2016年8月17日6時0分に上毛新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
16日午後1時10分ごろ、群馬県富岡市岡本の「群馬サファリパーク」で、専用の軽乗用車で動物を監視していた従業員の女性(46)が、ツキノワグマに襲われた。
女性は左脇腹や胸をかまれ、ドクターヘリで前橋市の前橋赤十字病院に運ばれたが、午後3時半すぎに出血性ショックで死亡した。
警察が、詳しい状況や原因を調べている。
警察や同パークによると、襲ったのは放し飼いにされている5歳の雄で、体重約110kg、体長約1.7m。
事故が起きたのは、ツキノワグマとシカ、サルを展示飼育する「日本ゾーン」。
事故当時、同区域にはクマ4頭がいて、女性は、軽乗用車で見学客の安全確認などをする業務に1人で当たっていたという。
警察によると、監視車両の運転席側の窓中央部に横向きに取り付けられていた1本のステンレス製パイプ(直径2cm)が外れていた。
窓は開いており、クマがパイプを壊し、車内に入ったとみられる。
約20分間隔で運転していた園内の見学バス運転手が、女性の監視車にクマが侵入しているのを発見し、緊急通報。
駆け付けた従業員がクマを追い払い、女性を管理事務所まで運び、119番通報した。
事故を受け、サファリパークは、午後3時ごろの見学バスを最後に閉園した。17日も臨時休園する。
女性は、宮崎県の高校から石川県内の動物飼育専門学校に進学。
在学中に飼育員を志し、卒業後、群馬サファリパークに就職した。
25年余り勤務し、2014年12月から、日本ゾーンの監視を担当していた。
川上園長(63)は、「(女性は)安全管理に慎重だったので、『なぜ』という思い。従業員に危険はつきものだが、言葉にならない。一層の安全対策を講じていきたい」と肩を落とした。
同パークは1979年開園。約100種、1000頭を飼育し、園内を客がマイカーやバスで巡り見学する。
97年8月には、車外に出た夫婦がトラに全身をかまれ死亡した。
2010年12月には、バス運転手が水牛に襲われ重傷を負った。
今回の事故について、栃木県でツキノワグマ2頭を飼育する動物園の担当者は、「園にいるクマは人に慣れており、襲うことはほとんどない」と話す。
その上で、クマが強い力を持っていることに注意し、「鍵や格子の細かい点検が重要だ」と指摘した。
出典
『クマに襲われ女性従業員死亡 車で巡回中 群馬サファリ』
http://www.jomo-news.co.jp/ns/9614713620729073/news.html
以下は関連情報。
(8月17日13時17分 読売新聞)
自家用車に乗って、家族4人で訪れた千葉県の女性(43)は、「軽乗用車の脇を通ると、クマが尻まで車内に入っており、駆けつけた従業員が棒でたたくなどして追い払おうとした。目の前でこんな怖いことが起こるなんて」と話していた。
出典
『クマ、運転席窓から侵入か…サファリパーク死亡』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160817-OYT1T50085.html
(8月17日付 毎日新聞東京版夕刊)
安全対策として従業員が乗っていた巡回車の車窓に取り付けられていたパイプの防護力が、不十分だった可能性の高いことが、パークへの取材で分かった。
パークは、クマに襲われても、パイプで車内の安全は確保されるとしていたが、事故ではクマが押して外してしまったとみられ、警察は、対策に問題がなかったかなど調べている。
パークによると、パイプ(直径2cm)は運転席と助手席の車窓に各1本、車窓の真ん中を横切る形で設置。
クマの口の部分までしか入らず、仮にクマがパイプに触れた場合、習性から引っ込むと想定していた。
一方、同種施設の姫路セントラルパーク(兵庫県姫路市)は、巡回車にパイプを2本設置。担当者は、「1本だと多少の時間稼ぎになるが、防護用として十分とはいえない」と指摘する。
これについて群馬サファリパークは、「窓からえさをやるため、金網だと窓から投げられないし、視界も悪くなる。(1本は)安全性と利便性の妥協点だった」と説明した。
出典
『群馬サファリパーク 死亡事故 パイプ防護力不足か 巡回車の窓に設置』
http://mainichi.jp/articles/20160817/dde/041/040/074000c
(8月18日付 朝日新聞群馬全県版(聞蔵))
施設によると、女性は1人で車を運転し、サルやシカ、ツキノワグマがいる場所での見物客の安全確認や動物の監視をしていた。
通常、監視の際は、車内からサルなどにエサの野菜を投げたり、音にも気をつけたりしながら巡回するため、窓を開けて走行することが多いという。
そのため、車両の窓から動物が入り込まないよう、安全バーを取り付けている。
担当者によると、ツキノワグマは、毎日、閉園後に獣舎の中で十分なエサを与えているため、「空腹ということはなく、普段から車やバスに近づくことは少ない」と話す。
そのため、安全バーは、クマが突然襲ってきた時に身を守るためのものとして作られていないという。
また巡回中は、職員は常に監視しているため、動物が近づけば、すぐに車を動かすことができるという想定だ。
(1/2に続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。