2017年10月8日11時46分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月13日の殺害事件当日、クアラルンプール国際空港の出発フロアで突然、顔に液体を塗られた北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)が最初に助けを求めたのは、同じ階にある案内カウンターだった。
職員は異様な雰囲気を察知し、空港詰めの警察官に通報した。
2日の初公判では、この時対応した職員のジュリアナ・イドリス(37)と警察官、ズルカルナイン(31)が、直後の様子を次のように証言している。
「見知らぬ女2人に顔に何かを塗られた」。
正男は案内カウンターでイドリスにこう訴えた。
駆けつけたズルカルナインは正男の目が「少し赤い」のが気になった。
「顔はぬれている」ように見えたが、これが塗られた毒物なのか汗なのかはよく分からない。
被害届を出すか診療所に行くかと尋ねると、正男は「先に診療所に行きたい」と答えた。
2人は2階下のクリニックまで一緒に歩いた。
3~5分かかった。
正男の足取りは重く、途中、「ゆっくり歩いてください。目がかすんで見えないんです」と英語で訴えた。
ズルカルナインは正男の身元を確認する際、事務的なミスを犯したと法廷で認めた。
正男のパスポートの名義は「キム・チョル」という外交官。
国名は英語で「朝鮮民主主義人民共和国」と書かれていたが、「Korea」を韓国と勘違いして報告書に記載してしまったという。
法廷では、このミスがどう処理されたか、やりとりはなかった。
ロイター通信は3月、マレーシア政府は事件直後、正男に関する書類を北朝鮮より先に、誤って韓国政府に照会。これを「金正男」と見抜いた韓国政府から情報が漏れ、事件は世界中に知れ渡ったと報じた。
ズルカルナインの証言は、この報道を裏付けることになった。
誤記がなければ、マレーシア政府は「キム・チョル」が金正男だとは気付かず、北朝鮮が人知れず遺体を引き取っていたかもしれない。
出典
『VXの女たち・法廷編 正男暗殺 勘違いから表ざたに』
https://mainichi.jp/articles/20171008/k00/00m/030/089000c
(ブログ者コメント)
奇しくも同じ10月8日、フジテレビから金正男氏暗殺に関する特番が放送され、その中で正男氏のパスポートが映し出されていた。
http://www.fujitv.co.jp/muscat/20170218.html
映像中、国名欄には「DPR KOREA」とある。
韓国と北朝鮮の英語表記を外務省HPで調べてみると、韓国は「Republic of Korea」、北朝鮮は「North Korea」となっている、
一方、ウィキペディアでは、韓国は外務省表記と同じだが、北朝鮮は「Democratic People‘s Republic of Korea(略称D.P.R.Korea」だとも記されている。
これは金正男氏のパスポートと一致。
外務省の呼び方は政治的理由からか?
ともあれ、空港の警察官が勘違いしなければ、あるいは国名表記に詳しい警察官が報告書を作成していたら、事件は闇から闇に葬られていたかもしれない。
北朝鮮としては完璧な計画だったのだろうが、計画の埒外にあった空港警察官のヒューマンエラーという、思ってもみなかった落とし穴があった。
これは、綿密に立てた計画でもヒューマンエラー一つで台無しになることがあるという事例、はたまたヒューマンエラーによって国際政治が大きく動いた数少ない事例ではないかと感じたので、参考までに紹介する。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。