2017年10月8日21時5分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月8日23時59分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸製鋼所は8日、自動車や航空機メーカーなど約200社に納入したアルミ板や銅製品について、工場の出荷段階で強度や寸法をチェックする検査証明書を書き換えるなどの不正が見つかったと発表した。
同社は「(自動車など)最終製品の安全性には影響はない」(梅原副社長)とみているが、今後、納入先の企業と品質面や安全性への影響を調査するという。
不正が見つかったのは、同社が2016年9月~17年8月に生産したアルミ製品(板、押し出し品)約1万9300トン、銅製品約2200トンなどで、この期間に同社が出荷したアルミ・銅製品の約4%に当たる。
出荷前の自主検査で、顧客企業との契約上の仕様が満たされていないことがわかったあと、添付する「検査証明書」のデータを改ざんしていた。
日本工業規格(JIS)が定める水準は満たしていたという。
今年8月、社内の監査で検査証明書のデータ改ざん、捏造の事実が発覚した。
今回の調査は過去1年間だが、不正が見つかった国内4工場では、データの改ざんなどが少なくとも約10年前から続いていたという。
納入先の約200社は、自動車メーカーのほか、電機メーカー、飲用容器メーカーなど、多岐にわたる。
メーカー各社は神戸製鋼に対し、アルミや銅製品の寸法、強度などを指定。
神戸製鋼は納入前にメーカー側の要求を満たしているかをチェックし、検査証明書にデータを記入する。
梅原副社長は、「納期に間に合わせるため、担当者がついデータを書き換え、それが続いてしまったのではないか」と釈明したが、工場の管理職も不正を黙認しており、不正は組織ぐるみだった可能性が高い。
三菱重工業によると、開発中の国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)にも神戸製鋼のアルミが使われているが、「安全性に問題がないことを確認した」という。
また、JR東海道新幹線の車両の台車部分に使用しているほか、トヨタ自動車は一部車種のボンネットなどに使用しており、リコール(回収・無償修理)に発展する可能性もある。
神戸製鋼は、川崎会長兼社長を委員長とする品質問題調査委員会を設置し、外部の法律事務所に不正に関する調査を依頼。
調査結果を踏まえ、再発防止策などを策定する。
出典
『神戸製鋼 データ不正 アルミ・銅 強度不足も』
https://mainichi.jp/articles/20171009/k00/00m/020/011000c
『神戸製鋼、アルミ部品など強度改ざん 200社に出荷』
http://www.asahi.com/articles/ASKB84K3HKB8ULFA003.html
10月M8日22時50分に朝日新聞からは、下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
神戸製鋼所で、また、品質管理の不祥事が発覚した。
自動車に使われるアルミニウム製品の強度などを偽って出荷。
1年前、グループ会社でばね用ステンレス鋼線の強度偽装の不祥事が起きたばかり。
不正は本体を含む「組織ぐるみで常態化」していたことになる。
信頼性は損なわれ、経営責任が厳しく問われる。
8日に記者会見した梅原副社長は、「実際に手を下したり黙認したりしていたのは、管理職を含めて、過去1年間で数10人」と語り、「組織ぐるみか」と問われ、「はい」と答えた。
不正の背景は、「納期を守り、生産目標を達成するプレッシャーの中で続けてきた」と分析。
一方で、「品質に関する意識が弱いとは考えていない。(納入先との)契約を守る意識が低かった」と釈明した。
不正は、今秋の社内監査を控え、工場での自主点検で見つかった。
梅原氏は、「かなり古い時期から(不正が)あった」とも話した。
10年前から改ざんが続いているケースも確認され、常態化の可能性を認めた。
今回、検査回数を少なくする手抜きも発覚した。
昨年の不祥事発覚で、「一気に是正すると影響が大きく、踏み切れなかったようだ」と説明した。
再発を防ぐ取り組みが不十分だったと認めた形だ。
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(以下、社長会見の要旨)
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出典
『強度偽装、組織ぐるみで常態化 神戸製鋼「納期の重圧」』
http://www.asahi.com/articles/ASKB85GB7KB8ULFA004.html
10月11日8時9分に朝日新聞からは、下記趣旨の続報的記事がネット配信されていた。
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神鋼は、今年8月末までの1年間に出荷したアルミ・銅製品の一部で、納品先に約束した製品の強度やサイズなどの条件を満たしていないにもかかわらず、添付する「検査証明書」のデータを書き換え、適正なものと偽って出荷していた。
工場の従業員が端末を操作して偽装データを入力。
操作記録から、操作者は特定されているという。
納品先との契約では、製品検査の回数も決められている。
だが、検査証明書には、約束したサンプル検査の回数に満たないのに、架空の数字を書き込んで必要な検査を実施したように装った記載もあったという。
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なぜデータ改ざんが行われたのか。
梅原副社長は8日の記者会見で、生産現場で従業員が、「暗黙の了解を感じていた可能性がある」と述べた。
改ざんが組織ぐるみで常態化していたことを、おおよそ認めた。
神鋼幹部のひとりは、現場の品質判断を契約内容に優先しても問題がないという「過信」が背景にあったと指摘する。
製品には、生産過程で強度や寸法にばらつきが出る。
仕様書に明記された範囲に収まらない場合でも、一定の範囲内なら、納品先から苦情はほとんどない。
ベテランの従業員が長年の経験をもとに、「苦情が来ない程度なら」と、数値を偽装していた、と打ち明ける。
同じ工場で20年以上も働くベテランが品質管理を担い、こうした手法が続いていたとみる。
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神鋼は2017年3月期まで2年連続で純損失だった。
アルミ・銅製品を「成長戦略の柱」と位置づけ、巻き返しをはかっていた矢先に、信頼が損なわれた。
10日の株価は前週末の終値より300円安い1068円で、値幅制限の下限(ストップ安)まで下落した。
出典
『神鋼、品質軽視の体質 データ改ざん「暗黙の了解」か』
http://digital.asahi.com/articles/ASKBB4303KBBULFA00W.html?rm=620
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。