2020年8月6日6時1分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
レバノンの首都ベイルートで4日に起きた大規模な爆発は、死者が135人に増えました。
レバノン政府は非常事態を宣言し、近く調査委員会を立ち上げて、爆薬の原料にもなる化学物質が長期間にわたって保管されていた経緯などを調査し、責任を追及することにしています。
レバノンの首都、ベイルートにある港で、4日に起きた大規模な爆発について、レバノンの公衆衛生相は5日、現地メディアに、これまでに135人が死亡し、およそ5000人がけがをしたと明らかにしました。
今も数十人の行方がわかっておらず、爆発現場では、日が暮れてからもライトの明かりを頼りに、懸命の救出作業が続いています。
また、ベイルートの県知事は、首都で30万人が家を失い、被害額は、30億ドルから50億ドルにのぼると指摘しています。
爆発があった港の倉庫には、爆薬の原料にもなる硝酸アンモニウムおよそ2750トンが、6年にわたって保管されていたことがわかっています。
アウン大統領は5日、緊急の閣議を開き、ベイルートに、2週間の非常事態宣言を出し、この間、軍に対し、硝酸アンモニウムの保管に関わった人物を自宅に軟禁するよう要請しました。
政府は、近く、調査委員会を設置し、5日かけて原因の調査や責任者の特定にあたり、その結果を公表することにしています。
アウン大統領は、「できるだけ早く調査を行って何が起きたのかを明らかにし、責任がある人物を処罰する決意だ」と述べて、責任を追及する考えを示しました。
【衛星画像でも爆発の威力が】
レバノンの首都ベイルートで起きた大規模な爆発で、爆発後の現場をうつした衛星画像は、爆発の威力のすさまじさを物語っています。
アメリカの衛星会社プラネット社が撮影したのは、爆発が起きた港で、爆発が起きた場所を中心に、埠頭が大きくえぐりとられてクレーターのようになっています。
また、爆発前に撮影された画像では、ふ頭の周辺に倉庫のようなものが確認できますが、爆発後には、跡形もなく無くなったり、骨組みだけになったりしています。
周囲には爆風で飛ばされたとみられるコンテナや建物の破片なども散らばっていて、爆発の威力を伺い知ることができます。
さらにアメリカの衛星会社マクサー・テクノロジーズが、別の角度から撮影した衛星画像では、爆発が起きたふ頭の対岸に係留されていたクルーズ船のような船が、横倒しになっている様子が確認できます。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200806/k10012553261000.html
8月6日22時57分に毎日新聞からは、爆発した硝酸アンモニウムは故障で入港した船が入港税を支払わなかったため差し押さえられたものだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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今回の爆発では、中心となる港湾地区から市街地へと同心円状に被害が広がっている。
特に、港の南側一帯の建物被害が激しく、倉庫群などが爆風で崩壊した。
3~4キロ離れた地点でも建物の窓ガラスが割れて吹き飛ぶ被害が報じられており、爆発のすさまじさを物語っている。
英BBCによると、英シェフィールド大学の専門家らは今回の爆発の威力について、第二次世界大戦で広島に投下された原子爆弾の約10分の1と推定。
「原子爆弾によらない爆発としては、間違いなく史上最大規模」としている。
ロイター通信によると、死者の多くは港湾や税関で働く人々と、夕方のラッシュアワーに近くを車で通行していた人々という。
強烈な爆風で海に投げ出された犠牲者もいた。
現場付近には行方不明者の家族らが集まり、必死に手がかりを探している。
ベイルートのアブード知事は、「爆発の被害額は、間接的なものを含めて150億ドル(1兆5800億円)に達する可能性がある」と地元テレビ局に述べた。
特に、今回壊滅的な被害を受けたベイルート港はレバノン最大の食糧輸入拠点で、その中心となる穀物貯蔵用サイロも破壊されたため、代替手段の確保が急務となる。
爆発の原因については、事故との見方が強まっている。
港湾地区の倉庫に6年前から保管されていた硝酸アンモニウム2750トンに、何らかの形で引火したとみられている。
硝酸アンモニウムは、化学肥料だけでなく火薬や爆薬の原料となる化学物質で、爆発の危険性から保管や輸送に厳重な管理が求められる。
海外では硝酸アンモニウムの爆発事故が絶えず、2001年9月に仏トゥールーズの肥料工場で爆発し30人超が死亡。
13年4月には米テキサス州の肥料倉庫で爆発して15人が死亡。
15年8月には中国天津の港湾倉庫で発生した火災から、保管していた硝酸アンモニウム約800トンなどに引火し大爆発、近隣住民を含めて165人が死亡した。
ロシア船員組合の発表や露メディアによると、今回爆発した硝酸アンモニウムは、極東ハバロフスク出身でキプロス在住のロシア人実業家が所有するモルドバ船籍の貨物船から押収され、倉庫に保管されていたとみられている。
船はジョージアのバトゥーミを出港し、アフリカのモザンビークに向かっていたが、13年秋に故障のため、ベイルートの港に停泊。
入港税が支払われなかったため、港湾当局が船を差し押さえ、ロシア人の船長ら一部の船員が船内に拘束された。
港湾当局は当初、硝酸アンモニウムの船外への積み出しも許さなかったが、約1年後になって裁判所が許可し、船長らも帰国できたという。
船長は露メディアの取材に、「実業家が船を放棄し、賃金も支払われていない」と訴えている。
船はすでに海に沈んだという。
https://mainichi.jp/articles/20200806/k00/00m/030/258000c
8月7日12時27分にYAHOOニュース(ロイター)からは、亜鉛化窒素を含む赤褐色の煙は硝酸アンモニウムの爆発に特有のものだなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
硝酸アンモニウムは一般的な工業用化学品で、肥料にしたり、採石や採掘の現場で使用される。
適切に保管されていれば、比較的安全とされる。
だが汚染された場合、とりわけ燃料と混ざると極めて危険だ。
また、大量で高温にさらされると爆発の可能性があり、量が多ければ多いほど爆発の危険性が高まる。
ベイルートでは、2750トンが安全対策なしに保管されていた。
非核爆発としては史上最大級の規模だった可能性があると専門家。
映像から、硝酸アンモニウムの爆発には特徴がみられる。
衝撃はのキノコ雲とともに、亜鉛化窒素を含む赤褐色の煙が発生した。
過去にも多くの犠牲者を伴った爆発事故には、硝酸アンモニウムが関係していた。
1921年、ドイツの工場が爆発し、約570人が死亡または行方不明になった。
2015年には中国の天津港で倉庫が爆発し、200人近くが死亡または行方不明になった。
ほかの物質と混ぜることで爆発物になるため、意図的に使用された事例も。
1990年代にはアイルランド共和軍(IRA)がロンドンで爆破させたほか、1995年のオクラホマシティ連邦政府爆破事件や、2002年のバリ島ナイトクラブ爆破事件などでも使われた。
また硝酸アンモニウムを含んだ手製爆弾が、アフガニスタン駐留米軍に対して多数使用されたという。
だが専門家は、レバノンの爆発は事故であった可能性が高いとみている。
仮に意図的にほかの物質と混ぜられ、爆発物として使用された場合、赤褐色の煙は上がらないことが多いからだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/50752d1d1f0bcbe6147ad9214a2f99e8627bddc9
(ブログ者コメント)
〇以下は、NHK映像の13コマ。
衝撃波によって生じた水蒸気の雲がカメラに向かって押し寄せ
てきている。(2/2に解説あり)
〇天津事例は本ブログでも紹介スミ(ニトロセルロースの自然発火が引き金で、硝安保管量は800トンだった)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。