2019年8月22日11時30分に産経新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
東京都練馬区の遊園地「としまえん」のプールで埼玉県朝霞市の小学3年、Mさん(8)が溺れて死亡した事故から、22日で1週間となる。
水面に浮かべるビニール製の遊具を設置するプールや海水浴場は各地にあり、事故防止は急務の課題だ。
残り少ない夏休みだが、専門家の声を踏まえ、水上遊具の安全性や監視のあり方を考えてみたい。
【潜り込み防止を】
捜査関係者によると、Mさんはマット状の遊具(縦約2.5m、横約5m、厚さ約30cm)の下の中央付近で発見。
ライフジャケットを着用し、うつぶせ状態だった。
何らかの原因で全身が潜り込んでしまい、ジャケットの浮力で体がマットに張り付き身動きが取れなくなった可能性がある。
ライフセーバーで、NPO法人「日本プール安全管理振興協会」の北條理事長は、「溺れた場合はパニックに陥ることも多く、冷静な行動ができなくなる」と指摘し、潜り込み防止策として、遊具の下に網やフェンスの設置を提案する。
また、今回の遊具は色づけされていたが、北條氏は「透明化することで遊具の下を確認しやすくなり、事故リスクの低減につなげられる」とも指摘する。
【呼吸可能な空間】
今回事故が起きたのは、「水上アスレチック」と呼ばれる遊具の一種。
ビニール素材で柔らかいため、けがの心配が少なく、軽いことで悪天候時に撤去もしやすいなどの理由から、この数年で各地のプールや海水浴場で設置が増えている。
平成18年の埼玉県ふじみ野市営プールで小学2年の女児が吸水口に吸い込まれ死亡した事故を受け、国土交通省などがプール施設の安全指針を策定したが、その指針には水上アスレチックについて具体的な記載はなく、「安全対策は事業者側の裁量に委ねられているのが実情」(水上遊具メーカー関係者)という。
子供の遊具下への潜り込みを想定し、独自に安全対策を実施している施設もある。
千葉県山武市のプール「蓮沼ウォーターガーデン」では、マット状遊具の四辺に丸太状の浮きを付け、マットと水面が接しないように工夫。
万が一、ライフジャケットを着けた子供がマットの下に潜り込んで浮力が働いても、呼吸ができる空間を確保している。
監視体制も施設の安全性を左右するが、同施設ではプールサイドからの監視に加え、常時、数人の監視員がプール内を巡回し、遊具から水中に転落した子供を引き上げるようにしている。
しかし、全ての施設で手厚い監視体制を実現できるわけではない。
事実、としまえんでは7人の監視員全員をプールサイドに配置。
遊具の下に潜り込まないよう呼びかけ、正午と午後2時に水中を確認する定時点検を行っていた。
「遊びに夢中の子供に呼びかけが伝わると考えるのは非現実的だ」。
小児科医で、子供の事故に関する調査などを行うNPO法人「Safe Kids Japan(セーフキッズジャパン)」の山中龍宏理事長はこう指摘し、「複数の監視員を配置しても、太陽光の反射で水面が見えにくくなるなど、人間の目に頼った監視には限界がある。最新技術の活用も必要だ」と強調する。
【自動解析で警報】
山中氏によると、天井や水中のカメラ映像を専用のソフトウエアが自動解析する監視システムも開発され、一部のプールに導入されている。
人が水面から沈んで約20秒間動かなくなるとアラームで監視員に注意を促し、専用端末に溺れた人の位置情報を表示するという。
「混雑するプールで子供が保護者とはぐれることは容易に想定できる。事業者側には、そうなった場合でも子供が安全に遊ぶことができる環境を提供する責任がある」
北條氏は、こう指摘した上で、「利用者が施設の安全性を評価するのは困難。事業者側が安全対策を分かりやすく公開し、利用者が見比べられる仕組みづくりが必要だ」と話している。
https://www.sankei.com/affairs/news/190822/afr1908220006-n1.html
(ブログ者コメント)
としまえんの事故は本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。