015年2月10日掲載
[プチ昔の事例] 2015年1月28日 テレビのバラエティー番組収録中、ヘリウム入りのガス缶を誰が吸うかというゲームでヘリウムを吸った12歳少女が一時意識不明
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4618/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。