2017年2月2日20時22分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
栃木県真岡市の市立小学校で2010年2月、給食に出された直径約2cmの白玉団子をのどに詰まらせ脳死状態となり、13年1月に死亡した男児(当時10歳)の両親が、真岡市に約8400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宇都宮地裁は2日、請求を棄却した。
事故の危険性を予見することは難しく、学校側の救護措置も適切だったと判断した。
両親側は判決を不服として、近く控訴する方針を示した。
両親側は、白玉団子(直径約2cm)が窒息事故を生じさせる危険性があることは、報道や文科省などの通知により社会的知見になっており、事故を予見できたと主張。
事故後に速やかに119番されず、男児を逆さにして白玉を取り出そうとするなど、一連の救護措置も十分ではなかったなどと批判。
一方、真岡市側は、5歳児以上の事故の予測は困難で、救護措置も十分だったなどと反論していた。
判決で吉田裁判長は、白玉団子の危険性について、「食品自体ではなく、食べ方に起因して発生する」と指摘。
小学生が食べ物を喉に詰まらせる可能性は乳幼児に比べて低く、男児が健康だった点にも言及し、「白玉をかまずにのみ込み、喉に詰まらせる可能性を予見させる兆候もなかった」と判断した。
また、事故発生から救急通報までの時間について、吉田裁判長は関係者の証言を総合し、「事故を察知してから2分ないし3分後には救急車を要請している」と、市側の主張をおおむね認めた。
また、事故後の救護措置については、教員が指を入れて白玉団子を取り出そうとした行為を「適切な処置とはいえない」と批判。
ただ、両親側が救護の際に背部をたたくだけでなく、腹部を突き上げる「ハイムリック法」を使うべきだったと主張した点に関しては、「ハイムリック法を行うべき義務があったとまでは言い難い」とした。
吉田裁判長は、「救命のために行うべき措置を行っていたと評価できる」として、学校の対応にも過失はなかったと結論づけた。
判決を受け、真岡市の井田市長は、「市としては、今後も再発防止に取り組んでまいります」とコメントした。
[栃木・真岡白玉事故]
2010年2月、真岡市の市立小学校で、小学1年の男児が、給食に出された白玉汁に入っていた直径約2cmの白玉団子を喉に詰まらせ、意識不明の重体となった。
その後、入院先で脳死宣告を受け、13年1月に感染症を併発して死亡した。
両親は同年7月、真岡市を相手取り、損害賠償を求めて提訴。
事故の第三者委員会は、同年11月、学校側は適切な対応をしており、責任はないとする報告書を真岡市教委に提出していた。
出典
『栃木白玉窒息死訴訟 給食で2センチ大「事故予見できず」』
http://mainichi.jp/articles/20170203/k00/00m/040/072000c
2月2日18時38分に時事ドットコムからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
白玉汁に入っていた直径2cm強の白玉団子1個を喉に詰まらせた。
教師が背中を強くたたくなど救命措置をしたが吐かせられず、救急搬送。
男児は脳死状態になり、13年1月に死亡した。
吉田裁判長は、男児が09年度の給食で、事故発生までに4回、白玉汁を普通に食べており、危険性を予見させる兆候はなかったと指摘。
腹部を上向きに圧迫する「ハイムリック法」を行わなかったとする原告側の主張も、「義務はなく、行ったとしても吐き出させるのは難しい」と判断した。
出典
『両親の賠償請求棄却=給食の白玉で窒息死-宇都宮地裁』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020201136&g=soc
判決がくだる前、2017年1月31日に毎日新聞栃木版からは、下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
・・・・・
息子はなぜ死んだのか。
白玉団子を喉に詰まらせてから通報までの経緯を知ろうとしても、学校側からの情報提供はほとんどなかったという。
そこで父親は、独自に関係者から聞き取りを始めた。
事故当時、教員がどの教室にいて、どう行動したのかを表にまとめた。
事故を調査した第三者委員会の報告書では、発生から2分後に通報したとあったが、「これだけのことを2分でできるのか」と疑問を拭い去ることはできなかった。
12年7月には、栃木市の保育園で女児(当時2歳)が、同じメーカーの白玉をのどに詰まらせた事故があったことを知った。
息子の事故の情報が共有されず、教訓化もされていない現状に、憤りを感じた。
「『真岡市に(事故のことを学校現場に)伝えていなかったのか』と聞いても、答えはあいまいでした」
また父親は、真岡市に対し、事故が起きた後の支援制度の必要性も訴えている。
学校管理下の事故で重い障害を負いながら、市からは「障害者」として、一律の支援を受けただけ。
「(息子と)同じような子どもが出てきた時、自分のように苦しむ親が出てくる」と懸念している。
・・・・・
一方、真岡市は男児の事故を受け、再発防止に努めてきたという。
市学校教育課によると、市内の学校給食センターではメニューを見直し、白玉団子をはじめ、うずらの卵など、喉に詰まりやすい食材の提供をやめた。
また、給食を食べ始めてから5~15分程度は静かに集中して食べる活動を進めている。
話しながら食べると、誤って気管に詰まる可能性が高まるためだ。
同課は、「給食は『食育』の面から楽しむことも必要。後半には歓談の時間も設けるようにしている」と話した。
さらに、教職員を対象とした救急救命講習を、3年に1度受講するように義務付けた。
喉にものや食べ物を詰まらせた際の救命法も想定して行っているという。
ただ、真岡市は事故後の対応について、独自の支援策を検討していないという。
同課は、「事故後の支援を想定するよりも、事故を起こさないようにすることが学校現場で必要なこと」と説明している。
出典
『真岡白玉事故訴訟 息子はなぜ死んだのか 来月2日判決』
http://mainichi.jp/articles/20170131/ddl/k09/040/041000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。