2016年8月15日18時29分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8月16日0時34分に日テレNEWS24からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
焼き鳥チェーンT社(大阪市)は、15日、千葉県柏市の南柏店で、焼酎ではなく、手の消毒に使うアルコール製剤で作った酎ハイを客に出していたと発表した。
7月19~23日の5日間に151杯を提供したが、同社は、「現時点では健康被害の報告はない」としている。
T社によると、従業員が7月19日、焼酎の容器を接続するドリンクサーバーに、誤って食品添加物アルコール製剤の容器(18ℓ)を接続した。
アルコール製剤はサトウキビからつくったエタノールが原料で、食品にも使われるが、同社では手の消毒に使っていた。
容器の大きさや形が似ていて、液体も透明で、違いに気づかなかったという。
店のマニュアルでは、どちらの容器も段ボール製の包材に入れておくことになっていたが、南柏店では包材を捨てていた。
通常の酎ハイより泡立ちが多く、客から「味がおかしい」との指摘が数件あり、店側は酎ハイの異変に気付いたものの、原液が原因とは考えず、原因が分かるまでそのまま客に商品の提供を続けていた。
23日にサーバーの修理を依頼して、誤りが分かった。
飲んでしまった客には、返金して対応する。
出典
『T社、酎ハイに消毒用アルコール 泡立ち多く客が指摘』
http://www.asahi.com/articles/ASJ8H5DGFJ8HPLFA003.html
『「T社」で酎ハイに“消毒用アルコール”』
http://www.news24.jp/articles/2016/08/16/06338096.html
(ブログ者コメント)
飲食店で漂白剤などを客に誤提供する事例はしばしば発生しており、本ブログでも何件か紹介しているが、今回のような事例は、ブログ者にとって初耳だ。
本件、8月15日付でT社のHPに、お詫びとお知らせ文書が掲載されていた。
紋切り型の内容かと思いきや、再発防止に十分役立つ内容。
大手製造業などで比較的大きな事故が起きてもナシの礫のことが多い現状、居酒屋チェーン店から、さほど大きな被害も出ていないのにこれほど詳しい情報が提供されているとは、思いもしなかった。
文書の内容のポイントを以下に転載する。
[経緯]
・誤って接続した時点でドリンクサーバーから抽出されるチューハイに異変が認められたため、ドリンクサーバーに不具合が生じたとの認識をもち、平成28年7月22日にドリンクサーバーのメンテナンスを手配したものの、この間も誤った商品を提供しておりました。
・平成28年7月23日にメンテナンスを実施するなかで、異変はドリンクサーバーの不具合によるものではなく、ドリンクサーバーに接続している原液が原因である可能性が高いと判断したため、当該ドリンクサーバーの使用を中止し、新たな焼酎を開封のうえチューハイの提供を行いました。
・その後、原液の調査を行った結果、当該原液は焼酎ではなく食品添加物アルコール製剤であったことが確認され、本件が発覚いたしました。
[原因]
①焼酎及び食品添加物アルコール製剤は、両方とも透明の液体であり、かつ抽出口が付いた透明な容器を段ボール製の包材で梱包したもので、形状・サイズが似ていた.
②厨房内に段ボール製の包材を置いてはならないとの南柏店におけるマニュアルの誤認識のもと、焼酎及び食品添加物アルコール製剤を梱包している段ボール製の包材を廃棄し、透明な容器のみの状態で使用していたため、見た目には焼酎との区別がつかなかった
③食品添加物アルコール製剤の抽出口部分がドリンクサーバーの接続口部分の口径サイズに近似しており、強引に接続することが可能だった
[対策]
・包材・容器が、一目で焼酎と区別できる規格の食品添加物アルコール製剤を、本日鳥貴族全店に配送し、一斉入替の手配を行った。
・焼酎の交換作業に関する詳細な手順書を作成し、全店に周知徹底する。
・食品添加物アルコール製剤の保管場所を改めて定め、食材と混同しないよう周知徹底する。
自主検査において、これらの再発防止策の実施状況をチェックする。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。